楽園の烏

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163912547

作品紹介・あらすじ

シリーズ累計150万部突破!「八咫烏シリーズ」第2部、ついに刊行開始「この山を売ってはならない理由が分かるまで、売ってはいけない」資産家である養父の奇妙な遺言とともに、ある「山」の権利を相続した安原はじめ。その途端、彼のもとに「山を売ってほしい」という依頼が次々と舞い込み始める。この山には一体、何が隠されているのか? その答えを知っていると囁く美女に誘われ、山の内部に入ったはじめは、そこで信じられないものを目にする――。舞台は東京から、八咫烏たちが住む異界「山内」へ。猿との大戦(『弥栄の烏』)より20年の時を経て、いま再び物語が動き始める。動乱の時代を生き抜いた八咫烏たちの今。そして新たなる世代の台頭。第1部以上のスケールを持っておくる傑作異世界ファンタジーです。

感想・レビュー・書評

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  • 八咫烏シリーズ第2部スタート。

    作中の時がかなり経っていることに、まず驚き。
    外伝で若かりし姿を読んだ後だけに、いい年になった面々に、ギャップがある。

    第2部までの間に、山内で何があったのか?
    今回触れられなかった、第1部の八咫烏たちはどうなったのか?
    なぜこんなにも不穏な空気なのか?

    気になることもおおく、すっきりしないけれど、それらは今後明かされるのかも。

    異世界にぜんぜん動じなくて、普段は軽い感じだけれど、きちんとした芯がある。
    土地の権利を得た、安原はじめのキャラクターがよかった。

    はじめに付き添う頼斗は、真逆のタイプ。
    視点の違うふたりのやり取りの変化も、おもしろかったです。

    大人の異世界ファンタジー。

  • 第一部から20年後。義父の失踪宣言後山を相続した安原はじめ。ある日復讐のため幽霊として存在していると自称する謎の美女の策略で山の内側=山内世界へ。そこで山内での実質的な権力者となっていた雪哉から山の買収を持ちかけられる。はじめはこれを突っぱね、交渉で山内にしばらく滞在する事になる。雪哉の手腕で楽園となったと言われる山内を見学しているうちに事件が起こり…。事件自体は解明されるけど雪哉の黒さが深くなっているわ千早や長束が立場を異にしているわ奈月彦他第一部の主要人物の存在が消えてるわ過去何があった?幽霊って誰だ?はじめはこれからどういう立場になるのか?と謎がてんこ盛り。「楽園」の意味も考えると辛い。忘れないうちに「追憶」読まないとな。

  • 面白かった!今回の主役らしき、”はじめ”がいいキャラクター。今まで山内の外の世界はあまり出て来なかかったが、今作で外から山内の土地所有者がからんでくる。とはいえ、ほどよくややこしい面白い設定になっていて、これからが楽しみ。なんとなく覚えている名前もたくさんでてくるが、金烏がまだでてこない。

  • 完全に、油断していました。阿部智里さんの作品は最後でひっくり返される。
    この感覚を第二部でも味わうこととなるとは。最高です。

    *この後、八咫烏シリーズの他の作品も含めがっつりネタバレしています


    楽園??20年の間になにがあったの山内…第一部から崩壊する世界の示唆はあったけど完全にディストピア。

    特に衝撃的だったのは雪斎。『烏百花』で子ども時代を読んだばっかりなので振れ幅がすごい。(そして、帯の新作短編が追い打ちをかける)
    谷間がメイン舞台だから貴族が出てくる機会が少なかったというのもあるけれど、雪斎個人を心配してくれて、彼を諫める立場の人がほとんど出てこないのが不穏。

    そして、最後に雪斎の憶測した「幽霊」の正体。ミスリードなのかも知れないけど、少なくとも初登場した『弥栄の烏』の彼女と「幽霊」の瞳の描写は一緒だからなぁ。
    彼女が「幽霊」だとすると、両親って、親しい人って…。雪哉と初めてあったとき、生まれてはじめて笑っていたのに、本当になにがあったの山内…

    正直、感想をすべて書き切れない。全て読み取れてないだろうし、ここで書いた事もミスリードなのかもしれない。でも、予想を覆して、事実のどんでん返しを味わえる八咫烏シリーズがまた読めて嬉しい。今から、早く次の巻が待ち遠しいです。

