光の人

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 93
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163908977

作品紹介・あらすじ

戦後、1000人の孤児の生を支えたひとりの男がいた!NHK「プロジェクトX」の元プロデューサーが描く、実在の人物をモデルにした感涙の物語。 太平洋戦争当時、東京大空襲などによって、多くの戦災孤児がうまれました。戦後の混乱のなか国の支援もなく、両親も家も失った孤児たちは、ある者はなすすべもなく命を失い、またある者は生きるために悪の道を受け入れざるをえませんでした。 その孤児たちに手を差し伸べたのが、本作『光の人』の主人公、門馬幸太郎です。二十代の若き門馬は教師の職を投げ打ち、収入の見通しもないまま、孤児たちとの共同生活を始めます。 実は、この小説には実在のモデルがいます。NHK「プロジェクトX」のプロデューサーだった著者の今井彰さんは、パーソナリティをつとめるラジオ番組でこの人物に出会いました。その生き方に心を打たれた今井さんは以来、取材を重ね資料を集め、書き下ろし小説として、彼の人生を結実させたのです。 食糧難から親の虐待へ。孤児たちが味わう苦しみの様相は時代とともに変わりますが、門馬は公的な支援がないまま、その一切から逃げることなく、戦後1000人の孤児を育てました。その背景には、門馬自身の悲惨過ぎる戦争体験がありました。 こんな素晴らしい男が日本にいたのか。そんな圧倒的な感動と衝撃に言葉を失います。読めば絶対に泣けてしまう、心を揺さぶる感動巨編の誕生です。

感想・レビュー・書評

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  • 名付がもつパワー

    素晴らしい本でした。
    年若い青年を「パパ」と呼ぶ描写に初めは気恥ずかしさを覚えたのですが読んでいくうちに懐の深さや安心感に他に呼びようがないぐらい、しっくりくる。パパより更に若い「かあちゃん」や「じいちゃん」、皆名前をつけ役割を持つとその名に相応しい行動をとるべく頑張る。「命の家」という名前もそうです。
    必ずしも名は体を表すとは言えないこともあるかも知れないけれど、こうなるんだ!という強い意志を表明する言葉というのは案外大きな力となるのではと思いました。

    事前情報なしに読んだのですが実話を元にした話と知り驚きました。このような方がいらしたことを教えてくれたこの本に感謝です。

    ちなみに戦争の描写が苦手な方は初めと終わりに出てくるのでお気をつけください。かなり苦手な方ですが必要な描写だと思ったのでなんとかその部分も読みました。このお話全体の素晴らしさは他の方も書いてくださっていると思うので割愛します。

  • どんな大変な時期を過ごそうと一点の光に照らされていれば頑張れることもある。この人に出会えただけで生きている環境が180℃変わってる子供が何人もいると考えるとやはり偉大な人だと思う。こんな慕われる人間になりたいけど、あそこまで自分を犠牲にできるのは簡単ではないのも事実。良い本です。

  • まっすぐに輝き続ける人の放つ光に、ただただ涙。

  • 「水の一滴は、岩に穴を穿つ
    力によってではなく、しばしば落ちることによって」

     営々たる努力をすれば、いつの日か思いは叶うという意味。主人公が一番好きだという言葉である。

     巻末に実在の人物をモデルにしたと記されている。
    千人の孤児を育て上げた主人公、登場人物たちのあまりにも壮絶な生き様に不覚にも涙。

  • 敗戦後の日本を目の当たりにした。
    親のいない戦争孤児と呼ばれる人たちが、ここまで粗末にされてきたのかと非常に酷くて胸が痛んだ。

    強い者が弱い者を支配する環境。戦争を経て全てを失った孤児には、どうあがいても太刀打ちできない。そんな中に、まるでキリストのように現れた幸太郎。どんなに傷ついて廃人寸前のような孤児でもたちまち生きる希望を与えてしまう。本当に神と呼んでいいと思う。

  • 武蔵野大学図書館OPACへ⇒ https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000140319

  • 戦争孤児や、育児放棄やネグレクトで保護された
    高齢児童施設を立ち上げた実在の人をモデルにした
    小説。多分NHKで放映されていた石綿さんがモデル
    かなと思います。
    なかなか重たい話で、胸が締め付けられるような
    話ではありますが。
    一番思ったのは、親の責任の重さ。
    子供を守るのは親なのだという思いと、実在の自分の
    息子や妻のために生きていくのだと思えました。

  • ドキュメンタリーを小説に起こした感じ。
    それだけに登場人物への遠慮と配慮が伝わってくる。
    残留孤児の悲惨な過去を持つ幸太郎が4畳半一間から立ち上げた孤児園で1000人もの子ども達を守って社会に送り出した実話。
    一般の児童養護施設では中学卒業で終わるが幸太郎は高齢児童施設として中卒から社会人として自立するまでの面倒をみた。凄い人がいるものだと感心した。
    幾人もの過去や体験を取材して纏めるのは大変だっただろう。書けないことが行間から溢れている。
    ただ、幸太郎を「光の人」というタイトルでもわかるようにイエス・キリストのように描いているのがなんだかなあという気分にさせられる。
    戦災孤児時代と虐待親との時代の違いにも考えさせられることが多い。

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