イントロの法則80's 沢田研二から大滝詠一まで

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163909097

作品紹介・あらすじ

一億人を振り向かせる!――日本音楽史上最強の1980年代、数々の名曲のイントロに耳を傾けてほしい。あの時代のプロフェッショナルたちの野望と情熱に触れれば、わずか十数秒で心をつかむ魔法の秘密が知りたくなるのだ……。1980年1月1日、沢田研二「TOKIO」発売。♪ジャッ・ジャラ、ッチャ、ッチャというギターサウンドから幕をあけて、「ルビーの指環」「アンジェリーナ」「時の流れに身をまかせ」「悲しい色やね」「トランジスタ・ラジオ」「夏の扉」「My Revolition」「大迷惑」「ジュリアに傷心」「B・BLUE」「唇よ、熱く君を語れ」「Romanticが止まらない」「君は天然色」まで、80年代最強のイントロ40を、あの時代の空気感とともに語り尽くします。歌謡曲とニューミュージックが、緊張感をはらんだまま融合し、90年代のJポップへと変質していくまでの一瞬の奇蹟、「最強音楽」の秘密に、スージー鈴木が迫ります!

感想・レビュー・書評

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  • 著者が選ぶ80年代歌謡曲を代表する名イントロ40。TOKIO、スニぶ、ルビ指、Roma止ま、夏扉、夏ナン。分かるのもあるけど目次を読んだ時点で「んんんーーーなんか合わない気がする」
    勿論並んでるのは名イントロだけど聖子2、優1、ジュリー2、トシ1、マッチ1、少年1、由貴1。何?ソニーとサンミュとジャニーズに忖度っていうか弱み握られてる?なんか昔の「歌謡曲ベストヒット!」ってCD見たら全部ナベプロやんけってのを思い出すんだけど。大丈夫かね。君。80年代イントロで「スロモ」「ゆれ湘」「北ウイ」「秋そば」入ってないのはシンプルに謎なんだけど。おニャンコのじゃあねってアンタ。

    4曲目。プリプリ「ダイヤモンド」
    著者が子供の頃「ベースとドラムがうますぎないか」と驚嘆してから数十年。2013年4月に有名なバックミュージシャンであるベーシストとドラマーが「実は僕たちプリプリで」と影武者発言。 
    へー初めて聞いた。

    10曲終わって70年代のベスト20。
    1位恋の弱み。なーるほど。なるほどね。まぁイントロもそうだけどなんせ曲がいい。
    2位異邦人。そりゃそう。これは好き嫌いがあっても3位以内は当然。
    で。。尾崎キャン百恵ピンク沢田オングetc。
    。。。。え?「木綿ハン」「思秋期」は?自身が管楽器偏重があるとは自白してるけどいくら何でもこれ70年代イントロ20のうちに入らないなんてことあります?2曲目(13ページ)冬のオペラグラスを見逃してあげたことを後悔。あそこで逮捕(読むの止める)べきだったか。

    12曲目。デカメロン伝説。
    11曲目の鈴木雅之「ガラ消え夏」で姿がチラッと見えて、あっあの人では?と思ってたらここで著者のセンスの良さっていうか私との波長が再会。しばらくぶり、元気だった?
    「空前絶後の口ギター(ワカチコ)と階名イントロ」
    売上も順位もパッとしなかった曲、当の少年隊からしてみれば「デビューまであれだけ引っ張ってデビュー曲めちゃくちゃ良かったのにコレ?」と思っただけろうけどイントロランキングには相応しい曲。同じワーナーの明菜は腹抱えて笑ってたかも知んないけど。

    13曲 青珊
    ミファミミファソ からの高い歌い出しド
    「夏、来るべき恋愛、少女、才能、センス、駆け上がる人気、あれやこれやを全て詰め込んだ6小節(10秒)」 はい。覚えました。使います。

    14曲 マイレボ
    「デジタルでどこをとっても新しいのに懐かしい」
    こちらも覚えました。
    それもそのはず、このイントロで使われているコード進行は個性的で複雑、「人混みに流されて変わっていく私を」「君を抱いていいの好きになってもいいの」と同じだそうだ。(私には全く分からないです)つまり「デジタルな音で鳴らすアナログセンチメンタリズム」曲は小室、編曲は大村雅朗。
    ゆったりした開始から突如「頬杖ついていた」で階段を転げ落ちるようなスピードとある。
    ファンには申し訳ないけどもしこれが渡辺美里以外の人が歌ってたらめちゃくちゃ好きな歌だと思う。名曲。  

