小説・安田善次郎 儲けすぎた男

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163293509

作品紹介・あらすじ

裸一貫から財閥をつくった男の辛抱、先見の明、ここ一番の勝負勘!露天の銭両替屋から日本一の銀行家へ登りつめ、東大に安田講堂を寄付した男の、儲けて儲けて、儲けまくった生涯。

感想・レビュー・書評

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  • 学生時代に なぜ東大の講堂がが、安田講堂と、呼ばれるのか?と、思ったことがあった。
    その後、5財閥の所以を知って、なるほどと、思っていたいたのだが、、その安田善次郎氏の事を読んだ記憶があるのだが、、、、この本を手に取って、再度読んでみた。

    混乱期時代に、先見の目を持ち、又、両替商時代も、命を賭けて、自分の信念をも貫き生き抜いてきたのに、暴漢に襲われてしまった事が、残念である。

    富士銀行も合併して行くのだが、芙蓉グループとして、商社から、金融、損保、食品、建設など、今でも 大手ばかりである。
    安田という名前の冠している企業が、少なくなって来たけど、、、、


    しかし、お金は沢山稼いで、企業を大きくして、日本をも活性化して行ったのに、家庭には、恵まれていたのだろうか?
    変革の時代、激動にも立ち向かって行った波乱万丈な生き方に、凄さを感じる本であった。

  • ハングリー精神と勝負どき

  • 儲けすぎた話が少ないからか臨場感に欠けた。
    経過を省いた結果だけ見ると確かに儲けすぎているが、なぜか興味のあるところが飛ばされているというか。
    ところどころ面白いがいまいちの本だった。
    しかしながら混乱期というのは恐ろしい。

  • みずほ銀行の大本である安田財閥の 創設者『安田善次郎』さんの生涯を描いた一冊。 「裸一貫」という言葉をあてはめたかのような人。 何も持たないところから、日々の努力と 先を見据える天分の才、そして謙虚な心でひと財産を築きあげ、 銀行を築き、晩年に不幸な事件で殺されてしまう…。 非常に興味深く、感銘を受けながら読みました。 江戸時代から明治にかけてのお金の流れや 日本人の金(きん)への執着を知ることができる。

  • 安田財閥を0から作り上げた、安田善次郎のお話。

    何度も分岐点があった。
    止める機会もあった。
    でも止めなかった。
    先を読み続けた。
    儲けまくった。
    儲け続けた。

    時代が違うとか、状況が違うとか言い訳せず、
    今何ができるのか、チャンスなのかを考え続ける。
    まずチャレンジしてみる。

  • 本日ご紹介する一冊は、ひさびさに読者の方のリクエストにより手
    に取った一冊。

    幕政時代の富山藩に生まれ育ち、裸一貫から財閥をつくった男、安
    田善次郎の生涯を描いた小説です。

    両替商として評判を高め、強盗に襲われるリスクを冒しながら看板
    を出し、包み金で一財産を築く。

    さらに、一世一代の大勝負、太政官札の買い占めで大きく財産を増
    やした。

    その後は、三野村の口利きで本両替商になり、司法省の公金を一手
    に引き受け、日本一の銀行家へと登りつめる…。

    その過程には、数多くの苦労と、彼を見守り続けた支援者たちの存
    在がありました。

    善次郎をわが子のように可愛がり、妻房子まで世話した相模屋の徳
    兵衛、ライバルながら善次郎に親近感を覚え、本両替商に推してく
    れた三野村、そしてかつての恩を忘れず、善次郎に公金を預けてく
    れた山路…。

    なかでも、相模屋徳兵衛が亡くなる直前のエピソードは、涙なくし
    て読むことはできませんでした。

    「商売は信用である」という基本原則の大切さ、そして人を大切に
    することの意味を、痛感させてくれる一冊です。

    小手先のノウハウよりも、心意気。
    知識よりも行動する勇気。


    善次郎が大講堂の建設に寄付した百万円という金額は、当時の白米
    の小売り価格から類推すると、約四億円に値する大金である

    死の前年の大正九年、善次郎率いる安田家の勢力範囲にあった銀行
    は、主力の安田銀行(戦後富士銀行を経て現在みずほ銀行)を始め
    二十行、その預金総額は六億六千九百万円あまりであった
    ※当時の一円は現在の四千円弱

    「いいかい。世の中の動きにただ身を任せていては駄目だ。世の中
    を先取りするような商いを見つけることだ」(徳兵衛の言葉)

    「何が起きても不思議はない。でもね。金だけはどんな時でも大事
    なもんだ。金さえあれば、すべてを乗り切れるのがこの世だよ」
    (徳兵衛の言葉)

    「一方だけに肩入れしてはいけない。商いというものはまつりごと
    に深入りしてはいけないんだ。いいね」(徳兵衛の言葉)

    (老人は)一文を届けた善次郎の行為に報いるためか、自分の店の
    近くに大きな両替屋があるにもかかわらず、わざわざ善次郎の店で
    両替をしてくれるようになった

    ──もし、よろしかったら、こちらから両替に出向きますよ。
    善次郎が愛想良く言うと、風呂屋の主人は喜んだ。
    ──来てくれるなら、うちだけではすまないから、近所の店にも声
    をかけてみるよ

    「鰹節や卵の売れ行きがいいと、本業である両替屋のことを忘れる
    輩が多い」(徳兵衛の言葉)

    「いいか、多少は損だと思っても、いい海苔を勧めるんだ。ひとつ
    ひとつの品で商いの損得を考えるのは愚かなことだよ。いつも言っ
    ているが、馴染みの客をどれだけ増やすかが商いだ」(善次郎)

    一時の不安や戸惑いで、商いの本筋から逸れてはならない

    力を持った者は、必ずその力で人をねじ伏せるものだ(父・善悦の言葉)

    「長吉、しばらく時期を待て。いずれ、この札を買いまくる時が来る」
    ──時には流れに逆らってでも、商いの勝機をつかめ

    ──商いは世の動きでどうにでも変わる。時期を待つのも商いの道だ

    「いいか。安田屋。わしは何も求めぬ。あの慶応三年という物騒な
    年に、お前は身の危うさを顧みず、わしの用を果たしてくれた。わ
    しも、それ相応の礼をしたとは思う。だが、あの頃、勇気を持って
    御用を務めてくれたのはお前だけだ。今度のことは、その豪胆な気
    構えに対するわしの礼だと思ってくれ」(山路の言葉)

    「こちらが欲しがっていることを素直にさらけだすのはまずいのだ」
    (善次郎)

  • 流れを読み、裏をかく勝負をする
    流れをよみ、耐えるときは耐える
    準備が大事。つまり、そのために情報収集が大切。
    力を持った者は、必ずその力で人をねじ伏せるものだ
    時の流れに逆らってでも、商いの勝機をつかめ。

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