昭和の遺書: 南の戦場から

制作 : 辺見 じゅん 
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163563008

作品紹介・あらすじ

太平洋戦争中、前線の兵士たちが愛する家族に遺した「最後の声」に耳を澄ましてほしい!真珠湾攻撃で戦死した19歳の航空兵から、冤罪にも従容として死についた62歳の中将まで、82人の遺書・書簡・日記。彼らが命と引きかえに伝えたかったものとは。

感想・レビュー・書評

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  • (2006.09.13読了)(2005.11.27購入)
    角川文庫で「昭和の遺書」全3巻が出ている。購入して、積読中。角川文庫の続巻みたいな形になっている。戦地から日本の家族に当てて出された手紙や、戦場に出て行く前に残していった遺書、死亡した兵士が残した日記などが収められている。
    手紙、遺書、日記の後に、辺見さんが遺族から取材した思い出が書き添えられていて、どのような人たちがどのような思いで書き、遺族がどのような気持ちで読み、過ごしてきたかが分かります。
    戦場から軍事郵便で出されたものは、検閲が入るので、何処にいるのかとか、弱音を吐くようなことができないので、ありきたりのことしか書けないようです。書き手の家族への気持ちがよく出ているのは、日本へ戻る人が日本へ戻ってから国内で投函されたものでした。日本の家族が、戦場の兵士に小包や、手紙を出すときはどのように宛名を書き、郵便局は、どのようにして届け先を調べて届けていたのでしょうか?子ども電話相談ででも聞いてみたいものです。
    歴史の本では、そこで戦った人間が見えてきませんが、「昭和の遺書」を読むと何処で戦って、又は病気で、死んだのか書き添えてありますので、当たり前のことですが、戦争は人間がやっているのだということがわかります。

    ●軍隊の力(174頁)
    軍隊の力は偉大である、と同時に恐ろしい。自己の存在というものが薄くなってゆく。
    ●からす(278頁)
    長野県の上田では、太平洋戦争の末期、沢山いたからすがいつの間にかいなくなった。南方へ弔いに行ったというのだ。坊様のように黒い衣を着たからす。そのからすが遠い南の島で戦死した夫や息子、父や兄弟たちの弔いに自分たちの代わりに行ってくれたのだと信じる人々の心情に胸を突かれた。

    ☆辺見じゅんの本
    「収容所から来た遺書」辺見じゅん著、文芸春秋、1989.06.25
    「戦場から届いた遺書」辺見じゅん著、NHK人間講座、2002.12.01

    著者 辺見 じゅん
    1939年 富山県生まれ
    早稲田大学文学部卒業
    1975年 「呪われたシルク・ロード」で作家デビュー
    1984年 「男たちの大和」で第3回新田次郎文学賞受賞
    1988年 「闇の祝祭」で第12回現代短歌女流賞受賞
    1989年 「収容所から来た遺書」で第11回講談社ノンフィクション賞受賞
    1990年 「収容所から来た遺書」で第21回大宅壮一ノンフィクション賞受賞
    1998年 「夢、未だ尽きず」で第9回ミズノスポーツライター賞受賞
    作家・歌人として活躍中

    (「MARC」データベースより)amazon
    真珠湾攻撃の最初の戦死者から、BC級戦犯としてアドミラルティー諸島のマヌス島で処刑された中将までの八十二名の書簡などを収録し、解説を加えた。87年「昭和の遺書」編纂後に届いた手紙を、あらたにまとめたもの。

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