    16曲 じゃあね
    おニャン子と侮るなかれ。良質なポップス、ピンモーツァ複雑進行、ミアモ大人のメロディのアンチテーゼ。おニャ9作最高売上。フジパシフックミュージック会長日本音楽界のドン浅妻一郎が好きな歌。
    侮っちゃいないけどこれが「イントロベスト40」とは恐れ入る。売上最高は人気うなぎのぼりの中の初の卒業だったからですよね。

    17曲 ギザ子守
    「シドッドッドッドッミードッ」確かにまぁこれはそう。そこから続く五七調かつ横浜銀蝿虎舞竜的ツッパリ歌詞。コミックソングのような(高杢は芹澤がピアノで弾いた際、小林旭の自動車ショーにしか聞こえず「師匠何やってんの」と思ったと回顧している。)チェック衣装の可愛いメンバー。
    全てバラバラがいいと。なるほど。
    なるほどなんだけどこの本ってイントロのランキングだよね?

    20曲 Roma止ま
    「ミッミッミッミッミドドラッレッソミー」
    編曲は船山基紀。大先輩筒美京平初対面「僕のこと嫌いでしょ?」と言われて始まった関係。
    レコーディングでは筒美京平もその弟の渡辺忠孝Dもこのイントロが気に入らないらしい。「やっぱこういうのは船山君じゃないな」「こういうのは大村君が上手いんだよ」船山本人の後ろで話す。船山も「変えましょうか」と。筒美「うん、変えて」
    そこで亡くなった笠ちゃんとベースのナベが「僕たちこれがいい」と言う。筒美「あそう?じゃあこれで」 結果は50万枚越。レコード大賞編曲賞。
    良かったね船山さん。

    21曲 抱きTonight
    筒美船山。「Roma止ま」から「仮面舞踏」「ツイノっ」「WAKU」「ABC」ときてコレ。筆者曰くRoma止まあたりのピコピコデジタルはなりを潜めデジタルプラットホームにアナログホーンが乗ってるとのこと。アナログホーンは筒美京平の第一次全盛期(ブルヨコ、また逢う)であり、一周回って80年代に持ってきてると。
    で。イントロ。
    後半TellMeのところでコードに歌詞を乗っけてる。その音は「シーラッシラッラシーラ」でありイントロのホーンは「ファーミッファミッミファーミ」4つ高くハモってる。
    またこの曲に関してはいつも馬鹿にされるトシちゃんの歌唱力が全く気にならない、つまりキー設定や音列に工夫が重ねられてるのだとも。
    なんだよ、いい本だなこれ。

    25曲 卒業
    39万枚を超えた菊池桃子、26万枚の斉藤由貴。当時の売上は桃子の圧勝。でも現在に残るのは斉藤由貴の方。
    あんまり意識したことなかったけどこのイントロは「春」「卒業」「儚さ」「無垢」だけではなく斉藤由貴自身を彷彿とさせるものですよね。うん。
    編曲者とレコード会社担当はかなり綿密に「この学校はどんな学校か」を話し合ったらしく、レコ担は自身の出身校、長崎の地方公立を事細かに説明したらしい。
    筆者曰く「桃子は都会の私立校、由貴は地方公立。今広く支持されるのは心象風景の共感なのかも。」
    で話変わって。
    斉藤由貴のデビューに際し吹き込んだデモ。
    悪女、時かけ、夏扉、スイメモ、待つわ。
    異色なのは悪女と夏扉か。にしても悪女を歌わせるあたり、デビュー前に斉藤由貴の本性に気づいた奴がいるな。

    90年代。んー。どれもなぁ。
    納得はズルい女くらいかな。
    てか曲がどれも小粒。

    33曲 夏ナン
    バンド「四人囃子」の茂木が早見優を、佐久間がキョンキョン(真っ赤な女の子)を。(作曲はともに筒美京平)イントロの出来上がりは夏色ナンシーが勝ち。佐久間は負けを認めプロデューサーとして開花していく。
    真っ赤な女の子の歌詞は康珍化と秋元康コンペ。負けて秋元はB面に。秋元は負けを認めそこから開花していく。
    出来すぎてない?話 でも事実ってこんなもんかもね。

