ラストレター

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163909134

感想・レビュー・書評

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  • 手紙を通しての人間模様。
    人間ってなかなかうまくいかない、切なさが描かれていました。
    ちょっと構成がきれいすぎるような気もしますが、それぐらいよくできた作品。

    映画化もされるようなので、そちらも是非診てみたいと思いました。

  • ずっと何年間も恋をし続けるってどんな感じだろう。

    最後の答辞、すっと入ってくる感じでした。

    前半の裕里と鏡史郎の手紙のやり取りは笑いを誘うものだったけど、
    後半、鏡史郎が仙台に行って本当の事を知るあたりからグッと引き込まれた。

    数えきれない人生の選択肢、叶えきれない悲しみだな。

  • 映画公開に備えて読む、錯綜してこんがらがったストリーはなかなか面白かったが、登場人物まで錯綜して誰の台詞か分からなくなるところもあった、多分絵コンテを書いてるつもりで小説も書いたのかな、映像のカット割があれば分かるんだろうとは思う。新海誠が帯を書いているが、川村元気に出会う前の作品のように、登場人物を幸福にしない小説であった、これでは特に未咲にとっては余りにも切ない惨めな人生ではないか、どうして日本の作家はこういう意地悪な物語が好きなんだろう、映画のプロジューサーは川村元気らしいので、もう少し救われる話になるかな

  • ひさっびさの、ラブストーリー。
    うーん、、、想像していたのと違かった。
    ミステリーばかり読みすぎて、ドキドキを期待しすぎるっていう。

  • 同窓会に現れたのは君ではなく、君の妹だった。
    中学卒業から数十年、当時の「僕」から去っていった君は鬱病に苦しんで自殺してしまった。君を装った妹との不思議な文通。あの頃、君の妹は「僕」に恋をしていた。

    過去の人間関係と現在の関係が明らかになるなかで、わかっていくことがある。
    「僕」がずっと君を想っていたように、君も「僕」と過ごした時間を大切に想ってくれていた。

    結婚、子育て、仕事。色んな都合があるから思い通りに行動することは難しい。でも、心で誰かを想うことはできる。

    ---------------------------------------

    十代のころのうまくいかなかった恋愛を未だに引きずる感傷的なおじさんの自分語りかと思いきや、相手の女性も想っていたようだと知って複雑な気持ちになった。
    未来ではなく、過去を生きるような感覚。後ろ向きに進むことは一見ネガティブに見えるけど、前だけが道じゃない。
    自分が中学生のときに何度も聴いたバンプオブチキンのアルバムの1曲目の歌詞を思い出す。

    「君が立つ地面は ホラ 360度 全て 道なんだ」

    まったくその通りだ。前向きでも後ろ向きでも、どの方向に進んでもそれが道なんだよな。
    ずっと中学生のときに好きになった人のことを想って小説を書き続けても、死を選んで、残す遺書が中学の卒業式の答辞であっても、そういう道もあるということ。360度、全方向が道なわけだからどの道を選んでも、後戻りしているわけではない。

    過去の恋愛を想う感傷的なおじさん、と嘲るように書いたけど、自分だって中学生のころ聴いていた音楽に今でも励ましてもらっているし、なんていうか、身体や見た目は変わるけど、内面は中学生からあんまり成長しないものなのかな、と思う。
    他のひとはどうなんだろう。みんな中学のころの想い出を胸に秘めて生きているのかな。

  • ひとりの売れない小説家が過去の記憶を辿り再起する話。

    ひとつの嘘をきっかけに、入り組んだ話、その謎をどう解き明かしていくのかを追う展開。
    初めは点々としていた登場人物達が次第に近寄り、フィジカル的にもメンタル的にも近寄っていく。
    そこの中心となるのは美咲と言う女性。

    過去の記憶が昇華し未来への希望溢れる言葉(答辞)で締め括られる。

  • 仙台の〇〇学院大学の図書館でこの本を読んでる自分はなんて幸せなのだろうか。
    おそらく映画化されて一番大切なシーンにエキストラで参加できたことがどれだけ幸せなことか。
    それよりもこの本に出会えたことが一番の幸せなのかもしれない。

  • 映画になったなぁ、と思って手に取った本です。
    岩井さんらしい内容でした。

  • 岩井俊二監督自身が
    実写版『if もしも/打ち上げ花火、下か見るか? 横から見るか?』の6年後に主演の奥菜恵と山崎裕太とともに振り返ったDVD「少年たちは花火を横から見たかった」で「リアリティーは諸刃の剣だ」と、クリエータとしての立場から創作の工夫を語っているのですが、
    この小説は、リアリティー小説でありながら、準ヒロインが嘘をつき続けることによって、あたかもファンタジーの要素を身にまとう、とても凝ったストーリー展開になっています。
    まだ半ばですが、読者である僕は、そのウソを知っているわけであり、どう辻褄を合わせるのかを楽しみながら読み続けています。
    読み終えたときに、どうなるのか。とても楽しみな読書です。

    読み終えました。

    前作「リップヴァンウィンクルの花嫁」と同様に、
    「敵を設定し、戦う」=勧善懲悪と異なる、個人の(自分の)生き方を提案する作品だと思いました。
    言うなれば「反勧善懲悪」英語ならimmoral play、いや、これだと「反社会的な物語」になってしまうのでマチガイですm(v_v)m
    とにかく、
    なにかと、悪い奴をみんなでやっつけよう。と気持ちが向いてしまうところですが、それとは異なるところに旗を立てて「ここに愉楽在り。」と僕に気づきの場を設けてくれた、そんな小説だと思いました。
    「リップヴァンウィンクルの花嫁」では、Cocco演じる真白が語る「この世界はさ、本当は幸せだらけなんだよ。」は、本人は家族と絶縁状態。職業も人に偽って言えない。お金があるので怪しげな便利屋に「友達が欲しい」と頼む始末。その彼女が言う「幸せだらけ」とはなんぞや?と読者(映画なら聴衆)が自分の胸に手を当てて考えるのが、今回も岩井監督作品の見所と言うことになるのだろうと思う。(だからこの映画は人を選ぶ。僕が一緒に見た人は「ある種の男は性産業に従事する女性をあがめるよね。」と一蹴して映画を論破したつもりになって、話にならなかった。>なぜ僕はこんな人と映画を見に行くのか?と我ながら無駄な人生を歩んでいると思うのだが)短絡的でなく、自分がどう生きたいのか。何を足がかりに、ワケの分からない世界との接点を見つけるのか。そんな人には救いになる作品じゃないか。と思いました。

  • 結構泣いた。映画を観たくなった。

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著者プロフィール

映像作家。1963年1月24日仙台市生まれ。横浜国立大学卒業。主な作品に映画『Love Letter』『スワロウテイル』『四月物語』『リリイ・シュシュのすべて』『花とアリス』『ヴァンパイア』『花とアリス殺人事件』『リップヴァンウィンクルの花嫁』など。ドキュメンタリーに『市川崑物語』『少年たちは花火を横から見たかった』など。「花は咲く」の作詞も手がける。

「2017年 『少年たちは花火を横から見たかった 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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