- Amazon.co.jp ・本 (425ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167254360
感想・レビュー・書評
-
いじめっ子におびえ、自転車を乗り回し、深い森を探検する活気に満ちた少年たちのノスタルジーあふれる日常が丁寧に描かれる。
なんといっても一番素晴らしいのは、子供の空想力なのか、本当の怪奇現象なのかがわかりにくい絶妙なリアリティラインだろう。本当に絶妙。
また、凶悪な殺人事件などによる不気味な暗雲も立ち込めていてスリルもある。
自分は「あー、これだ、こういう話が読みたかったんだ」と思った。
下巻も楽しみ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
想像力豊かな十二歳の少年の冒険と成長を描いた小説。ミステリであり、ややホラーであり、幻想的な側面が印象的です。基本はごく現実的なのだけれど、この世界に多少の魔法があってもいいのではないか、という気にさせられました。
平和な街で起こった(かもしれない)殺人事件を皮切りに、少年の周りで起こるさまざまな出来事。愉快でスリリングで少し危険だったりもするそんな日々での、物語に魅せられた少年の想像力と行動力がとにかく素敵です。子供の頃は誰でもこういう感情を持っていたのかなあ、と懐かしくなるような心地になりました。でも子供の頃にわくわくさせられたような道具立ての数々は、今でもわくわくしちゃいますけどね。
ゼファーの町で暮らす人々がみんな魅力的に描かれていて。だからこそこの中の誰かが犯人なのだろう、というのにはどきどきさせられます。読み始めたらなかなか止められない作品です。 -
キングと同年代に活躍する作家であり、
この作品はキングのアレに似てるのもあるから
比べられるのは仕方ないけど、
キングの中編に比べたら圧倒的な情報量で、
オレはこっちの方が好きやったりする。 -
十二歳の少年の一年間を描いた成長物語。ただの少年の日常のはずなのに、現実と非現実、日常と非日常が巧妙に織り成されている。夢だけでなく、現実の厳しさと素晴らしさが描かれている、そのバランスがすごく好き。
架空のひとつの町を描いているという点もツボです。登場人物のひとりひとりが生きている。ゼファーという町そのものを愛してしまう。
すべてのエピソードが魅力的ですが、一番好きなのは、後半の主人公が汽車に乗って家出するところ。田舎育ちはとても共感できると思う。
形式的には私小説ですが、内省的なのではなくて、子供の頃に夢見たことや恐れていたもの、そのたもろもろのことが詰め込まれた青春小説だと思います。 -
老境に差し掛かった主人公が、故郷に向かう途中で少年時代の記憶を振り返るという、いわゆる「額縁入りの小説」。
この系統の小説はけっこう好きだけど、その中でもこの作品は群を抜いている。 -
これまで超常的なホラーを中心的に書いてきたマキャモンが、そうしたホラー作品から離れた作品を書くようになってからの作品の一つがこの『少年時代』です。
主人公は作家。彼が少年時代に起こった様々な事件を小説風に書き起こすという作品なのですが、生と死、愛と絆、友情と別れ、誰もが少年時代に経験する様々な人間的な繋がりや楽しさを、すこし不思議なエッセンスを織り交ぜて書かれるこの作品、マキャモン作品でも屈指の名作だと思います。
涙あり、笑いあり、恐怖あり、手に汗握るサスペンスあり、そして背筋が寒くなるほどの壮絶なアクションあり。
最高級のエンターテイメント小説は、様々な要素を全て含みつつ、それが破綻していないものであると私は考えているのですが、この小説はまさにそれでした。 -
マキャモンの最高傑作。アメリカ南部の田舎町を舞台に12才の少年の1年間の中で起こる様々な冒険。宇宙人、怪獣、殺人鬼、黒人差別問題、ベースボール、恐竜、幽霊、西部劇、とあらゆる要素がからみあった魔法の物語。キングの「スタンド・バイ・ミー」の100倍面白い(当社比)!
-
抒情ーーーーー! すごい面白かった。1960年代のアメリカ南部の小さな町で12歳の男の子が遭遇する殺人事件、初恋、友人との別れの一年の物語。翼を持って空を飛びまわったり、銃弾が蛇に変わるような超常現象と代数の試験と大規模スーパー開店による父の解雇という普段の暮らしがシームレスにつながり、筆の妙が冴えわたる魔法の物語。