片目を失って見えてきたもの (文春文庫PLUS 50-9)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167660406

感想・レビュー・書評

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  • 物書きでない人の著書は浅田美代子や田原俊彦の歌を聴くようで実に歯がゆい。
    登場人物はすべて善人ばかりで辟易。

  • マリグナント・メラノーマという病気によりがんになってしまい、片目を摘出したピーコさんが書いたドキュメンタリー。

    彼(彼女?)が、片目を失うまでの心理的葛藤から、失ったあとの心の変化にいたるまでがリアリティたっぷりに記載されています。

    この本は、私が網膜はく離にかかって片目の視力を失うかもしれないという恐怖とたたかった経験から読んでみようと思ったのですが、本当に片目の視力を失ってしまった彼が、目を失ったからこそ得ることのできた「心理的境地」みたいなものは、本当にいろんなことを考えさせらます。
    自分も入院したときに感じたことだけど、友達というのは本当に大切にしなければいけないし、大切にしたいと思う人に対しては、絶対に何かを求めてはいけない、という言葉は、最近自己中心的に行動しがちな自分に心にグサっときました。

    この本で、ピーコさんの見方がだいぶ変わりました。
    内容的にもとても読みやすく、素晴らしい内容なのでオススメです。

    以下、気になる記述ピックアップ。

    <blockquote>
    P.126
    私は、「1日にこれだけ売ればこれだけ歩合がつく」ということにあんまり興味がなかったので、「背が小さくて顔が大きい人は絶対似合わないですね」「私どもの商品ではなく、あちらの物のほうがお客さまにはよろしいかもしれません」と平気で言っていました。
    (省略)
    たまには怒る人もいましたが、そういう人は、おしゃれしたいというときに、洋服のことにしか目がいかない人なのでしょう。<b>洋服なんて、どんな高いものを着たってどうせ「包み紙」なのだということが分からない人です。</b>
    </blockquote>

    この本の中で繰り返し語られる、「ファッションは中身と洋服がマッチしないと似合わない」の部分の根幹となる箇所。要するに、自分が内面的に美しくならないと、どんなに洋服をキレイにしたりしても意味がないということです。
    <blockquote>
    P.155
    一流のレストランで食事するときは、それなりの盛装をしなければいけないと思うのが日本人で、そうした盛装を楽しむために、高級レストランで食事をすると考えるのが欧米人なのではないでしょうか?</blockquote>

    これはまさに目からウロコ。
    確かに、日本人はファッションにうといというか、いちいち食事をするのに・・・と「食べること」から入りますが、「パリッとしたいファッションをしたいからフランス料理を食べる」と、「ファッションを楽しむこと」から入ると考えれば、いろんな楽しみ方が見えてきます。
    こういう発想の転換というのは、いろんなところで応用できると思うので覚えておこうと思います。




    20091018開始

  • おすぎとピーコ、1975年頃、TV界で「おねえ言葉」を連発してましたね。双子のおかま、ファッション評論家の兄ピーコと映画評論家の弟おすぎ。1945年生まれ、ピーコ 著「片目を失って見えてきたもの」、1999.9発行。44歳の時、左目の悪性腫瘍で左目を摘出。その10年後の心境をエッセイに綴ってます。一日が左の義眼をはずしていねいに洗うことから始まると。永六輔、吉行和子、石井好子など沢山の友達の有難さについて書かれてます。特に、外面より内面の美しさに言及されてます。

  • 網膜剥離の眼球癌メラノーマ
    を発症し片目を摘出した
    ピーコさん
    ゲイだからオカマだからという
    こだわりはなく…
    子供の児童文学のような
    まっすぐに届くような
    言葉がヒシヒシと伝わってくる
    いい本でした…
    生きている限りは人の為に
    時間を使おうと
    悩みなんて所詮そんなもの
    とピーコさんに出会わなかった
    ら絶対に見過ごしていた
    考え方やヒントを沢山
    もらいました。
    ピーコさん、いい話をありがとう
    とこころより感謝致します。

  • 片目を失ってから思い出した母から学んだことや、
    ファッションや教養についての話や人脈で広がった世界など
    たまに耳に痛いお言葉もあったりもしたけど
    読んでみて面白かったです。

    『・・・教養がないと美しさはわからないということを知ったのです。それこそ本もたくさん読まなければいけないし、オペラでもクラシックでも知っておいた方がいい、ということに気づいていくわけです。』

    私もちゃんと教養を高めていかないといけませんね。
    アラサーの私でもまだ遅くはないはず
    自分にできることから始めていきたいですね。

  • おどろいた、、ガンで眼球をとってたなんて。周りの友達にどれだけ支えられてたのか、親がどう育ててくれたのか、に気づいたという。病気になると、元気なときには気づかないことがたくさんわかるんだよなぁって思う。

  • タイトルで少し自分に通じるものがあって手にしたんだけど、読んでいるとピーコさんの人となりが今まで自分が考えていたものと違っていて、読んでよかったと思いました。

  • 今まで感じていたピーコさんへの印象が変わった一冊。誰でも失ってから見えるものも多いけど、歳を重ねた人の回想録は深みがあり学ぶところも多い。中高生に一度読んでもらいたい。内容の意味が分からなくても一度ぜひ。

  • するする読めたし、気持ちがとても伝わってきました。

  • ピーコさんに対する、というか「ゲイ」に対する偏見が
    一気になくなった一冊。
    題名のとおり、この病気によっていろんなものが見えて
    きたようです

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