    36曲 ワインレッド
    「湿り気」「ニューミュージックの顔をしながら地方場末のスナックにも似つかわしい(翌年の桃色吐息も同じく)」わーかーるー。2曲ともサウンドは都会的、なのにメロディはスナックの起毛が完全に寝てしまったベルベット椅子の感触がする。うっすら濡れてる?え?気のせい?前の客の汗?
    まぁいいけど。
    ニューミュージックの作家陣を引き連れて歌謡曲を歌う聖子。ニューミュージックに席を置きながらコントまでやる桑田佳祐。どんどん曖昧になり融合していく中のこの歌。なるほどね。

    40曲 君天然
    「音の洪水」
    大瀧詠一はあんまり知らないけれど、短いエピソードで十分に惹かれてしまった。サインのくだりとこの曲を最後に持ってきてるのがいい。私のような老人にはこういう分かりやすい「人の情」が刺さりやすいしね。でも好きな痛み。安い感傷に浸って何が悪いんですか?こちとらもう視界に入るのは過去しかないんですから。キリッ。
    思秋期を木綿のハンカチーフをスローモーションをゆれて湘南を北ウィングを秋からもそばにいてをpickup しなかったことを許そう。(但し2回はないぞ

    ここで終わりたかったんだけどJ-POPの「翼広げすぎ、瞳閉じすぎ、君の名を呼びすぎ、会いたくて会えなさ過ぎ、桜舞いすぎ」85年以降の「翼、扉、桜、夢、季節、奇跡、永遠、言葉、宝物、エール、強がり、弱虫、大丈夫、受け止める、ありがとう、歩き出そう、大切な日々」は草。
    てか「絆」はないのね。

  • 深夜に放送していた頃はかかさず観ていた“ザ・カセットテープ・ミュージック”。ゴールデンタイムに昇格して1時間番組になってからちょっと遠のいていましたが、最近また観るようになりました。

    目次を見てほとんどの曲を知っているという人は間違いなく楽しめると思います。イントロを思い出せなかった曲はYouTubeで検索しつつ。なんか好きなんだなぁ、80年代の曲。

    同番組で取り上げられたテーマの中では、イントロではなくアウトロの話も面白かったから、スージーさんにはアウトロで1冊書いてほしいものだけど、さすがにそれは大変か。

  • イントロがいい曲は、やっぱりいい曲だよねー。知ってる曲はどの曲も、脳内再生が完璧ですよ!

  • ふむ

  • 「ザ・カセットテープ・ミュージック」を見て、一気に著者のファンになり購入。
    今までの音楽評論とはちょっと違う、イントロ解説本。
    掲載された40曲には「8割がた」異論なし。

  • 物事を考察するには、ある一点に着目し、そこから一気通貫。水面下にあったものが見えてきたり、全貌が明らかになったりする。そう、本書は演繹法的考察でもって「80年代の誰しもが知るヒット曲のイントロに着目した評論本」。

    評論と謳っているので、そこにはノスタルジーさもなければ、酒場でついつい語りたくなるクリス松村が開陳するようなトリビアもない。

    著者は語る。ポップとラディカル、アナログとデジタル、進化と成熟。それぞれの配合比率が黄金律まで極まったのが80年代のヒット曲。その黄金律のエッセンスがぎゅうぎゅうに詰まったのが「イントロ」。所謂「ツカミ」。小説でいうところの書き出し。

    漱石の『草枕』なんて、その代表格。「智に働けば角が立つ。情に棹させば意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい」は未読の人でもどこかで耳にしたことのある一節。

    小説は数行、音楽は数秒・数小節。
    「このツカミで、1億人の首根っこつかんで、振り向かせてやるぜ!」の野心が、あの手この手、あれもこれもぶっ込み作り上げた数小節。ドヤ顔したアレンジャーが眼前に立ち昇る。

    ちなみに、僕史上イントロNo.1は異邦人。歌がイントロの添え物に思えるほど主客転倒した名曲は80年代直前の79年。

    著者が紹介する1曲目は、歌謡曲史上最もカッコよくて最も胡散臭いイントロだと断言するジュリーの「TOKIO」の16小節。

    カッコよさに「胡散臭さ」フレーバーをまぶしたのは編曲を担当した、あの後藤次利の仕業。もちろんイントロの音楽的分析もきちんとされていてギター巧者の方なら、「はっは〜ん、なるほど〜」と数行の解説で膝を打つことでしょう。

