秋田犬 (文春新書 1152)

著者 :
  • 文藝春秋
3.60
  • (1)
  • (1)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 40
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166611522

作品紹介・あらすじ

忠誠、頑固、質実剛健……世界を夢中にさせる「孤高の日本犬」のすべていま、秋田犬が世界的なブームとなっている。凛とした佇まい、「忠犬ハチ公」に象徴される忠実な性質……そんな特徴が評価され、大人気となっているのだ。プーチン大統領「外見はかわいくとも真剣な犬なので、常に尊敬の念を持って当たらなければならない」。ヘレン・ケラー「他の犬には絶対に同じだけの優しさを感じることはない」。リチャード・ギア「高潔な日本の犬」「孤高の秋田犬」。白鵬「日本の国技は相撲、日本の国犬は秋田犬です」。 ……秋田犬に特別な思いを寄せる海外の著名人は、枚挙に暇がない。 実際、ロシア、アメリカ、ヨーロッパなどでは秋田犬の飼育頭数が順調に増え、日本をはるかにしのいでいる。すでにイタリア1国だけで、年間出産頭数は日本を上回っているほどだ。ペットブームに沸く中国でも秋田犬は大人気。1頭1千万円以上で取引されるケースが出ているほど過熱している。その一方、秋田犬は日本の天然記念物であるにもかかわらず、日本国内では飼育頭数が減少の一途をたどり、存亡の危機に瀕している。秋田犬はどのようにして日本で誕生したのか、戦前・戦時中に直面した「犬種」としての危機、戦後の長い「復元」の道のり、そして「忠犬ハチ公」の真実とは?

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/612614

  • 実はハチ公の章しか読んでいないのですが、思いは少々複雑です。彼は思いの外幸せで充実した生涯を送った。それで良いではないか、と思います。
    ハチ公の生い立ちを秋田犬の育成の振興や国策としての忠義心の涵養に利用した人間がいた。ハチ公は現代の秋田犬の血統基準では純血種に当たらないかも知れない。ハチ公は帰らぬ主人を待つためだけに渋谷駅に通ったのではなく、昔主人と共に口にした駅前の屋台の焼き鳥の味を愛していた。また、その秘めた腕っぷしの強さで勝ち取った渋谷駅前というテリトリーを守るために居続けた。本書にはそうした知られざるハチ公像と申しますか、知ってみれば「なあんだ」な感じのハチ公像が描かれています。
    しかし一方で、彼はただ愚直に主人を忘れず待っているだけの犬ではなく、渋谷駅周辺の犬達に君臨し、時に人間にいじめられつつ美味しい焼き鳥にもありつくなどそこそこ充実した生活を送り、一方で自分を慈しみ育ててくれた人間の家族のことは生涯忘れることがなかったというハチ公像の描写もあります。
    著者の筆は終始伝説を讃える者に対して冷静な視点を促している印象ですが、私自身は「それでも」と最初に記した思いに立ち返るのです。
    実像は光り輝く偶像の影でもありますが、ハチ公の場合は実像が偶像を飲み込み否定するのではなく、より厚みと輝きの増した偶像として成立させている。著者が意図したものかは分かりませんが、それがハチ公の章の読後に抱いた、日本一愛され続ける秋田犬への思いです。

  • 【忠誠、孤高、質実剛健……「ベストオブ日本犬」の素顔に迫る】プーチンも魅了された秋田犬はいまや世界で大ブーム。DNAがオオカミに最も近く、忠誠心に優れた「孤高の日本犬」の魅力に迫る。

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

著者:宮沢輝夫(みやざわてるお
1972年、東京都生まれ。読売新聞生活部記者。
野生動物からペット、動物愛護法まで生き物に関する記事を多く執筆。
昆虫少年かつ文学少年として育ち、愛媛大学在学中、小説『ハチの巣とり名人』で第7回舟橋聖一顕彰青年文学賞を受賞。
“進化論の島”ガラパゴス諸島に2度訪れている。日本蝶類科学学会理事。著書に『秋田犬』(文藝春秋)などがある。
小笠原諸島で保護された元ノネコと暮らす。好きな生き物はニホンカワウソ。

「2020年 『生きのこるって、超たいへん! めげないいきもの事典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

宮沢輝夫の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×