- Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166609888
作品紹介・あらすじ
日本の法人税は本当に高いのか?公開されている企業情報、直接取材によって明らかになったのは、驚くべき税負担の軽さ。巨大企業が正しく納税すれば、法人税減税も、消費増税も必要ない!第1章 大企業は国に税金を払っていない第2章 企業エゴむき出しの経済界リーダーたち第3章 大企業はどのように法人税を少なくしているか第4章 日本を棄て世界で大儲けしている巨大企業第5章 激化する世界税金戦争第6章 富裕層を優遇する巨大ループホール第7章 消費増税は不況を招く第8章 崩壊した法人税制を建て直せ!
感想・レビュー・書評
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会計のプロ中のプロである富岡さんの本書では、少し古いですが客観的なデータをふんだんに使い分析されています。
現在でもその兆候は変わっていないと見るべきでしょう。
日本の諸問題は国による政治だけでなく、企業を統括するエグゼクティブクラスの人たちの要因もあるでしょう。
表面上だけの企業側の言葉ではなく、実際のデータを見る大切さを感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今週(2014.11)は忙しくて本を一冊しか読破できなかったのですが、この一冊はかなり衝撃的な内容でした。
日本の法人税は諸外国と比較して40%程度とかなり高いと認識していた私ですが、実際に日本を代表する大企業の納税額は利益と比較して異様に低い企業が多いという事実です。そのような企業がさらに法人税の低減を求めている主張もこの本では紹介されています。
この本の著者の富岡氏は、国税庁勤務の経験もあるほか、公認会計士や税理士資格をお持ちで、今では公表されなくなった各企業の実際の納税額を、財務諸表を読み解くことで計算されています。彼のような能力のおかげでこの本は完成するわけですが、膨大な時間を費やしたその結果を得られる私は恵まれていると思いました。
彼が本で指摘しているように、納税額の少ない企業はけして違法行為をしているのではなく現行法に則った処理をしていて、彼のポイントは現行税法の欠陥が問題であると指摘しています。
消費税の増税が粛々とされていくように、政府はまとまった力の持っていない一般消費者から税をとる安易な方法をとるのだなと改めて思いました。
以下は気になったポイントです。
・法人税の実効税率とは、税法によって定められている国税の「法人税」、地方税の「法人住民税」「法人事業税」の3つの税を合計した法定の税率である(p22)
・2014.4から、法定正味税率は35.64%へ38.01%から下がった(p23)
・2006年に法人企業の申告所得金額の公示制度が廃止されたので、個別企業の納税情報を分析するには、時間と労力と高度な専門知識が必要となる(p25)
・2013.3月期で実効税負担率の低い大企業ベスト10には、銀行が多く入っている。三井住友FGは、0.002%。五期通算でも同様、メーカでは小松製作所がランクイン(p31、43)
・実効税負担率が低い原因は、2009年に設けられた「外国子会社の配当益金不算入制度」の恩恵がある。受取配当額の95%を益金に参入しないというもの(p51)
・日産の場合、在外連結子会社の税率差5%とある、そこから逆算すると子会社を日本におくよりも、法人税額が258億円安くなったことになる(p53)
・企業が他社の株式を取得した場合、その受取配当金は課税益金に参入しなくてもいい「法人間配当無視」が認められている(p61)
・受取配当金の多い会社として、トヨタ自動車2.3兆円、本田1.1兆円などがある(p63)
・ユニクロの実効税負担率は、6.92%(52.3億円、税引前利益7565億円)である、これは、独英中国の法人税率(20%台)よりも低い(p82)
・2011年法改正により、欠損金の繰り越しが9年に延長、日本航空は2018年まで法人税を払わなくて済む(p84)
・資本金1-5億円の中堅企業が、法定基本税率(25.5)とほぼ同じ率を負担していて負担率がもっとも高い。資本金1億円以下の法人には、軽減税率(15%)適用されるが、資本金100億円以上の企業の負担率は9.6%。原因として、受取配当金の益金除外、繰越欠損金を差し引く「損金算入」がある(p89)
・受取配当金は試算によると、2003からの9年間で65兆円、資本金10億円の大企業が9割の57兆円(p96)
・円安が進行した今では、海外子会社や関係会社から配当金をドル建てで受け取ると、円安差益により笑いが止まらない(p110)
・アイルランドに実体のある会社と、登記のみのペーパーカンパニーの2つの間に、実体のないオランダの会社を介在させてライセンスを譲渡すると、支払が非課税になる。これらを管理する会社をタックスヘブンのバミューダ(イギリス領)におくと、アイルランド国内の会社は法人税も免除(p132)
・国境をまたぐ節税戦略を利用するIT企業は、ソフトをダウンロードする際の知的財産権の使用料を、ライセンス譲渡により低税率の子会社に移し替えられる。デジタル経済に税制が追い付いていない(p136)
・全国250万社の中小企業(資本金1億円以下)のうち黒字法人は3割程度(p169)
・現在の日本財政が弱いのは、税の不公平さに起因することに気付いた(p188)
2014年11月29日作成 -
企業のやり取りの実態であり、不正ではないが不合理を指摘した書。
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週刊金曜日経済私考202299掲載 評者:佐々木実(ノンフィクション作家,ジャーナリスト)
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700 +税
橋本図書館
ほとんどの企業が税引き前純利益より受け取り廃棄の方が多いことがわかる、つまり受け取り配当金は大企業の大きな収入源となっている。それにもかかわらず納めている法人税の実効性負担率は著しく低い。その理由は受け取り配当金損益不算入制度と言って企業が他社の株式を取得した場合その受け取り配当金は益金に挿入しなくても良いと言う法人化配当無視が認められているから。子会社や関係会社の株式等の回答については課税ベースに100% 不算入が認められている。子会社や関係会社に出資してほんと気を得ることがあってもその金額を稼ぐと一緒に入らない。また子会社や関係会社以外の企業の株式についても50%が益金不算入だから株式投資をしても利益の半分は目をつぶっても光星となる。
