人民に奉仕する

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 60
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163253008

作品紹介・あらすじ

毛沢東の有名なスローガン、「人民に奉仕する」の木札が動く度、炊事班長・呉大旺は軍師団長の妻である、若く美しい劉蓮の待つ禁断の寝室へと向かった。「私に奉仕することが人民に奉仕することになる」劉蓮の大胆な誘惑に、はじめは師団長を恐れていた呉大旺も一線を越えて…。

感想・レビュー・書評

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  • この10年ぐらいで読んだ中で最も完璧な恋愛小説の一つではなかろうか。あとは「ティモレオン」(ダンローズ)と「夏の闇」(開高)。ところどころ説教調なのが中共政府を気にしながらまた中国の伝統説話スタイルなのも面白い。現代の紅楼夢ともいうべき傑作。紅楼夢なんて未読やが。

  • 愛の起爆剤として、かの国の指導者関連グッズが破壊されるため本国ではNGらしい。
    性描写は、あれハーレクインですか?というような例えに例えを重ねたもの。読むと笑ってしまう部分もあるが、改めてこのような表現に出会う機会も貴重。
    構成もメタ的視点を少し持ちつつ、それがわかりやすさに繋がっている。
    ラストも気に入った。
    他の作品も読んでみたい。

  • 「為人民服務」=「人民に奉仕する」

    強烈な皮肉に感じる一方で、
    全てが手の上で踊らされていたということなら、
    ある意味“人民への奉仕”なのかもしれない。

  • メロドラマ、ではあるのだけど、ただロマンスだけを描いたものではない。
    中国の特に農村部の生活の苦しさがみっちりと肌で感じられる。
    二人の愛が最高潮に達した場面は圧巻。
    ラストも詰め込み過ぎず、とても良い読後感だった。

  • 『愉楽』の著者の出世作。主人公の炊事兵は師団長の家に勤務するがその奥さんと本当の愛を知り、その日々は終わりが近づく…… 現代中国社会のしがらみにがんじがらめになっていいる男女が許されない愛に溺れる。そのまま心中するのではなく、その後の人生があるのだ。読んでて個人的に思うに、『チャタレイ夫人の恋人』の男性視点からの換骨奪胎か。ラストシーンは非常に抑えた筆致で、二人に良い方に考えたい。発禁処分を受けた小説であるがこりゃ怒られるのはわかる。小道具の使い方がうまい。この作家は相当なロマンチストだと感心した。推薦。

  • 毛沢東の有名なスローガン、「人民に奉仕する」の木札が動く度、炊事班長・呉大旺は軍師団長の妻である、若く美しい劉蓮の待つ禁断の寝室へと向かった。「私に奉仕することが人民に奉仕することになる」劉蓮の大胆な誘惑に、はじめは師団長を恐れていた呉大旺も一線を越えて…。

  • 『丁庄の夢』と同じ作者。
    前から気にはなっていたが、
    どうしてもなかなか読みたい気分にならず放置していた。

    悲しいのは貧しい地域のなかでも
    まだ昨日を捨てていない人々の望むことが、
    文革時代もいまも根本的には何も変わっていないこと。

    確かに物語のほとんどが身分の違う恋のように描かれているが、
    その2人の会話には悲しい現実が常に渦巻いているし、
    発展している都市しかしらないと見えてこない
    生の「中国」がぎっしり詰まっていて苦しい。

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著者プロフィール

1958年中国河南省生まれ。80年代から小説を発表。2003年『愉楽』で老舎文学賞受賞。その後、本書を含め多数の作品が発禁扱いとなる。14年フランツ・カフカ賞受賞。ノーベル賞の有力候補と目されている。

「2022年 『太陽が死んだ日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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