リンカーン・ハイウェイ

  • 早川書房
4.30
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本棚登録 : 137
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (680ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152102652

作品紹介・あらすじ

刑務所から出た18歳のエメットは、母が暮らしているはずのサンフランシスコに車で弟と向かうことに。だが、その車はエメットの悪友二人に奪われてしまう。車を取り戻すためエメットはNYに弟と向かうが--。10日間の少年4人の旅と成長を描く傑作ロードノベル

感想・レビュー・書評

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  • 1954年、アメリカ。
    18歳のエメットは更生施設を出所し、弟が待つネブラスカの自宅に戻って来たが、そこには施設から逃げ出したダチェスとウーリーもいた。
    エメットと弟は、母が暮らしているはずのカリフォルニアに行き、心機一転、新しい生活を始めるはずだった。だが、ダチェスとウーリーに愛車のスチュードベーカーを奪われ、仕方なく二人の後を追ってニューヨークに行くことに。
    ダチェスは、上流階級出身のウーリーの一族がニューヨーク州北部に所有する屋敷の金庫の金をみんなで山分けすると豪語していたのだ。
    孤児院のシスター、胡散臭い牧師、妻と別れた善良な黒人男性、売れないシェイクスピア俳優、憧れの作家――道中、エメットと弟は多くの出会いと別れを経験する。

    ミステリマガジンの最新号の特集を読んでいたら、翻訳ミステリ一覧の最後に本作が取り上げられていた。謎解き要素はほぼなく、ただただ登場人物の語りと道行を楽しみました。それにしても
    食べ物描写が上手ですね。

  • 今作の表紙やロードノベルというのが前2作のエイモア・トールズ作品の印象と合わず、困惑しながら読み始めた。
    読み始めてすぐに思った。
    ま、間違いなくエイモア・トールズだ…!
    センチメンタル具合というか、全体的にうっすら湿った感じが。
    4人の少年を中心にした群像劇で、まあみんなよく喋る(会話だけでなく内心も含め)。
    この「語る」というのが著者の重心にあるんだろうなぁと思う。
    中盤以降は先が気になってめくる手を止めたくなかった。
    結末も、最初は驚いたけれどこれしかないなと思う。
    サリーがとにかく良かったなぁ。

    「もちろんわたしは善なる主がわたしたちひとりひとり、わたしたち全員に与える使命を持っていると信じているーーわたしたちの弱さをゆるし、わたしたちの力を調整し、わたしたちだけを想定してデザインされている使命だ。でも、ひょっとしたら、主はわたしたちのドアをたたきにきて、砂糖衣をかけたケーキみたいにそれを差し出さないかもしれない。ひょっとしたら、主がわたしたちに求めているのは、主がわたしたちに期待しているのは、主がわたしたちに望んでいるのはーー主のひとり子のようにーーわたしたちが世界へ出ていって、自分でそれを見つけることがなのかもしれない。」

  • 読み応えありすぎのロードノベル。深い味わいがジワーっと沁みてくる文章で描かれる、主人公格4人と脇を固める個性的な登場人物の考えや生き様が実に良い。人生を旅する小説の魅力が670Pを超えるページ数にすらあふれるほどに詰まっている傑作。

    分厚さと多視点の構成に敷居を高さを感じるが、難解な文章でもなくリズムも程良くて次第にはまっていく。腕がダルクなる書籍の重さはツラかったが(笑

    エメットとビリー兄弟、ダチェスとウーリーの脱獄組、きっちり姐さんのサリー、ユリシーズ、タウンハウス、アバカス…かれらの生き様思想のタペストリーが編みこまれた先のラスト。好みが分かれると色んな書評に書かれているが(俺は絶対に好きじゃない)、読んだものにしかこの模様の是非は語れない。

    忘れられない至高の読書時間となった。いやホンマ実に素晴らしい!

  • やっぱりこの作家は面白い
    エメット、ビリー、ウーリー、ダチェス…登場人物が魅力的

  • 読み応えありすぎ。度は終わらずで、しかし、このラストは??

  • ロードノベルかと言われると、自信を持って頷けない部分もあるかなぁ。読書体験そのものはたしかにロードノベルだけれど(笑)

    クセノスは歴史上の人物の名前のように聞こえるがクセルクセス(古代ペルシャ王)とかきセノフォン(古代ギリシャの軍人、哲学者)とかのような人名ではない。 クセノスは外国人、見知らぬ者、友人を意味する古代ギリシャの言葉だ。もっと簡単に言うなら、他者である。アバーナシー教授の言うように、 クセノスは人がほとんど気づかない、目立たない身なりをした、その辺にいる者のことだ。歴史全体を通してさまざまな姿で出現した。 夜警や従者、使者や小姓、店主、給仕あるいは放浪者として普通は無名で、得体が知れず、きわめて頻繁に忘れられているが、 クセノスは常に正しい時に正しい場所にあらわれ、出来事の過程において欠かすことのできない役割を演じる。(p.651-652)

    というのがテーマなのだろうが、色々な人たちの出会いで主たる登場人物の4人の何かが変わったようにはみえない。道行き後のサリーがエメットをどのように変えたのかが知りたかったがその前で話は終る。
    エンディングについては賛否が分かれそう。
    どこかトレヴェニアンを思わせた。

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