ありがとうって言えたなら

著者 :
  • 文藝春秋
4.06
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本棚登録 : 358
感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163908106

作品紹介・あらすじ

決して仲のいい母娘じゃなかった。だからこそ、今、お母さんに伝えたいことがある――。余命宣告、実家の処分、お墓や遺影のこと、最後の旅行、そして緩和ケア病棟へ。「母の死」を真正面から描いた、涙なしでは読めないコミックエッセイ。「すい臓のほうに何かあるって」。大阪で暮らす姉から、エネルギッシュで毒舌でコワモテの美人の母が、余命1年のすい臓がんだと告げられた。 釧路で一人暮らしをしていた母は、看護師をしている姉の元へ身を寄せ、通院と治療が始まった。抗がん剤の副作用や痛みに気分が浮き沈みし、母のイライラは最高潮。心はガチガチに閉じていて。余命宣告、実家の処分、お墓や遺影のこと、家族総出の最後の旅行、そして、緩和ケア病棟へ。誰もが経験する大切な人との別れは、想像と違うことばかり……。決して仲のいい母娘じゃなかったかもしれないけれど、だからこそ、今、お母さんに伝えたいことがある――。思わず「お母さん」ってつぶやきたくなるコミックエッセイです。

感想・レビュー・書評

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  • 著者初読み。お母様の看取りの話。強い母に姉妹や自分の家庭が巻き込まれ暗くなりそうなのを笑いある作品に仕上げてるのはさすが。セラピー的なものに頼るのは、お金払ってる分遠慮なく話せるとはなるほど。来るべき時に思い出すかも。

  • 2度目の読了
    1度目は泣いて泣いて、なんと書いていいものか…と思い感想を残さずにいた

    瀧波さんは、母親が亡くなるって事に対してちゃんと向き合って対処して、自分の気持ちにさえ対処しようとして、それを実行しているのが凄く立派に思えた

    私は自分の母の死にそうやってちゃんと向き合えるのだろうか…と考えてみる…でも想像もつかないし、その事に対してやっぱり怖くなってしまう
    うちは妹の方がどちらかというと母にべったりで、私はフラフラといい距離感(と自分では思ってる)で接してきたつもりだけど、そんな私でも もしかしたら母が亡くなった時に妹よりも取り乱してしまうんではないだろうか…という心配はある

    妹と共倒れにならないように、瀧波さんとお姉さんのようにしっかり向き合っていけたらなと思う

    • yukimisakeさん
      schieleさんこんばんは。いつもありがとうございます。
      僕も母が3年前に亡くなりまして、癌だったので覚悟はしていたのですが、母が闘病中に...
      schieleさんこんばんは。いつもありがとうございます。
      僕も母が3年前に亡くなりまして、癌だったので覚悟はしていたのですが、母が闘病中にこの本を読めていたらもっと違っていたかも知れないなと思いました。

      ありがとうって生きてる時にもっと伝えておけば良かったなと、schieleさんの感想を拝見して思いました。

      schieleさんのお優しさが伝わる感想でしたので、思わず泣けてしまいました。
      2023/10/15
    • schieleさん
      yukimisakeさん、こんばんは
      こちらこそいつもありがとうございます!

      それはお辛い経験をしましたね…それに癌だとお母様も大変辛かっ...
      yukimisakeさん、こんばんは
      こちらこそいつもありがとうございます!

      それはお辛い経験をしましたね…それに癌だとお母様も大変辛かったでしょう…
      闘病ってやはり本人と、その家族にしかわからない辛さってあると思うので、外部の人にはあまりうまく伝わらないんじゃないかと感じるんです私は  
      だからこそ、本人も家族もそれをグッと堪えるしか無くて、より辛い思いをしたり誰にも言えない気持ちを自分自身で消化するしかなくなっちゃう…瀧波さんのように半信半疑でもセラピーとか、他者に頼る事も大事だと思います(私もあまりそういうのは信じてないんですが、乗り越える一つの方法としては否定しません)

      3年前だとまだまだ最近ですね…ほんの少しは気持ちが上を向きましたか?
      そうやって、ありがとうってもっと言えば良かったとyukimisakeさんが思っている事はきっとお母様に伝わってるはずだと思いますよ!私まで書いてて泣いてしまいました…涙腺ゆるゆるおばさんですw

      コメントありがとうございました!
      私もいつか必ずくる家族との別れは頑張って乗り越えようと思ってます
      2023/10/15
    • yukimisakeさん
      本当にお優しいお言葉をありがとうございます、泣きました…。
      母は幸いと言って良いのか分からないんですが、最後はそんなに苦しい思いもせずに眠る...
      本当にお優しいお言葉をありがとうございます、泣きました…。
      母は幸いと言って良いのか分からないんですが、最後はそんなに苦しい思いもせずに眠るように亡くなりました。
      まだ時々思い出しますが、友人や本に支えられて立ち直れています、ありがとうございます!

      仰る通り、話しても伝わらないのであまり話さなかった気がします。
      泣かせてしまい、申し訳ありません!schieleさんのお優しさに凄く今救われた気持ちです!