  • 「弥栄の烏」でも予兆はあったけど、第一部の主人公が、第二部でこんなにラスボス級の悪役になって立ちはだかるの新鮮。
    ここまでいくと、もはや知性派アンチヒーローとして魅力的だと思った。
    最後のどんでん返しの連続が気持ちよくて一気に読んだ。

  • 「弥栄の烏」から20年後の山内。年月が経っているとはいえ、思い描いていたのとはなんか違う。
    なんとなくうすら寒い感じがして、どこまでが掌の上なのか分からなくて、嫌な感じが増すほど面白くなってきた。
    猿との大戦後何があったのか、今回出てこなかった人たちはどうしているのか、この先どうなるのか。気になることだらけで続きが楽しみ。

  • 八咫烏シリーズ第二部一作目。
    生意気だけど賢くて、必死に若宮や仲間を助けようとした頃の雪哉はもういないのかな…。すっかり狸ジジイになった感じ。でもどこかでその頃の雪哉の魂もあると信じたい。
    それにしても、安原はじめさん、すごすぎる。生い立ちが複雑だし、養父(朔王)にある意味鍛えられたとはいえ、雪哉と渡り合えるとは。
    トビ、頼斗のこれからも含め、楽しみです。

  • 八咫烏シリーズ第二部1作目。
    養父から山を相続された彼は、幽霊に導かれて来た。そこは、
    八咫烏と猿との大戦から20年が経過した、山内の地だった。
    第一章 逃避行  第二章 異界  第三章 貴族
    第四章 地下街  第五章 慈悲  終章  置き土産
    第二部1作目は、不穏な雰囲気で包まれている。
    八咫烏が住まう山内の地・・・ここは、本当に楽園なのか?
    20年の年月の間に何が起きていたのか?
    第二部のオープニングといった様相で、
    東京から幽霊に導かれて来た安原はじめが、キーパーソン。
    黄烏として君臨し、山内を守る雪斎の姿は、老獪かつ冷酷。
    彼に心酔し、安原はじめと行動を共にする頼斗は、
    千早やトビたちとの出会い、巻き起こる事件によって、
    疑念と葛藤を心に抱くようになります。
    だが、物語は始まったばかり。
    長束も登場するけど、朝廷や貴族、雪斎の元の仲間たちの
    現在の状況は不明。何よりも、金烏が分からない。
    代替わりして幼い金烏に・・・これはいったい?
    もちろん、幽霊の正体も気になるところです。
    次作は山内の外の人間世界が中心となるのかな?
    もしかしたら、この1作目のアナザーストーリーになるかな?
    20年の年月にあったこと、雪斎の凄まじい変容の理由を、
    解き明かしてほしいです。・・・これは本当の雪斎なのかなぁ。
    そして、安原はじめがどう行動するのか?
    実はとんでもなく頭が切れる人物で、ビックリ。
    彼の義父の行方も、気になるところ。
    彼と共に山内の外に出た、頼斗の成長にも期待したいです。

  • 八咫烏シリーズの第2部がようやく始まった。が、なぜか人間界からのスタート。第1部も人間界との繋がりを描き出してから急速につまらなくなったので、ちょっと嫌な予感。それにしても20年の時が登場人物の性格を大きく変えてしまっているようだ。誰だっけ、というくらい別人のよう。本作では、第1部との関連性があまり高くないので、別物として読んだ方が良いように思うが、今後かつての登場人物たちが続々と出てくると思われるので、このギャップがどのように作用するのかは未知数。良い方向に振れることを祈る。いずれにしても本作は、頼斗の青臭さと雪斎の老練さ、そしてはじめのダメ人間さといったキャラクタになじめるかどうかが評価の分かれ目。まだまだ序盤である。今後に期待したい。

  • いよいよ再開の新章!
    うーん、これはやっぱり最初から読み直さないと…。
    雪哉を取り巻いていた人々の詳細をすっかり忘れてしまってる。
    このまま読み進めても楽しめないかも。
    相変わらずそれぞれのキャラクターが嫌な感じ。

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著者プロフィール

1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞受賞。デビュー作から続く「八咫烏シリーズ」は、松崎夏未氏による漫画化、中台翻訳など進行中。19年『発現』(NHK出版)刊行。

「2023年 『烏は主を選ばない(4)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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