吉良上野介を弁護する (文春新書 285)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166602858

感想・レビュー・書評

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  • 吉良上野介贔屓の作家による、彼の弁護・弁明書。歴史家の手によるものではないので、多分に(都合よく)想像力を働かせたものとなっている。「あって当然であり」「鵜呑みになど、できるはずもない」「可能性がつよい」「以外には考えられない」「ちがいない」「たぶん、こういうことなのではないか」「思うに」など、強引な書きぶりが結構気になる。

    とは言え、浅野内匠頭が「まつりごとが下手で、部下のあしらいもうまくない」゛暗愚な殿様゛で吝嗇家、おまけに「精神にまで悪影響をおよぼす病い持ち」(「ふいに胸のふさがる発作をもたらす「痞」の病い」持ちでかつキレやすい「性甚だ急なる人」)だったのに対し、吉良上野介が温厚な風貌を持ち領民から名君と呼ばれる゛まともな殿様゛だというのには納得できた。

    また、浅野内匠頭が抱いたとされる「遺恨」に関し諸説あるなかで、「乱心」説が最も確からしいことや、二人の間に確執があったとすれば「饗応(接待)にかかる予算面での喰いちがいによるものであった可能性がつよい」こと等にも説得力があった。

    吉良上野介にとって赤穂事件は、後々まで祟るえらい災難だったんだなあ。

  • 私はもともと忠臣蔵は逆恨みした赤穂浪士が吉良義央邸に討ち入りをかけたひどい話という認識があったので、それが資料に基づいて論証されていたのですんなり読めました。
    しかし、くどいうえに偏りすぎでもある。

  • 頭のイカれた奴に切りつけられた挙句、暴徒に乱入され闘ったのに関わらず命乞いして殺されたとか汚名を着せられた世紀の大被害者吉良上野介。
    前から疑問に思っていたがやはり松の廊下からして怪しさ十分!

  • 題名通り、忠臣蔵で悪役として扱われている吉良上野介を弁護する、という立場で、当時の立場や様々な史料から上野介の「冤罪」を解いていく。幕府の吉良上野介に対する悪意を柳沢吉保に求めるのは、やや飛躍かな。

  • なにもしてないのに難癖つけられて切りつけられて、挙句に討ち入りされて死んじゃってお家も断絶なんて、吉良さんお気の毒。てか、『忠臣蔵』ってこんな話しなんだあ・・・

  • 平成25年1月30日読了

  • 010155844 / 210.5/イ

  • 忠臣蔵と言えば江戸時代に実際に起きた事件で、日本中が騒然となり芝居や歌舞伎や浄瑠璃になった話だ。
    悪者は吉良上野介で、ヒーローは赤穂浪士、可哀想なのは松の廊下で狼藉をはたらいたため切腹になったのは繊細な浅野内匠頭、ということになっている。
    でもこの著者によると、吉良上野介は領民から尊敬された名君で、立派なお殿様だったらしい。それに引き換え浅野内匠頭はキレやすいどうしようもない性分で、切腹になった時領民は餅をついてお祝いしたと言う言い伝えもあるそうだ。
    本当に気の毒なのは吉良さんだ。何も悪い事していないのに後世まで悪者になってしまった。
    今も昔もマスコミによって事件簿は面白おかしく作り替えられるのである。真相はどうなのだろう?

  • フォトリーディング&高速リーディング。岳真也の得意分野。内匠頭の方が加害者で、吉良は被害者らしい。説得力あるし、多分そうだろうけど、やっぱり古典的な忠臣蔵は泣かせる。

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著者プロフィール

1947年、東京生まれ。慶應義塾大学卒業。2012年歴史時代作家クラブ賞、2021年『翔』で加賀乙彦推奨特別文学賞受賞。著書に『吉良の言い分』『真田信幸』『徳川家康』『光秀の言い分』『織田有楽斎』等。

「2022年 『家康と信康 父と子の絆』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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