- Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152090973
作品紹介・あらすじ
ノーベル賞物理学者が大胆かつ軽やかに綴る素粒子物理学によるエキゾチックな世界像。
感想・レビュー・書評
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素粒子物理学で私の理解が欠けていたいくつかのピースがはまった!
強い相互作用、クォーク閉じ込め現象、超対称性理論、ダークマターの候補などについての明晰な説明が嬉しい。
電弱統一理論の説明が詳しかった『標準模型の宇宙』、自発的対称性の破れから質量の意味を説いた『質量はどのように生まれるのか』と併せて読むと理解が深まるだろう。
物理学者の仮説の提示の仕方が興味深い。著者は漸近的自由性の発見でノーベル物理学賞を受賞している。本書は訳者の注が適切で、理解を助けてくれた。
・基本粒子(クォーク、反クォーク、グルーオン)の色荷は本来、小さく、ソフトな輻射の方が頻繁に起こる。フーリエ変換を使うと簡単に説明できる。
・リアリティーの第一の構成要素は、量子活動を盛んに行っている。量子活動は自発的であり、かつ予測不能。しかも、量子活動を観察するには、それを乱さざるを得ない。
・空間を満たすクォークと反クォークの霧は、カイラル凝縮体と呼ばれる。
・1.発達する嵐。2.高くつく相殺。3.そのバランスを取ると、アインシュタインの第二法則(m=E/c^2)から質量の95%の起源が生まれる。
・特殊相対性理論は、ローレンツ変換が前提で光速度cが導入される。量子論は波動ー粒子の二重性から、プランク定数hが導入される。一般相対性理論は、エネルギーー運動量密度には、時空の曲率が含まれているとしているが、その変換係数として、Gが導入される。この3つを使って、普遍的なプランク単位が導かれる。
・QCDは時間反転対称性の破れを許している(唯一の例外)が、実験ではない。方程式の拡張から、きわめて軽く、きわめて弱い相互作用をするアキシオン粒子の存在が予言される。ダークマターの有力候補。ダークマターのもう一つの候補は、超対称性粒子の一番軽いもの(宇宙の年齢より長い)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
物理学の最先端まで連れて行ってくれるが、なかなか理解がそれに伴わない。ノーベル物理学賞受賞者の著作。
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興味深い分野だがわかりにくかった。$$方程式も出てくる。$$
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なんだかロマンのある題名だ。
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150418 中央図書館
質量という比例定数も、究極は、ほぼエネルギーである。世界を記述するには法則方程式という言語しかないが、現在のそれは高校物理からはるか隔絶した高次元グリッドをイメージできないと、その足元にも寄れない。 -
昨今話題になっているヒッグス粒子発見の意味を知りたくて、ヒッグス粒子というキーワードで調べて見つかったので読んでみた。
内容は・・・とりあえず難しかった。これは物理の大学院レベルの人じゃないとちょっと理解の入口にも立てなさそう。
とりあえず自分が理解できたところまで書いてみると・・・
・ハドロンの衝突実験から発見された大量の素粒子は超対称性を取り入れることでQCD(量子色力学)として説明できるようになる。
・また、宇宙は真空ではなく「グリッド」で構成されており、そこでは常にクォークと反クォークが雲状に生成されている。
・このクォークとグルーオンが反応してハドロンが形成される。クォーク-グルーオン間で働く力は距離が離れる程エネルギーが強くなるので縮まろうとするが、量子力学的な効果により1点には縮まれない。そこである1点のエネルギーでバランスを取る事になる。
・そのエネルギーに対してm=E/C^2の式から質量が作られる。これがすべての素粒子が持つ質量の起源となる。
・ただしこの理論は実験値とうまく一致しない。それを一致させるためにはさらに対称性を拡張する必要がある。そうすると電磁力、強い力、弱い力の統一ができ、また、重力もそこに含められる可能性がある。
・同時にこの追加の対称性により、現状のクォーク、レプトンのさらに2倍の素粒子が存在する可能性が示唆される。これが宇宙を満たしているダーク・マター、ダーク・エネルギーの正体かもしれない。
・ヒッグス粒子についてはWボソンの質量を説明するものであるが、ハドロンの質量を説明するものではない。
こんな感じか・・・。たぶん正確ではないと思うけど・・・。
もちろん著者もヒッグス粒子の存在が確かめられる事の重要性は認めているのであるが、「話はそれでは終わらない。今の加速器にはそこまで期待してる。」ということのようだ。
というわけで、実際あまりヒッグス粒子の事は触れられていなかったのだが、統一理論の一つの仮説としてまあわかる範囲では楽しめたかなと思う。
それにしてもあまりにも難しいし、説明も足りてない気はしたが。 -
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原 邦彦 本学名誉教授推薦