菊とバット〔完全版〕

  • 早川書房
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152086174

作品紹介・あらすじ

長嶋、王、稲尾、江夏、村山…きら星のごとくスーパースターが活躍していたプロ野球の黄金時代。誰もが野球に熱狂していた。それから四半世紀余、球界はどう変わっただろうか。イチロー、松井ら有力選手が次々と大リーグへ渡り、テレビの視聴率は急落。オリックス、近鉄の合併問題は、ついに史上初のストへと発展した…。本書は野球を通じたユニークな日米比較文化論として知られ、来日する外国人選手のバイブルともいわれる名著である。往時とすっかり変わってしまったこともあれば、十年一日のごとく変わらないこともある。そこからは、懐かしの名選手のエピソードや、「和」「武士道」などのキーワードを通して、日米野球の根本的な違い、日本野球の本質、問題点が浮かび上がってくる。イチローのメジャー年間最多安打記録、プロ野球再編などの最新情報を加えた完全版。

感想・レビュー・書評

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  • 話題の中心はON全盛の1960〜70年代。戦前にプロ野球が発足した時の話も含め、日本のプロ野球の歴史を知ることができた。外国人の視点からの記述も新鮮だった。
    プロ野球を通して日本社会の姿が見える。「型」「精神」「面子」を重んじることや、王、長嶋が活躍して巨人が勝つというような予定調和を好むことなど、日本人の思考が野球にも反映されており、それは今とは比較にならないほど色濃かった。
    戦後のアメリカに対する思いが、アメリカ人選手に対する厳しい目となって現れていた。
    自由でマイペースなアメリカ人選手の思考と、型や精神を重んじる日本人選手との間に文化的摩擦があった。日本人と同じように振る舞う「ガイジン」は尊敬され、いつまでも自分の考え方を曲げない選手は疎まれた。実力は抜きん出ていたのに、立場をわきまえない振る舞いで相撲界から追い出されてしまった朝青龍を思い出した。日本では個人の人格よりも、立場や地位に応じた振る舞いが求められる。

    言われないと気づかないような日本人、日本社会の姿に気づかせてくれる一冊。

  • 王長嶋は世代ではないが、日本人とアメリカ人の思考のギャップや外国人選手が日本野球に与えた影響など、とても興味深い。

  • 一昔前、戦後ニッポンの野球狂時代が綴られている。

    うん。もう日本は戦後じゃない。

    ちゃんと韓国系朝鮮人の偉大な選手、とハッキリ書いてあるのがいい。
    アメリカはちゃんと日系アジア人、とかイタリア系とか言うじゃないですか、それと同じこと。日本もそうするべきだと思う。自分の国に誇りを持って何がいけない?だからうやむやにしないでハッキリすればいいと隣人?を見て思う。

    どちらが好きかと聞かれれば、やっぱり私は長嶋より王の方が好きだ。村山実の方がもっと好きだと思うけど。

  • 当時、最大の娯楽だった日本のプロ野球は、本場アメリカとは違う方向で発展していました。「ベースボール」は、日本人の精神論を反映した「野球」に生まれ変わり、独特な練習法、試合の進め方など、アメリカ人の著者の目には大変奇異に映るものだったようです。
    この本は、巨人の長島・王が全盛だった頃のエピソード満載で、60-70年代のプロ野球を知りたい人にはお勧めの本です。古本屋で購入しましたが、この時代は自分の少年時代とも重なり、いろんな記憶が甦ってきました。
    当時のプロ野球は、選手も監督もファンも今よりも随分荒っぽかったようで、太平洋クラブライオンズのファンだった私は、いつも荒れるロッテ戦を楽しみにしていました。金田監督が平和台球場のライオンズファンと口喧嘩するのは、毎回お決まりの出来事で(実は観客動員のためにわざとやっていたという噂もある)、選手同士の乱闘も多く、いつも険悪な雰囲気で試合していたのを覚えています。著者が外国人ということもあって、助っ人の記述も多く、私が初めてサインをもらった懐かしいドン・ビュフォードや、高額の契約金をもらいながらわずか2打席でアメリカに帰ってしまったホームラン王フランク・ハワードの写真もあって、この本は手放せない一冊になりました

  • (2005/01)

  • 日本のプロ野球の話。主役は主に日本で活躍したガイジン選手のことになる。ずっと外人選手が日本のプロ野球では差別されてきたという話。

    どんなに優れた選手でも日本ではスーパースターにはなれない仕組みになっている。読売巨人軍の長島、王が主役で、あとは脇役、ガイジン選手は悪役という役割が強制され続けてきた。それは一般大衆による自然淘汰でそうなってきているわけではなく、何らかの政治的な作為が働いている。

    あと、やたらと練習量が多くて、ガイジン選手は音を上げるそうだ。言われたとおりにやらねば認められない兵隊野球。きっと今でもそのシステムはあまり変わっていないのだろうと思われる。

  • 野球を通じた日米比較文化論だね。来日する外国人選手のバイブルともいわれるらしいけど、ちょつぴり古いお話もあります。日本の名選手のエピソードや、「武士道」などのキーワードを通して、日米野球の根本的な違い、日本野球の本質を、見抜いてる感じがしました。

  • まずタイトルがいろんな意味で熱いけど、内容に関しても時代を感じさせるステレオタイプがちりばめられていて軽く笑えた。

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著者プロフィール

1942年、米国ニュージャージー州生まれ。大学在学中、合衆国空軍に入隊して来日。除隊後は上智大学で政治学を専攻した。出版社勤務などを経て、日米の文化をテーマとした執筆活動を開始。77年に『菊とバット』(サイマル出版会、早川書房)、90年に『和をもって日本となす』(現在、角川文庫)がベストセラーとなる。『東京アンダーワールド』『東京アウトサイダーズ』(角川文庫)や『サクラと星条旗』『イチロー革命』(早川書房)など多数の著作がある。

「2018年 『ふたつのオリンピック 東京1964/2020』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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