- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163915296
作品紹介・あらすじ
19世紀の偉大なる名探偵シャーロック・ホームズがもし、ビクトリア朝時代の英国人ではなく、清末の時代に生きた中国人だったとしたら……。
そして、彼が奇妙な事件を次々に解決したのが大英帝国の首都ロンドンではなく、東の果ての植民地香港だったら……。
ホームズとワトソンを彼らとまったく同じ時代に生きた中国人、福邇(フー・アル)と華笙(ホア・ション)とし、物語の舞台を香港にした極上のパスティーシュ作品。
正典ホームズ・シリーズからの換骨奪胎ぶりが絶妙だ。
1880年代の香港の様子が生き生きと描かれ、ミステリーであると同時に、歴史小説としても読み応え十分。
感想・レビュー・書評
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清朝末期、アヘン戦争から40年後の租界地香港を舞台に、満人の辮髪ホームズと漢人のワトソンが活躍します。ワトソンは仕込杖、ホームズは鉄扇を持ったアクションもあります。推理小説はあまり読みませんが、いくら名探偵でも殺人が終わってから名推理を講釈するのは鼻白むものでしたが、未然に阻止するのはいいですね。何より租界地を支那人の視線で見るのが新鮮です。義和団の乱、安南を巡る清仏の攻防、アヘン戦争、太平天国の乱、米国の排華法など史実が背景に流れます。次巻は日清戦争もあるので期待が高まります。欲を言えば、メイドの鶴心ちゃんに活躍の場を!
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1880年代の香港を舞台にした、中国人版シャーロック・ホームズ。正直にいうと、恥ずかしながら歴史がきちんと頭に入っていない私にとっては非常に取っ付きにくかった..!注釈に細かな歴史的背景の説明があるものの、正確には理解できず。そのくらい歴史小説としての側面があるので、それが好きな方にはすごくワクワクする作品なんだろうな。それでも、ホームズとワトソンのコンビ、アイリーンやホームズ兄の登場にはわくわくしたし、一つ一つのお話は楽しめました。このシリーズは全4作になる予定だそうですが、続編を読むか悩ましいところ。。
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アヘン戦争後、英国統治下にある香港を舞台にしたホームズパスティーシュ。
ホームズとワトソンのキャラクターだけでなく、連作短編の全てが本家作品を下敷きにしている。
でも、舞台を最大限に活かし、当時の香港の文化、政治情勢だから成り立つものに改変しているのが見事!
私が本家に詳しかったら一層楽しめただろうと少し口惜しいけれど、ちょっと齧ったくらいの私でも、おそらく本家未読でも充分楽しめる。
映像でも見たいなぁ! -
清朝の香港を舞台にしたホームズのパスティーシュ短編集。
正典ホームズのガジェットを巧みに組み合わせているのが楽しい。正典も読み返したくなる。
同時に当時の香港の様子が中国視点で描かれているのも面白かった。
続編もあるようなので期待したい。 -
一行目から楽しい
こんな面白い本に巡り会えて幸せ -
いやあこれは楽しい。イギリス統治時代の香港に舞台を移したホームズ譚。登場人物も舞台も話の筋書きまでもが原典のホームズ譚を踏襲したパスティーシュだ。ただし単に換骨奪胎しただけの翻案物ではなく、ストーリーには工夫が凝らされていて、お、そうなるのかという意外性も十分。あれ、これはどうだったかなと原典を読み直したくもなる。舞台も習慣も異なるけれど、いかにも旧き良き時代というホームズものの雰囲気の魅力がよく描かれていて、読んでいるだけで懐かしい思いに満たされる。これまでどれだけ続編やらパスティーシュやらパロディが書かれてきたことか。あまたミステリはあれどやはりシャーロック・ホームズは偉大だよな。
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おお、漢字が多い!
本を開いて、まず思ったのが、これだ。
それもそのはず、
探偵の名前は福邇(フーアル)
記録者の名前は華笙(ホアション)
19世紀末の香港を舞台とする探偵物語なのである。
福邇と華笙の出会いをはじめ、6編の話が集められている。
『血文字の謎』
『紅毛嬌街』
『黄色い顔のねじれた男』
『親王府の醜聞』
『ベトナム語通訳』
『買弁の書記』
ん? と思われた方は多いだろう。
しかも時は19世紀末。
つまりは本家シャーロック・ホームズを、そのまま香港にもってきた趣向なのである。
そのままといっても、まるきりそのままにするわけにはいかない。
第一、舞台は香港なのだし、まるきりそのままではお話にならない。
たとえば最初の話『血文字の謎』は、本家シャーロック・ホームズでは『緋色の研究』だ。
探偵と記録者が出会い、同居し、捜査の依頼が警察によってもたらされ、探偵は勇んで、記録者は驚きながら、現場に駆けつけるのだ。
そして、現場の壁には、血文字で、
RACHE
と書かれたのでは、しかし、お話にならない。
それでは本家まるごとそのままで、パスティーシュでなく、パクりになってしまう。
もちろんそんなことにはならず、事件も捜査も解決も、そこは香港らしいものに仕上がっているのだ。
事件を持ってきた警官たちも、本家ではグレグスン刑事と、レストレード刑事だが、こちらでは、インド人グージャー・シンと、英国人の養子になった中国人クインシーである。
え、どういうこと? と、思われる方も少なくないだろう。
そこは、国際都市香港のありようということだ。
全員に通じる言語がないとか、
道に漢字名と英語名があるとか、
朝はトーストでなく早茶(お茶と点心)がいいとか、
華笙が行った戦争はアフガニスタンでなく、南疆(なんきょう ウイグル自治区南部)だとか、
そろそろフランスの動向が気になるとか、
色々な香港事情はちゃんと説明されているから、安心してほしい。
けれども、そういった当時の香港事情を、あまり説明されると、頭が混乱するのも事実である。
人によっては、20ページの「科挙」が出てきたあたりで、早くも脱落してしまうかもしれない。
このへんがいきなり峠だからだ。
わかるところはわかって、わからないところは流して、読み進めていけば、きっと面白い。
シャーロック・ホームズのパスティーシュで、香港歴史もので、武侠もので、冒険譚で、推理小説である。
繰り返すが、きっと面白い。
本家とは違って、現在と過去があっちこっちせず、時間どおりに進んでいく。
嬉しいことに、著者は、着々と続きを書いているらしい。
日本でも着々と翻訳が進んで、次々と出版されることを願っている。
※ シャーロック・ホームズ・シリーズは読んでおこう。
この本が面白くなるのはもちろん、人生が、確実に、楽しくなる。 -
面白かったー!!
本家シャーロックホームズのお話は実は全然知らないんですが、なんとなく面白そうの予感が当たり〜。
フー・アルとホア・ションの2人の友情やそれを取り巻く刑事、事件解決の経緯も楽しいのだけれど、何より1880年代の香港の煌びやかで玉石混同な街の様子が生き生きと書かれていて、読んでるこちらまで元気をもらう。
歴史の勉強にも絶対オススメ!フー・アルが阿片を吸う箇所だけは避けてもらってw
教科書にこんな物語が採用されれば歴史の勉強もきっと楽しいやろうなーとか思った。