    60年代、70年代それぞれに栄華を極めたジュリーが、「3度目の花を咲かせたろ!」と助平根性丸出しで臨んだ一曲が80年代幕開けの元日にリリースした「TOKIO」。この16小節のイントロとともに、過去の栄光にバイバイし、幕開けホヤホヤの80年のTOKIOの夜空を飛翔。

    ノスタルジーに陥らず、マニアックに溺れず、「TOKIO」から「君は天然色」まで、歌謡曲史上最強40イントロを選び、1曲1曲、1イントロ1イントロについて、その最強ぶりを、高さ・広がり・奥行きをきちんと測定しながら語った渾身の一冊。

  • YouTube必携!沢田研二《TOKIO》の「♪ジャッ・ジャラ・ッチャ・ッチャ・ッチャ・ッチャ・ジャラ・ラ〜」から大滝詠一《君は天然色》の「♪ジャカジャ・ジャカジャ・ジャカジャ・ジャカジャ・ジャカジャ・ジャカジャ・ジャカジャ・ジャカジャ」×4回繰り返し、まで、イントロで蘇る80年代音楽の高揚感、80年代時代の雰囲気。あの時、作者は若かった、そして自分も若かった…ということで甘く切なく、しかも浮かれていて、さらに本格的な「音楽評論」です。(作者も「音楽ジャーナル」とは違う!と宣言しています。)アーティスト論や歌手論、また作曲者論、作詞家論はありましたがイントロ論は初めてです。必然的にイントロ論はアレンジャー論になっていて、80年代アレンジャー・スーパースター列伝の趣です。意識したことのない領域でしたが、松任谷正隆はともかく、今回ディスカバーの大村雅朗、ホッピー神山、馬飼野康司、井上鑑、船山基紀…彼らの作った時代の空気を知らず知らずに思い切り吸い込んでいたんですね。ポスト歌謡曲、プレJ-POP、ほんとに80年代は日本のヒットチャートのシームレスの豊穣の海だったのかもしれません。個人的になんかうれしかったのは本書が、小林信彦の影響下にある感じ。特にあとがきとか、すごくシンクロ感じます。そういえば、今週の文春、小林信彦、大滝詠一の話を書いていたな…

  • 【聖子、サザン、米米……聴いたことのあるヒット曲たち!】八〇年代歌謡曲黄金時代。あなたは誰と、どこで、何をしながら聴いていましたか? 「ルビーの指環」「大迷惑」など大ヒットの秘密!

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著者プロフィール

SUZIE SUZUKI
スージースズキ
1966年、大阪府生まれ。音楽評論家。
著書
『恋するラジオ』(ブックマン社、2020年)、『ザ・カセットテープ・ミュージックの本 〜つい誰かにしゃべりたくなる80年代名曲のコードとかメロディの話〜』(マキタスポーツとの共著、リットーミュージック、2020年)『チェッカーズの音楽とその時代』(ブックマン社、2019年)、『80年代音楽解体新書』(彩流社、2019年)、『いとしのベースボール・ミュージック  野球×音楽の素晴らしき世界』(リットーミュージック、2019年)、『イントロの法則 80's 沢田研二から大滝詠一まで』(文藝春秋、2018年)、『カセットテープ少年時代 80年代歌謡曲解放区』(マキタスポーツ×スージー鈴木、KADOKAWA 、2018年)、『サザンオールスターズ 1978-1985 新潮新書』(新潮社、2017年)、『1984年の歌謡曲  イースト新書』(イースト・プレス、2017年)、『1979年の歌謡曲 フィギュール彩』(彩流社、2015年)、『【F】を3本の弦で弾く ギター超カンタン奏法 シンプルなコードフォームから始めるスージーメソッド』(彩流社、2014年)。
ウェブ連載
「水道橋博士のメルマ旬報――1984年の歌謡曲」「東洋経済オンライン『月間エンタメ大賞』」「80年代音楽サイト『Re:minder』」など。

「2021年 『平成Jポップと令和歌謡』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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