ラブ&フリーク: ハンディキャップに心惹かれて

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163563404

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  •  北島の2冊目である。ペンが随分と落ち着いている。障害者と社会の間に存在する欺瞞をぶち壊そうと開始したプロレス興行が波に乗る。すると今度は、障害者が自分自身と向き合わざるを得なくなる。身体的な苦痛、将来への不安、家族との折り合い、恋愛への憧れ……。ある者は酒に溺れ、ある者は忽然と姿を消してしまう。夢に向かってスタートした1冊目(『無敵のハンディキャップ』文春文庫)とは打って変わって、北島の苦悩は深い。

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  • 障害者プロレス・ドッグレッグスの障害者レスラーたちの波乱万丈の人間模様を描いた「無敵のハンディキャップ」の続編。
    母親との関係や仕事が上手くいかずドッグレッグスの試合も精彩を欠いていた矢野慎太郎は、自分はプロレスがやりたいという意思を母親と戦いながら貫き、菓子パンマンとタッグを組み北島たちのタッグに死に物狂いで戦い勝利することでドッグレッグスの看板選手となった。
    酒と金と女のトラブルにまみれた浪貝は、ドッグレッグスの試合で出会った女性と結婚したいと思って、厳格な兄と母親の許しを得るために実家で自立した独り暮らしの練習をする中で母親が倒れてしまい、浪貝が母親の面倒をみることになり、「もうおふくろに心配かけることはしない」と決意した浪貝はドッグレッグスを辞める。
    菓子パンマンの面倒をみている神山は、障害者が安心して働ける受け皿を作りたいと日焼けサロンを開く。
    菓子パンマンは、ドッグレッグスの試合で良い結果を出し、神山たちと信頼関係を築き上げられて、安定した暮らしが出来ている。
    ドッグレッグスで歓声とスポットライトを浴びていても、親や職場に認められ結婚して家庭を持つ世間並の幸せを持つことを求める浪貝や矢野慎太郎たち障害者と「親や世間が認められる仕事じゃなく自分に向いた仕事をすれば良い」と言う北島や神山のもどかしいすれ違いは、障害者の中にも世間並の幸せを求め過ぎて自分に向いていない過酷な仕事をして遠回りしてしまう心のバリアがあることを描いていて、障害者や健常者に限らず何が本当の幸せなのかを考えさせられる傑作ノンフィクション。

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著者プロフィール

1965年、東京生まれ。91年、障害者のプロレス団体「ドッグレッグス」を旗揚げし、代表に就任。毎日新聞社学生新聞部「毎日中学生新聞」の契約記者を4年間務め、97年2月よりフリーランスになる。98年、処女作『無敵のハンディキャップ』で講談社ノンフィクション賞を受賞。小説、ノンフィクション、漫画原作と幅広く活動する中、ゲームシナリオも手がける。主な著書にノンフィクションの『ラブ&フリーク』『弾むリング』、小説の『バケツ』『サークル』、漫画原作に『ハマトラ THE COMIC』など。

「2018年 『無敵のハンディキャップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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