子会社関係会社からであれば神木ゼロにすることができる。
さらに言えば形状の利益が赤字であってもまた受け取り配当金で補填して企業が決算が黒字なった場合でも受け取る配当金が考慮あったら申告角を0にする可能性がある
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巨大企業の負担は法定税率の半分か。
法人の税率をしたのに大企業ばかり問題があるのか。洋画負担している前には国税の法人税地方の法人住民税と法人事業税がある、地方税の授業税率と住民税いつも地方自治体とよって税率が異なる。資本金1億円以下の法人には中小企業に対する軽減税率(年所得1000万円以下の分は15パーに軽減)が適用されるため法定基本税率(25.5%)より低くなるのは当然と言える。ところが賞金100億円超の巨大企業の法人中自己負担率は(9.67%)が一千万円以下の企業より半分以下であることが日本の税制の問題である。このような差額が生じるのは税務上での受け取り配当金のような益金除外や繰越し欠損金を利益から差し引く損金算入が行われているから。
1.企業の会計操作
2.企業の経営情報の不透明さ
3受け取り配当金を課税対象外に
4租税特別措置法による優遇税制
5内部留保の増加策
6タックスイロージョンとタックスシェルターのシェルターの悪用
7移転価格操作
法人税の栗辺が適用されるケース
特別償却制度。エネルギー構造改革への対応や環境対策の推進をした場合の償却限度額とは別枠の一定額が許容される。
準備金制度。海外資源開発事業への投資や将来の特定の喪失に備えるために積み立てる金額を損金に算入できる。
⚪︎圧縮記入制度。固定資産の譲渡駅に対してたちに課税を行わず、課税の繰延を行う制度。固定資産の譲渡益で別の固定資産を購入すると資産状態に変化なくても納税だけが生じる不都合を防ぐためにも設けられてきた。
タックスイロージョンは、法人人生の血管や企業ゆる税制等により国や地方自治体に入るべき東区の精子をいわば見逃して上げる仕組みと言える。その点ではその負担能力に応じてより多く税金を負担すると言う事の上での声から自殺していると言っても良い。代表的な手法としては航空機や船舶のリース契約がある企業や投資家が出資した匿名組合がこのてもいい席を始めると空港機を船舶の借入利子などの損金が,リース収益を上回り匿名組合に出資した投資家の赤字が一定期間続きますこうして投資家にとっては課税が繰越し欠損金され節税効果が大きい上に減価償却後に空港機や船舶を売却できるので最終的に利益が計上されている仕組み。 -
世界的な法人税率の引き下げの流れにあるのは、それをしないとグローバル企業に奪われてしまうから、という消極的な理由だけではないように見える。
そもそも法人は自然人とは異なり実態がないのだからそこに課税するのはおかしい。企業活動の果実が個人に落ちてきたときにそこに課税するのが筋だ、という論理があるのではなかろうか。
本書を通じて感じる違和感は、この視点が欠けたままひたすら庶民対大企業という軸で進むことだ。
大企業に務める庶民もいるし、大企業の提供する種々のサービスを我々は享受していて、それなしでの生活は成り立たない。
また、著者は、配当金の二重課税を避けるための益金不算入は個人が株主であることを前提にしている以上、法人株主が80%である現状では見直すべきだ、と言うがこれも意味がわからない。
配当とは、企業活動の結果としての利益に対して課税もされた後の残滓について、その一部が株主に支払われるものなので、個人であろうと法人であろうと、そこにまた課税するのはおかしい。
極論をいうと、子会社・孫会社が無限に続くグループ会社の場合、一番下の会社の利益を一番上の会社が吸い上げようとしたら、ほぼ100%が税となるような税制が望ましいと考えているのだろうか。
それから、実効税率という言葉の定義がおかしい、というのはそのとおりだが、分子に日本国内で納めた法人税のみをあげ、分母に決算書の税前利益を置くのは公平性を欠くのではなかろうか。
その計算式であれば、当然のことながら海外に子会社を持つ企業の「実効税率」は低くなる。
さしたる分析もなく、平成不況は消費増税によるもので、法人減税は効果がない、と主張。
財源の話では、消費増税はデフレを脱却してからにせよ、というまっとうな話があったかと思えば、パチンコ・パチスロくらいしか娯楽がない地方もあるのに、そこに課税するなんてとんでもない、という話に飛んだり、どうも体系立てて何かを伝えたいという本でも無さそう。
日本の大企業は海外の子会社を使ってズルをしている!懲らしめねば!というよりも、法人税率をより一層下げて、海外のグローバル企業の子会社を誘致して税収をあげよう、という発想のほうが建設的だし、好きですね。
国税庁にはそういう発想は無いのだろうか。
そもそも、日本企業が海外に打って出たのは、税率云々よりも、自動車摩擦なり半導体協定なりで、貿易黒字を減らせと米から突っつかれたからで、結果的に国単位での地産地消が進んだためであることも一因だが、その構造を無視して、グローバル展開は悪だ、と言っても詮無い。
そのあたりは、低税率を求めて動くGAFAなどのグローバル企業とは事情が異なっているはずだが、意図的に混同している。
日本にそんなIT・投資型のグローバル企業無いでしょうに。
と思ったが、ソフトバンクがいた。
そうか、本書はソフトバンク批判の本だったか・・・。 -
コメント
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【由来】
・東洋経済。文春のメルマガでも。
【期待したもの】
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※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。
【要約】
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【ノート】
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【目次】