著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163159706

感想・レビュー・書評

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  • 再読。日野啓三の小説を読んでいる最中はとても意識が過敏になる。纏わる空気の微粒子を一粒一粒皮膚に感じる。自分の内なる宇宙と外へと永遠に広がる宇宙とが邂逅する。有機物と無機物が溶け合い蠢き出す。光があるから影が生まれ闇が現出する。強烈なハレーションに立ちくらみながら再び生きることを渇望する。身体のメカニズムが一新したような感覚に陥る。月での光景と対比させながら、無機質な都市に、ビルとビルの狭間に光と無限を描き出す筆致は筆者ならでは。私はその光景を探したくて、この薄汚れた都市に固執してしまうんだ。

  • 当時の「近未来の東京」を舞台に、ある事故をきっかけに逆行性健忘症に罹ってしまった宇宙飛行士が記憶を取り戻していくまでを描いた物語。

    かなり独特の世界観、だと思います。
    マニアックな喩えですが、廃墟、好きな方には、いいんじゃないかと。
    決して、万人向けではありませんが、現実離れした設定の中に込められた普遍的なメッセージ、そして、宗教的ですらあるラストシーンの圧倒的なカタルシス、これこそは作者・日野啓三の真骨頂であり、わたしは、この作品を日野文学の最高峰、その辿り着いた一つの高みであると思います。


    ブログのレビューはコチラ。
    http://astime.jugem.jp/?eid=151

  • 日野氏を制覇しようという決意の切っ掛けになった本。でもこれに勝るものはない、と今のところは思ってる。

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著者プロフィール

1929年東京生まれ。幼少期を朝鮮で過ごす。新聞記者ののち作家活動に入る。主な著書に、『抱擁』『夢を走る』『夢の島』『砂丘が動くように』『Living Zero』『台風の眼』など。2002年逝去。

「2015年 『日野啓三/開高健』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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