小さな家の思想 方丈記を建築で読み解く (文春新書 1281)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166612819

作品紹介・あらすじ

人生の締めくくりを過ごすなら、どんな家がいいですか? 古典が教える「自分にとって必要最小限の、居心地のいい家での暮らし」のヒント。
「ゆく河の流れは絶えずして――」で始まる、有名な古典、『方丈記」。実はここに登場する鴨長明の庵「方丈庵」は長明が自ら設計した「最期を過ごすための家」だった。そこに持ち込まれたのは音楽、和歌、そして信仰のためのわずかなモノたちと自然との語らい、親しい人たちとの交友。ミニマリズムの大先達、鴨長明に学ぶ「小さな家」という生き方。

感想・レビュー・書評

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  • 鴨長明やソローほど先鋭化することは難しいけれど、小さな家で暮らしたいという気持ちはよくわかる。

    家が小さいと、周囲の環境により依存することになる。

    だから、環境に敏感になる。
    旅する建築が望まれる所以だろう。

    映画「まあだだよ」にでてくる、空襲で焼け出された内田百閒が暮らすバラック小屋の話が面白かったので、見てみた。大変よかったので、本書に関心を持った人はこちらの映画もおすすめ。

  • 就活中の娘が狭小住宅に興味があるという。「方丈記」に諸々のことは書かれていると養老先生が言う。そんな事情があって本書を手に取ってみた。鴨長明がどういう人物で方丈庵がどのような建物であったかはある程度わかったのだけれど、どちらかというと後半の小さな家の具体例をもっと多くしてボリュームをふくらませてもらいたかった。そしてできれば写真をもっと添えてほしかった。家の本というのは何となく楽しい。こんな狭いところにこんなものが立つのか、そんな例をいくつも見てみたい。写真が載っていることもあって東孝光の「塔の家」に興味がわいた。5階建てが全てつながっているという。風呂もトイレも扉がないという。5階にいても誰か帰ってきたのがすぐわかるのだとか。うーん、どんな空間が出来上がっているのか、中に入ってみたい。(後にネットで中の写真も見たけれど、うーん、これでは僕はちょっと落ち着かないかなあ。)さて、方丈庵だけれども、どう見てもまずトイレがない。いわゆる台所も見当たらない。もちろん風呂もない。全く生活臭がしない。寺の境内の中とかに立てていたようだから、おそらく外にあるものを借りていたのだろう。でも、それを1軒の家というには無理がありそうな気がする。まあ、キャンピングカーでもそうだけれど、キッチンはあっても、暮らすということについては排泄の問題は欠かせないなあ。ル・コルビュジエの「小さな家」は写真がなかったのでネットで見てみた。これは小さいと言えるのだろうか。ソローの「森の家」は読んだことがないが、2年くらいの経験でどこまでのことが言えるのかなあと思ってしまう。トクヴィルについても同じように感じていた。もっとも、長く住んでその土地に溶け込んでしまっていないからこそ、見えてくるものというのはあるのかもしれない。

  • 第1章 「人と栖」の無常ー『方丈記』のあらまし/第2章 鴨長明の生涯/第3章 方丈庵に持ち込まれたモノ/第4章 方丈庵ができるまでープロトタイプと完成形/第5章 再生の地、日野山/第6章 『方丈記』のルーツ/第7章 方丈庵を継ぐものー数寄の思想/第8章 江戸期の小さな家ー芭蕉・良寛・北斎/第9章 ソローの「森の家」/第10章 現代の「小さな家」

  • 第1章 「人と栖」の無常―『方丈記』のあらまし
    建築から読み解く
    全体の流れ
    遷都と飢餓
    災害と無常観
    どんどん家が小さくなる
    第2章 鴨長明の生涯
    新古今和歌集の編纂
    突然の出家
    第3章 方丈庵に持ち込まれたモノ
    臨終の行儀
    臨終の場所としての方丈庵
    第4章 方丈庵ができるまで―プロトタイプと完成形
    第5章 再生の地、日野山
    第6章 『方丈記』のルーツ
    第7章 方丈庵を継ぐもの―数寄の思想
    第8章 江戸期の小さな家―芭蕉・良寛・北斎
    第9章 ソローの「森の家」
    セルフビルドの家
    森の生活とは
    第10章 現代の「小さな家」
    なぜモノにあふれるか
    断捨離のすすめ
    現代の方丈庵とは
    最小の家を考える

  • 【戦乱の世、方丈庵に込められた思想とは?】一辺約3メートル、組み立て式のモバイル住宅「方丈庵」は鴨長明の集大成だった。誰もが知る古典を建築として読み解く新たな試み。

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