窓から見える最初のもの

著者 :
  • 早川書房
3.14
  • (1)
  • (11)
  • (34)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 138
感想 : 25
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152097255

作品紹介・あらすじ

心療内科に通う女子大生、購入した油絵の真贋を疑う経営者、喫茶店の物件探しを依頼された不動産屋の女性、自分の名前を騙った失踪人に戸惑う会社員。年齢も性別も境遇もちがう4人の人生に待ち受けていたのは……細部の描写、精緻な構成が光る日常のミステリ

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • それぞれ違った人物のストーリーが代わる代わる展開するため、少し読みにくさを感じました。最後の繋がりは思ったよりあっさりでした。

  • 子供の頃に、絵の具で色を塗り合わせ、どんな色になるのか試していたことでしょう。ちょっとした加減で濁り汚してしまい、一緒にしてはいけないと知った色もありました。人の心と心も、同じように作られ彩られ、時に穢してしまうのかもしれません。
    時間をかけ、解きほぐし、真っ白なあの一日に戻していく。そんな物語。
    雪解けの先には、きっと澄み渡った海が広がっている。そこで優しく微笑み合う男女の絵が、私には見えます。

  • 131ことなるストーリーが並行して進みながら、最後に収斂して行くという手法はほんとうに苦手で、しかも時系列が飛ぶと一回だけでは理解できない。ただ登場する主役級の人々が心繊細な優しさに溢れているのが救いです。チャンネルが少し変わったら行きやすいこともあるのかもしれないね。

  •  登場人物は4人。相澤ふたばは心療内科に通う短大生。藤倉一博は100年前に早世した画家の作品に魅入られた中小企業の社長。連城美和子は不動産会社の営業、喫茶店を買いたいと言っている長谷部が半年ほど物件を決めきれずその対応をしている。御通川(ミツカワ)進は自動車免許の更新に行くと、妻と小学生の娘と平穏に暮らしている自分に家出人捜索願が出されていると言われ、その後警察署へ出頭。

     この4人の話が7つのシーンとなって次から次へと場面が変わりながら彼らの置かれた状況が変化して行きます。4人の置かれている年齢、立場に何ら共通点の無いまま、30年前の大雪そしてその事を思い出させるかのような数日前の大雪、この事がトリガーとなり一気に4人が抱える「謎」が一点に集中しながらあっという間に解き明かされて行くような感覚を覚えた作品でした。

     色々なミステリー小説を読んでいく中で、どんな仕掛けが用意されているのか、そしてどんな風に謎解きがなされて行くのか?ただ受け身で読むのではなく、自分なりにこんな展開になるのではと予想しながら読み進め、「大雪」と言うキーワードを見た時、「来た!」と思いましたが、そんな簡単に謎解きの答えにたどり着ける訳もなく(笑)、作者の掌の上で弄ばれておりました。

     余談ではありますが、御通川(ミツカワ)進がミステリ好きの妻が熱心にミステリ小説を読みふけっている姿を見て「読書とは究極の現実逃避」と思う件は、熱心にこの作品を読んでいる自分と重なり、ニヤリとしてしまいました。


  • 4人が物語の主として話は始まります

    診療内科に通い始めた短大生の相沢ふたば
    一人の早世な画家の絵に魅入られた藤倉一博
    客に寄り添い不動産売買する連城美和子
    運転免許更新で、突然失踪人だと言われる御通川進

    四人の悩みや日常生活、事件が場所を異にして
    並行して進む中、話は思わぬ点で絡み始める
    前後左右に行きつ戻りつしながら核心へ。
    最後まで読んで終着駅へ辿り着きましょう

  • 岬の心療内科似通うふたばは、クリニックのテラスで出会った湯本守をもっと知りたいと思った。しかしクリニックの看護師たちは、クリニックにはその名前の人はいないと言う。
    会社社長の藤倉は長い間探していた幻の絵画がみつかったと聞き色めき立つ。
    店舗を中心に紹介している不動産屋の連城美和子は、喫茶店を開業したい長谷部に最適な物件を紹介する。
    免許更新に行った営業マンの御通川は、自分に行方不明人捜索願いが出されていることを知らされ驚く。
    全く関係のなかった4人が、少しずつ繋がっていく。最後まで4人が直接かかわり合うことはないのだが、一人の青年を軸にした謎が解き明かされていく。一人の人間が殺され、詐欺でそれなりの大金か動いたりしているのだが、最後はほんのりと優しい気持ちになれた。

  • 誰も悪くない
    むしろチョットはらはらする人たち
    どういう風に繋がるのか・・・
    最後に彼の言葉で終わってよかった

  • 半島の先の心療内科に通う女子大生、夭折した画家の描いた行方不明の作品にとりつかれた会社経営者、喫茶店の開業を希望して物件を探す青年と不動産会社の女性社員、自分の失踪届が何者かに出されていることを知った会社員。
    4つのエピソードがきれいに集約する。

  • ゆるく繋がるミステリー。

  • 心療内科に通う短大生の相沢ふたばは、治療所で大学生の湯本守に出会う。守をもっと知りたいと思うふたば。が、彼は姿を消した。看護師に守の行方を訊くが、「そんな名前の患者は知らない」との答えが…/壁紙販売会社の社長藤倉一博は、数年来探し求めていた幻の油絵、〈六本の腕のある女〉をようやく見つけ出す。だがまもなくそれが贋作ではとの可能性が浮上し…/

    四人の視点で代わる代わる話が進むので、どうしても進行はゆっくりに。それが作品全体のさらさらした手触りに繋がっているのかもしれないけど、ちょっと焦れた。物語が繋がっていくのも良かったんだけど、重なったところで鮮やかに景色が変わる、というのではなくただどこかで交差していた、に終わってしまったので全体的に地味な印象になってしまったのかなって。不穏感が必要だったのかもだけど、家出人の件は省いてもよかったような。アガサクリスティー賞大賞作。

全25件中 1 - 10件を表示

村木美涼の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
柚月 裕子
米澤 穂信
西 加奈子
辻村 深月
湊かなえ
砥上 裕將
三浦 しをん
奥田 英朗
今村 昌弘
湊 かなえ
辻村 深月
東野 圭吾
宮下奈都
道尾 秀介
湊 かなえ
恩田 陸
塩田 武士
米澤 穂信
柚木 麻子
米澤 穂信
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×