第三の大国 インドの思考 激突する「一帯一路」と「インド太平洋」 (文春新書 1401)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166614011

作品紹介・あらすじ

〝ポストGゼロ〟〝ポスト米中対立〟の「新グレートゲーム」のキープレーヤーとなるのはインド――。
2023年中に14億人を突破し人口世界第1位に躍り出るとされ、軍事費では現在世界第3位、きたる2047年に建国100年を迎えるインド。「米中に次ぐ第三の超大国」は、伝統的非同盟を堅持しつつ米中に対して自ら独立した〝局〟となる戦略的自立で存在感を増している。
ウクライナ侵攻をめぐる国連安保理でのロシア非難決議案採決を棄権し衝撃を与えたインド。そして各国による経済制裁のさなかにもロシアから石油を爆買いし、普通なら風当たりが強くなりそうなものだが、実際に起きたのは独自の立場を貫くインドへの主要国トップによる〝モディ詣で〟だった。
貿易協定、サプライチェーン、エネルギー、半導体、インフラ整備、感染症対策……。あらゆる分野で激しさを増す米中を軸とする覇権争いにおいて、中国主導のAIIB(アジア・インフラ投資銀行)にも非加盟で中国と距離を置きつつ、安全保障上はクアッド(日米豪印戦略対話)の枠組みにある日米とも是々非々の独自路線を採る。

インドと中国、インドとロシア、そしてインドと日米――。今まさに東半球を舞台に激突する「一帯一路」vs.「自由で開かれたインド太平洋」の2大経済圏構想。この〝新たなグレート・ゲーム〟の帰趨が21世紀後半のパラダイムを規定する。

感想・レビュー・書評

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  •  本書は、インドの国内外の事情を中心に書かれたものかと思い読み始めたが、全編のほとんどがインドと中国の鍔迫り合いについて書かれたもので、インド独自の国内外事情の記載はわずかであった。
     インド国内外事情について興味があったので、本書の内容は自分の想定外であったが、世界のどの位置においても世界の中心がアメリカから中国に移りつつあることが改めて理解できた。
     本書の内容については、巷でいわれていることの焼き直しで目新しい話はあまり見受けられなかった。

  • 内容としてはインドと中国が半々といったところ。

    世界的にプレゼンスが増すインドの過去と現在、そして建国100周年での先進国入りを目指す今後25年のビジョンが書かれている。

    独立後のインドの歩みには、「債権帝国主義」中国との摩擦、ロシアとの長きにわたる関係性、アメリカとの協調などが複雑に絡み合っていることが知れた。

    ・一帯一路に対するインド太平洋構想
    ・クアッド
    ・中東、南アジア諸国との経済的連携
    ・中国・パキスタンに対抗する為のロシア関係
    ・米日との協調

    複雑に絡み合う各国の思惑を、実利によって判断し、今後100年のグレート・ゲームを制そうとするインドを注視したい。

  • 20240210-0217 本書は序章で2022年2月25日にのロシアによるウクライナ侵攻に対して国連安保理がロシア非難決議をインドが棄権したという事実について、なぜインドが棄権したのか、ということを解き明かし終章でもロシアを巡る駆け引きについて見解を述べている。「インドの~」と言いながら半分くらいは中国の一帯一路構想についての解説とそれに対する日米欧の反応、そしてインド、という感じ。とはいえインドについての基本的現状は一通りはわかると思う。文章が読みやすいのでサクサク読めた。本書を足掛かりにインドについての解説本を読むとよいかと思う。

  • インドと中国の外交を主軸に書かれた本。
    1000円するが内容は盛り沢山。
    ただ、「だから何?」「それによってどのような未来をあなたは予想してるの?」と言いたくなるような事柄の列挙が気になる。
    あと、コラム1,2,4,6は参考になった。

  • あまり低評価はつけませんが2に近い3です。
    事実を並べてインドについて書かれてあるものの、著者の分析や意見が全体を通して少なすぎました。
    そのせいか読み終わった後に何の印象も残らなかったです。

  • ユーラシアとインド太平洋を俯瞰して南アジアとインド洋を中心とした地域の動きが描かれていた。インドの一般国民の生活には触れられていなかったので、せっかく興味を持ったのでそちらも新書を探そうかな。

  •  書名からの予想と異なり、独立後インドの外交史の他は、日米中に南アジア諸国といった関係国の動きの方が多い。第二章は丸々一帯一路を扱い、第三章は日本のFOIPイニシアチブにIPEF、更には英仏独のインド太平洋の関心まで。薄く広くという感じで、それだけに読みやすい。
     パキスタンはともかく、他の南アジア諸国で中国の影響力が急速に強まることへのインドの警戒感を指摘。ただ、日米豪との連携はするにせよ、副題ほど「激突」との印象は本書からは受けない。IPEFへの対応を含め、是々非々の姿勢でもある。また、ウクライナ侵攻後でもインドの実利優先の姿勢を本書で説明。

  • 研究者の方が書いたインドの外交について解説した本。盛りだくさんな内容だが、やや専門的。

  • インド、中国、日米の現在の軍事・政治・経済・社会などの構造を中心的に解説したもの。
    インドの実態はほとんど日本人は知らない。しかし、世界最大の人口と経済の急成長がプレゼンスを強めている。どの国とも強く結びつかないという外交的原則も日本ではしられていない。
    字の読めない人が25%近く現在でも居るとか貧富の格差が大きいなど多数の問題も存在する。
    中国、インドという巨大な国が急速に経済や軍事そして外交力を高めている。その内容を深く知らねばならない。

  • 新聞記者程度か

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著者プロフィール

1976年愛知県生まれ。岐阜女子大学南アジア研究センター特別客員准教授。中央大学総合政策学部卒業後、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科で修士号取得。在中国、在インド、在パキスタンの日本大使館で外務省専門調査員として勤務。著書に『インパールの戦い』(文春新書)、『モディが変えるインド』『インド独立の志士「朝子」』(以上、白水社)、共著に『軍事大国化するインド』(亜紀書房)、『台頭するインド・中国』(千倉書房)、訳書に『日本でわたしも考えた』『アメリカ副大統領』『シークレット・ウォーズ(上下)』『ネオ・チャイナ』『ビリオネア・インド』(以上、白水社)、監訳書に『日本軍が銃をおいた日』(早川書房)などがある。

「2022年 『インド外交の流儀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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