      早かれ遅かれ避けては通れませんもんね…。でも、これを読まれた事でその時は少しでも向き合えると良いですよね。
      ありがとうございます。
      2023/10/15
  • ズシンと来た。
    私ももれなく自分の母のことを思った。

    瀧波さんのお母さんと私の母は似ている。
    電話してもまだ話が終わっていないのに勝手に切るとか、一方的に言いたいことだけガンガン言うところとか、娘の私は母に「電話する」こと自体がもう辛いこととか。

    著者が手紙と似顔絵を送った時、嬉しいと泣いていたお母さん。「ずっと嫌われてるんだと思ってた」とお母さんが言っていたとお姉さんから聞くエピソード。
    ここが一番印象に残ったかな。

    年に2回くらいしか母に電話しない私。母からも来ない。
    母は、私が嫌っていると感じ取っているのかもしれない。
    それはそれで、ツライなぁ。
    私はいつか母にありがとうと言えるのかな。

    それと、お母さんにいつも小言を言われてもへこたれなかったお姉ちゃんエライ!私だったら突き放しちゃうかも。

  • 余命1年とすい臓がんを告げられた母。母の闘病、兄弟の苦労、母の強い個性によることで面白おかしく書かれているところもあるが、著者の母への思い、辛さで涙した。自分の母の死と重なるところもあって(ガンとか自分も母親と決して仲がいいってわけではなかったこととか)、より一層。家族で闘病していないとわからない、実体験として書かれている。自分にはもう両親はいないが、いろんなことで悔いを残さないようにと周りのみんなにオススメしたい本。

    • ひとしさん
      こんばんは!
      私も父親を白血病で失くしているので、なんかきそうな内容ですね!是非、読んでみたいと思います。
      こんばんは!
      私も父親を白血病で失くしているので、なんかきそうな内容ですね!是非、読んでみたいと思います。
      2018/04/17
  • たとえどんな親でも、子どもにとってはたった一人の親。卵巣癌の終末期の母を介護している最中、父に膀胱と腎臓と肺に進行した癌が見つかり途方に暮れていましたが、大変参考になりました。
    この本を一緒に介護している弟にも読んでもらおうかな。両親の介護があとどのくらい続くのかわかりませんが、悔いを残さないようやっていきたい。しばらく手元に置いて時々ページをめくることにします。

  • 自分の母親のことって大好きだけど、大好きだけではいられない人も多いんではないか。関係が近しく本音でぶつかる事も多い分相手のいいところも悪いところもダイレクトにやり取りする関係。
    特に瀧波さんの母親はパワー溢れる情にも厚い個性的でもある方だったので尚更だと思われた。
    瀧波さんの母親が病を発見されてからの余命の日々が瀧波さんの視点から描かれている。実際の介護はほぼお姉さんの家庭において(個人的にこのお姉さんはマジ菩薩か天使かというくらいの献身ぶりだと思った。職業柄なのか元々の性格なのか)なので、実際身体を動かすような介護ではないけれど、精神的にもかなり消耗する期間だったようだ。
    親が老いてきたという現実に気付き始めた30代40代の娘には深く突き刺さる内容ではないかな。

  • 一年前に亡くした弟と母、特に母との最後の数日を思い出しました。それぞれの家族にそれぞれの物語があるけれど、作者の方の混乱や喪失感がとてもよくわかりました。

  • 自分がこの先迎えるであろう母との別れもこんな過程を踏むのだろうか。
    読み始めからそんなことがずっと頭をよぎっていました。
    クスッと笑えるシーンも多いなか、胸が締め付けられるような描写が後半に進むにつれて増えていくのが切なく、無言の母子のハグの場面は思わず涙がこぼれました。

    それにしても、お姉様の強さというよりも、たおやかさがすごい。

  • "「母」と「電話」
    これほど相性の悪いものがこの世にあろうか?"

  • 「臨死!江古田ちゃん」の瀧波ユカリさんが、こういうものを描くとは意外。流行の(?)母娘ものなので、「毒親と娘」的などろどろした内容かと思ったら、そんなことはなかった。

    お母さんは、まあ個性が強い人ではあるけれど、歪んだ感じはしない。瀧波さんとお姉さんの二人がすごくけなげ。特に看護師をしているお姉さんの献身的なこと。小さい子ども二人を抱え仕事をしながら(しかも看護師だから夜勤がある)、癌で余命宣告されたお母さんを引き取り、最期まで看取る。なかなかここまでできないと思う。

    そのお姉さんに、当のお母さんは感謝するどころか、ずっと辛く当たってきたと書かれていて、うーん、ここらへんにやはり何かありそうだ。それでも、大方の場合母親に対しては、怒ったり困惑したりしながら、でも、程度の違いはあれ、愛着の思いがあるものだと思う。そういう正直な気持ちが率直に描かれていて、しんみりとした読後感だった。

    作者は、お母さんが亡くなった後、街でちょっと似た人を見かけると、「お母さんのほうがもっときれいだった」と思う、と書いていた。その気持ちが切ない。

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著者プロフィール

漫画家。北海道生まれ。著書に『臨死!! 江古田ちゃん』『あさはかな夢みし』『モトカレマニア』(以上、講談社)、エッセイ『はるまき日記』『ありがとうって言えたなら』(以上、文藝春秋)など多数。

「2023年 『わたしたちは無痛恋愛がしたい ~鍵垢女子と星屑男子とフェミおじさん~(3)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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