逆説的日本語読本 面白すぎる日記たち (文春新書 42)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 88
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166600427

感想・レビュー・書評

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  • 公開するしないは関係ない、時代と人が現れる日記。

    日本の中世から現代まで、様々な人の日記を参照しながら、日本人と日記について語る。下世話な興味から読み始めたが、なぜ天気を書くのか、そこに記入欄があるから以外の考察も楽しめた。書かれたことにも、書かれなかったことにも、そこに秘められたその人の人間性がある。自分の日記はまず誰にも読まれないだろうけど、どんな為人が透けてしまうのだろうか。

  • 日記の論じた新書というのが珍しくて読んだ。日記にも様々な種類があって興味深い。どうしたらあんなに味のある文章が書けるようになるのだろう。仔細に各種日記を分析していった著者に脱帽。

  • 紫式部や清少納言を思い出して手に取ったのですが、全く違った本でした。藤原定家が唯一古い時代で、天候・気象へのコダワリについて書かれていますが、「日記は何時書いていた?」「秘密として隠す手段?」「なぜ秘密でありながら、公表しているのか?公表を前提にしていた?」など面白いです。荷風や蘆花、啄木たちのセックスに対するあけすけな表現は驚きでイメージが崩れます!、またそれを荷風の奥さんが承知の上で、訂正なしを条件として公表したというのは楽しい話です。また重光葵と木戸幸一の東京裁判中の同日付の記載の読み比べ、旧殿様・榊原正春中尉の従軍日記、最も多くの人が記載している終戦日の清沢列、山田風太郎など実に興味深いものですね。日記を読み漁るのも中々の奥深さがありそうです。

  • 社会的な記録としての日記、文学作品としての日記、自己と向き合う又は自己を癒し安らぐための日記、様々な日記を楽しめる。というのは、後世、刊行されたものを気ままに読む私たちの身勝手なのだが。そう言えば、古川ロッパの日記は20年ほど前に読み始めてから、まだ読み終えていない。小津安二郎の日記も入手したいのだが高過ぎる!

    それはともかく、人間というものが好きな人には、仲々面白い一冊です。

  • 『戦中派不戦日記』を読み、日記って面白いな、と思っていたので読んでみた。様々な日記が紹介・引用されています。『もの食う話』でも一部取り上げられていた、古川ロッパ日記はやはり面白かった。読んでみたい。

  • 2011.05.27 開始
    2011.06.16 読了

    これは掘出し物といっていいかもしれない。おもしろかった。非常におもしろかった。

  • [ 内容 ]
    徳冨盧花の破天荒の自己暴露、赤裸々な性描写を妻に気づかれぬようローマ字で綴った石川啄木、落ち目になってから世間への愚痴ばかり書いた古川ロッパなど、日記のさわりを覗いて楽しもうという趣向です。
    藤原定家から山田風太郎まで、木戸幸一や小津安二郎のほか、主に近代以降の日本人たちが大勢登場します。
    日記はいつ書かれ、なぜ隠し、なぜ天候にこだわるのか、といったキーワードを軸に震災・獄中・病中日記から夢日記も含め、多彩な人々の日記を味わいながら、日本語の妙技も逆説的に堪能できる本。

    [ 目次 ]
    第1章 日記はいつ書くのか
    第2章 天候・気象のこだわり
    第3章 災厄の中で-震災日記・獄中日記・病中日記
    第4章 日記はなぜ隠すのか
    第5章 夢日記の魔力
    第6章 同日日記の並べ読み
    第7章 文語体・候文・口語体
    第8章 戦いのさなかで
    第9章 日記にあらざる日記

    [ POP ]


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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 06.9.27購入。近代史における重要人物からどこぞの何某さんの日記まで幅広く紹介している、のぼさん(正岡子規)の『仰臥慢録』(日記)もありますねーあれは名著よね〜。私は光クラブ事件の山崎氏の日記を読みたいがために購入したけれど本書で最も愉快だったのは、性生活を書いた日記で、たとえば石川啄木のローマ字日記(これは有名だし既読でした)。徳富蘆花の日記がさまで強烈というか赤裸々だったとは…『みみずのたはこと』の印象で夫婦仲良いものとばかり思っていました。超激しい痴話喧嘩…蘆花ちょっと節操なさすぎ?(汗)『武士道とエロス』でも蘆花の日記は挙げられていましたが、そちらでは少年時代の男色の経験について書かれていた(これも驚き)。昔の人の日記は…ほんと…おもしれええええ!あとA級戦犯の木戸幸一の日記も紹介してます、彼の日記は有名ですよね。極東裁判ではとても有利に働きましたからねえ。

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