日中宇宙戦争 (文春新書)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166603619

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  • 平成16年刊行。日中…と銘打つが、むしろ日本の科学技術開発の長短、史的概況、現行の問題点につき、ロケット・衛星等を軸に叙述したものといえる。大気圏突入という意味でロケット・乗員の回収が困難であることは判っていたが、回収技術に手を出せないのが政治・軍事的な意味(ミサイルへの転用可)であるとは気づかなかった。国がイニシアティブを取れない、夢を語れない、夢のために金を出さない(はやぶさの成功が驚異的なのは認めるが、如何せんチマチマしている。失敗したが金星探査の方が個人的にはロマンを感じる)点を著者は痛罵。同感。

  •  本書は、8年も前の平成16年の発行であるが、当時の日本と中国の宇宙開発の実態をわかりやすく解説したものである。
     宇宙開発の内容の詳細は極めて専門的であるゆえに、一般にはロケットの打ち上げの時しか関心をもたれないかと思う。
     しかし、最近の中国は、急速な経済発展により得た膨大な予算を軍事開発のみならず、宇宙開発にも振り向けている。
     本書によると、中国は8年前の時点でも、有人宇宙飛行を実現した史上3番目の国として、ある領域では日本を凌駕した「技術大国」であることがよくわかる。
     「日中の技術レベル」では、ロケットにどのような技術が必要とされているのかをわかりやすく解説しているし、「回収」「有人往還」等の技術的考察も興味深い。
     しかし、「技術戦略なき日本」では、日本の宇宙開発の無策を端的に指摘している。
     なかでも「日本の宇宙開発は何を目指すのかという根本的なテーマに答えを出していない」という指摘は重い。中国のように、「国家威信・軍事開発」とはならなくとも、「戦略なき・・・」となると、どうも日本の国家的宿痾のようにも思え、「この領域でもそうか」との感慨すら覚える思いがした。
     本書は、日中の宇宙開発の実態だけではなく、その方向性をも取り上げた良書であるが、いかんせん先端技術の世界では、8年前の発行では古すぎる。同じテーマを取り上げた最新の考察を読んでみたいと思った。

  • [ 内容 ]
    二〇〇三年一〇月、中国は有人宇宙船「神舟5号」の打ち上げに成功した。
    これに対し、一部に軍事的脅威を懸念する声はあったが、総じて日本社会の反応は静かなものだった。
    いまさら「有人」でもあるまい、中国は中国、日本は日本だ、と。
    しかし果たしてそうだろうか。
    著者らは豊富なデータをもとに、中国の宇宙開発がいかに戦略的か、いかに測り知れぬ潜在力をもつか明らかにする。
    読者は「科学技術創造立国」日本の足元の危うさに、慄然とするに違いない。

    [ 目次 ]
    第1章 中国の宇宙開発
    第2章 日中の技術レベル
    第3章 宇宙船「回収」という難点
    第4章 回収の技術
    第5章 「有人往還」の現実
    第6章 ロケット技術の信頼性
    第7章 ポテンシャルとインセンティブ
    第8章 技術戦略なき日本

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