機械仕掛けの太陽

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1969
感想 : 203
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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163916088

作品紹介・あらすじ

現役医師として新型コロナを目の当たりにしてきた人気作家が満を持して描く、コロナ禍の医療現場のリアル。

2020年初頭、マスクをして生活することを誰も想像できなかった――
これは未知のウイルスとの戦いに巻き込まれ、〝戦場〟に身を投じた3人の物語。

大学病院の勤務医で、呼吸器内科を専門とする椎名梓。彼女はシングルマザーとして、幼児を育てながら、高齢の母と同居していた。コロナ病棟の担当者として、最前線に立つことになる。

同じ病院の救急部に勤務する20代の女性看護師・硲瑠璃子は、結婚目前の彼氏と同棲中。独身であるがゆえに、コロナ病棟での勤務を命じられる。

そして、70代の開業医・長峰邦昭。町医者として、地元に密着した医療を提供し、息子にはそろそろ引退を考えるように勧められている。しかし、コロナ禍で思い掛けず、高齢で持病もある自身の感染を恐れながらも、現場に立つことを決意する。

あのとき医療の現場では何が起こっていたのか? 3人はそれぞれの立場に苦悩しながら、どのようにコロナ禍を生き抜くのか。

全人類が経験したあの未曾有の災厄の果てに見いだされる希望とは。自らも現役医師として現場に立ち続けたからこそ描き出せた感動の人間ドラマ。

感想・レビュー・書評

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  • 既に忘れかけているコロナ感染の歴史を丁寧に描いている。目新しいモノは無いけど、そんな事もあったなぁと懐かしく感じると共に医療関係者たちの苦労にはフィクションとはいえ現実もそうだったんだろうなと改めて頭が下がる思いで読んだ。ただ、ワクチンの行からは様相が異なり、ワクチンを善、反ワクチン派を悪ととらえ、ワクチンに疑問を持つことも悪のような内容に疑問を覚えるとともに寒気すらしてきた。フィクションで話を面白くしなければならないため白黒つけた勧善懲悪の内容にせざるを得なかったのかもしれないが、他は史実に沿って丁寧に書かれている分、ワクチン絶対主義の内容に関しても医療に詳しくない人が読んだら絶対正しいと誤解する、ある意味、宗教チックな印象で恐い本だと感じた。
    インフルエンザは型が違えば効果はないけど、コロナワクチンは型が違ってもある程度効果がある!とする理屈がよくわからないし、常にワクチンは後手後手の変異株のモノしか接種できなかったし、何よりあれだけワクチンで儲けてるファイザーやモデルナが、会社として効果、有害事象の収集、報告をやってないのには未だ疑問を感じる。そんなワクチンへの疑問を国民が感じてか、ワクチンの接種率が落ちており、その中でのこのワクチン万歳!の本は、政府が書かせているのか?とも思えてしまう。
    自分は反ワクチン派ではないし、ワクチン接種も疑問を持ちながらうってきた。そういう人も多いと思うが、医療情報弱者(ワクチンの詳しいこもを知らない)をワクチン信者にするような内容の本はいかがなものかと思う。
    ワクチン以外はホントに良い内容であっただけにワクチンに関しては残念、というより怖さを感じた本でした。

  • コロナの時期の医療の現場はどうだったのか知ることができる。
    この本を読んだとき、あの時期のコロナへの恐怖などが思い出された。
    疲弊した人間がどうなっていくのか、心がどう壊れていくのかすごくリアルに描かれていた。
    あの時期に頑張って医療を守ってくれたすべての方々に感謝と尊敬の気持ちが湧いてくる。

  • 非医療者全員に読んでほしいというわけではないが、少なくとも自分の知人で非医療者の人には是非とも読んでもらいたいと思った。
    コロナ禍における医療従事者の心情なんて、一般人にはわかってもらえないだろうと落胆していたが、他の医療従事者もやはりそうだったのかと思った。
    共感してほしいとは言わないが、こういう気持ちの人間もいるんだということを知ってもらいたい。

  • あの頃の記憶が蘇ります。あの戦いの最前線にいた医療従事者の皆さんの激闘が、詳しく描かれていて、改めて頭が下がりました。

  • 緊急事態宣言が出ている頃などを思い出しながら読みました。なるほど確かに機械だな、意思がないし…なんて思いつつ、読み進めていくと、実話のように感じるほど内容は想像に容易く、それなのにあの頃、こういった医療現場、医療従事者の人たちの想像が出来なかった。命がかかっているという危機感、そして医療従事者の方々への感謝をしっかり持ててはいなかったなと反省。
    読んで良かったです。
    医療従事者の人たちのかっこよさを改めて確認しました。
    ずっと医療従事者の方々へ感謝し続けていきます。
    いつもありがとうございます。

  • コロナ禍に最前線に立っていた医療従事者がどのような思いで、どのようなストレス環境下で対峙していたのかを小説を通じて、とてもリアルに感じることができた。今後、コロナ禍のことが記憶に残っていない世代においても、読んで欲しいと思った。

  • 図書館でなんとなく手にした本。読み始めてコロナか〜思い出したくないから読むの辞めようかと思ったのですが、医療現場の緻密な描写にひきこまれました。医療従事者の想いに涙無しでは読めません。医療従事者の皆様に改めて感謝出来ました。読んで良かったです。

  • 半ドキュメンタリー風フィクション。ダイヤモンドプリンセス号の件や、登場する政治家等は実名を使って描かれている。
    かなりリアルな描写で描かれており、大学病院の勤務医、コロナ病棟勤務の看護師、地域住民を一番近くで守ってきた町医者の3人の視点で描かれている。
    未曾有のウイルスパニックを引き起こした新型コロナウイルス。
    まだコロナ禍ぎ完全に終わったわけでは無いけど、以前読んだ夏川草介氏の『臨床の砦』『レッドゾーン』と同様、後世に語り継ぐ上でも重要な本の一つだと思った。

  • コロナ禍で医師、看護師がどれだけ苦労していたか、ほぼノンフィクションのように描かれている。ワクチン接種の是非など今でも騒がれているが、現場の人の意見はやはり強い。また話中で子供を大人より優先して助けることが記載されていたが、これからの未来を思うと、納得してしまう。コロナのリアル感が感じられた記録に残しておくべき小説だと思う。

  • 昨年の春頃から読もうと決めていたのに、ずるずると先延ばしにしていた一冊。早く読むべきだった。
    コロナ禍の医療現場のリアルを描いた小説。大変なのは分かっていたつもりでいたが想像を絶するものだった。人を最終的に追い詰めるのは人だな…っと思った反面、人を救うのも人だなっと感じた。読み終わるまでに何回も涙が出た。
    公衆衛生を守ってくれている医療従事者の方々に、改めて感謝の気持ちでいっぱいになった。

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著者プロフィール

1978年沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。医師。2011年、第4回「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」を受賞し、12年、同作を改題した『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビューする。代表作に、「天久鷹央」シリーズがある。その他著書に、『ブラッドライン』『優しい死神の飼い方』『機械仕掛けの太陽』『祈りのカルテ』「放課後ミステリクラブ」シリーズ等がある。

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