伊勢詣と江戸の旅 (文春新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166603756

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  • 西條奈加「御師弥五郎 お伊勢参り道中記」の巻末に参考資料としてあげられていた本。江戸時代の庶民がどんな風に旅費を工面してどんな旅をしたかが分かって面白い。スリやぼったくりがいる反面、貧しい者には同情的だったり、名所に行ったりお土産を買ったり道中記をつけたり……旅の魅力は昔も今もあまり変わらないのかもしれない。

  • 現在の国内旅行のルーツ♪
    宿はもちろん、お土産、ガイドブック、宅急便等はあるし、
    御師は旅行代理店みたいだし、講はある種の旅行積立。
    荷物を送って軽装で歩くのもそう。
    重いお金も為替で・・・トラベラーズチェックですよね、これ!
    柄杓1本だけで覚悟を持っての旅、
    御師経由で伊勢で夢のようなもてなしを受ける旅、
    どちらも可能だった・・・まぁいろいろ制約はありますが。
    それらを書き残した旅人たち。
    その膨大な資料を整理し、
    わかりやすくまとめた著者に感謝します。

  • 日本の街道は安全で、実に旅人に親切だった。1691年に江戸から長崎まで旅したエンゲルベルト・ケンペルの江戸参府旅行日記にも、安全で子供だけの旅行者がいることに驚いたことが記されているらしい。旅行者の病気・行き倒れへの手厚い保護制度(慣習)があったことも目が開かれる思い。江戸時代の人たちにとって旅行とは伊勢詣で以外には難しかった。だからこそお蔭参りの発生も起こり得たのだ。江戸時代に4度(1650,1705,1771,1830年)発生したお蔭参りの規模が1日20万人を超え、半年で486万人(1830年)とは吃驚! そして1文を現代の9円で換算した値段はリアリティがある。旅程の日数からほぼ金額も推定できたが、怖かったのが病気と川留めというのはよく分る。そのため意外と多くの大河に架橋されていた。その中で「越すに越されぬ大井川」である。土産物に薬などが多かったというのもこの時代の特徴だろうか。名古屋沖の七里の渡しは2~4時間かかったというが、女性の多くが三里の渡しを利用したというのは、トイレがなかったからというのは、現代に通じる面白い話。

  • 日本を訪れた外国人が口にする感想として「治安が良い」「人々が礼儀正しい」「エロが豊富」などをよく聞くが、その日本人らしさは江戸時代から健在であったことを思い知らされる。旅の資料から現代にも多く通じる人間臭さが垣間見えて面白い。

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著者プロフィール

1946年、新潟県中蒲原郡横越村(現・新潟市)に生まれる。國學院大學文学部卒業。
著書に、『〝きよのさん〟と歩く大江戸道中記』(ちくま文庫、2012)、『伊勢詣と江戸の旅』(文春新書、2004)、『芭蕉「おくのほそ道」の旅』(角川書店、2004)、『江戸庶民の旅』(平凡社新書、2002)、『関所抜け 江戸の女たちの冒険』(晶文社、2001)、『芭蕉はどんな旅をしたのか』(晶文社、2000)、『江戸の女俳諧師「奥の細道」を行く』(晶文社、1998;角川ソフィア文庫,2008)、『お葉というモデルがいた』(晶文社、1996)、『女流誕生』(法政大学出版局、1994)、『瞽女んぼが死んだ』(角川書店、1990)、『旅の石工』(法政大学出版局、1988)、『石の旅』(クロスロード選書、1988)がある。

「2013年 『「曽良旅日記」を読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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