- Amazon.co.jp ・本 (457ページ)
- / ISBN・EAN: 9784165071204
作品紹介・あらすじ
一庶民の市政に対するドン・キホーテぶりを活写した火野葦平氏の『糞尿譚』から、氷原で激突する男の闘いを描く寒川光太郎氏の『密猟者』まで第六?十回受賞の六篇
感想・レビュー・書評
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芥川賞第9回受賞作(1939上期)
官宅に引っ越して来たロシア人ドナイフとお婆さんのやり取りがコミカルな作品で非常に好感が持てる。加えて当時の農村の様子、日常が動きの一つ一つまで目に浮かぶようだ。だんだんと心を開いて行く老人の様子が読者を笑顔にさせる。作者はきっと人が好きなんだろうなぁ。1939年上期はあさくさの子供とこれと、2つ受賞したし良いね。世相的には近衛内閣総辞職、ノモンハン事件、石油が配給制になったり、地下鉄が新橋-渋谷間開通したり。
選評から抜粋すると、
瀧井孝作「この作者は何でもないモデルをもおもしろく描出すような力量があるらしいと思った」
久米正雄「題名が少し可怪しく、例の当時の流行の農村物かと思ったら、それには違いないが、意外にユーモラスな人間味にとんだものではあった。但し、題名につき纏う「ハッタリ」は十分描写にもあって、老婆の食慾のエゲツナさや、鶏の行軍など、面を背けながら、引っ張り込まれる所が、此の作者の善悪とともに特徴だと思った。是を遠慮なく発達させたら、確に異色のある作家になる。悪達者になっても関わないからよおお、どしどしやるんだよーオ。」
ここでもやはり、テーマ自体より文章の構成力、読者を引き込む力が問われていると感じる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
▼福岡県立大学附属図書館の所蔵はこちらです
https://library.fukuoka-pu.ac.jp/opac/volume/319718 -
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