- Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163691800
作品紹介・あらすじ
法王は言った。「悪魔は実在する」。前ローマ法王のヨハネ・パウロ二世は、その在任中に、三度エクソシストとして悪魔祓いの儀式を行っている。なぜ、中世の遺物であった悪魔祓いの儀式が現代において復活したのか?LAタイムズの女性敏腕記者が、深く分け入った「現代の悪魔祓い」。
感想・レビュー・書評
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日本で唯一?のバチカン公認エクソシストの方のインタビュー記事の中で、「悪魔憑きの98%は科学的に理由がつき、本当の悪魔憑きはわずか2%程度」というようなことを読み、興味を持ったため本書を読むことにした。
日本人エクソシストの方が言うように、精神疾患を恥だと思う社会的環境や、「辛いことは悪魔のせい」と思いたいある種のかなり強い自己暗示により、無意識に悪魔憑きを演じている人が大半とのこと。そのため聖職者の中でも、そもそも悪魔憑き自体にかなり懐疑的な人もいるらしく、カトリック教会内でも意見が割れているそう。
また集団ヒステリーを起こしたりカルト的になる危険もあるために、悪魔祓いの儀式にはバチカンも慎重にならざるを得ないという。バチカンでは、エクソシスト育成の専用カリキュラムもあると聞いていたので、かなり慎重な姿勢というのは意外だった。
もう一つ意外だったのは、聖職者が案外バチカンの言うことを聞かず、各々自分の解釈で動いているということ。教会に忠実なのかと思いきや、アフリカ系神父のように新興カルトにも思える儀式を大々的にやったりする者もおり、カトリック教会に対する印象も変わった。
悪魔祓いの儀式がある種セラピーのような役割を果たすため、心の疲弊している人が多い現代において、悪魔祓いのニーズが高まっているのは必然なのかもしれない。しかし一方で、儀式に依存すると精神疾患など本来の問題から目を逸らすことになり、問題の根本解決を妨げてしまう。そのあたりのバランスが難しいため、現代では精神科医と教会が連携し、本物の悪魔憑きかどうか、悪魔祓いと治療のどちらが必要であるかを見極め、判断するのが重要とのこと。誰でも受けられる日本のお祓いと同じくらいのノリかと思っていたので、これもまた意外であった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
イタリアにおける悪魔祓い・エクソシストの実態を、歴史的背景や実例に基づき客観的かつ冷静な視点で描いた本。著者が私見を極力挟まず、様々な考えを持つ人達を紹介している点が読みやすく興味深い。
本書でも紹介されているアモルス神父をモデルとした映画「バチカンのエクソシスト」が今夏公開となるため興味を持ち読んだが、現実に生きる人々にどんなことが起きているのかということを理解でき知見が深まった。
迷信深い(信仰が篤い)地域では精神病を認めることは恥であり、そのためすべてを悪魔のせいにできることが望まれる、というのは納得感がある。また、教会も信者を維持したいので悪魔祓いを否定することはできない(そのため教会の中でも意見の対立が起きている)。
端的に言うと「悪魔が実在する(ことになっている)ほうが都合がいい人がいる」ということではないか。
「悪魔憑きは狐憑きみたいなものかな?」と思って読んでいたが、訳者あとがきで少し触れられていた、神と悪魔は二項対立だが日本の狐憑き・妖怪の概念は違うという話がしっくり来た。
個人的には最終章の催眠や精神障害の見地からのアプローチが最も納得感が高かった。
「世界には色んな文化の土壌があり、色んな考えの人がいるんだな……」ということをしみじみと実感した。
映画「バチカンのエクソシスト」は予告を見る限りホラーエンタメ映画のようだが、本書を読んだことでその文化的・社会的な背景に思いを馳せつつ観られそうだと思った。
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若干退屈。
日本にも狐憑きとかあるけど、
なぜか悪魔は嘘くさく感じる…
まあその文化の影響が強いから仕方ないけど。
アフリカンエクソシスト怪しすぎ‼︎ -
期待したほど、
おどろおどろしくもなく、
心理学的でも、学術的でもなく、
さらりと現代のエクソシストをとりまく環境をまとめた本。
悪魔憑きが女性に多いことや、
イタリア人が迷信深いこと、
とくにイタリア南部では精神病を恥だと思っていること、
読めば読むほど、
世界中で見られるいわゆる「憑きもの」であることは間違いない。
エクソシストは単なるヒステリー症状でも、
精神病でもなく、
確かに悪魔が存在していると主張するが、
結局はキリスト教文化圏における
精神的不調の肉体への現れにしか思えない。
狐に憑かれた人は十字架を怖がらないし、
悪魔に憑かれた人は油揚げを食べない。
それぞれの存在を信じる文化圏のなかにあり、
無意識にでもその存在を信じるがゆえの、
「憑きもの」である以上、
純粋な肉体的な症状ではなく、人間の意識が介在する現象だ。
「信仰が衰えるところ、迷信が成長するのだ」とエクソシスト、アモルス神父がエッセイに書いたと引用されていたが、
それは違う。
キリストへの信仰があるからこそ、悪魔が現れるのだ。
そうでなければ、
なぜ神とともに何千年と生きているはずの悪魔が
ヨハネ・パウロ二世の写真に動揺するのか。
動揺しているのは、
憑いている悪魔ではなく、
ヨハネ・パウロ二世を知っていて崇めている憑かれている人間の方だ。
ある意味でエクソシスト好き悪魔好きの、アメリカではなく、
迷信深いイタリアに悪魔憑きが多く発生している事が興味深かった。 -
友人が読んでいたので図書館で借りてみた。
宗教関連の話になるのでぴんと来ない部分も多いが、(実際にはインタビューをまとめたものなのだが)読み物として見るとなかなかに面白いかもしれない。 -
「エクソシストとの対話」の方が良かった
踏み込みが甘く消化不良 -
LAタイムズの記者によるエクソシズムについてのレポート。比較的客観性を重視して書かれているため、読み物としては少し退屈な部分もあるかも。
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35/100
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本屋さんでタイトルに惹かれて購入しました。
少しお金を持っているとこういう衝動買いをしてしまいます。
まだ読んでいないのでこれも年末に読みたいです。