- Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167773472
感想・レビュー・書評
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三人の選者が2作品に絞って紹介するという趣向。
菊池寛「入れ札」(山本一力・選)
松本清張「佐渡流人行」(山本一力・選)
五味康祐「桜を斬る」(児玉清・選)
藤沢周平「麦屋町昼下がり」(児玉清・選)
山田風太郎「笊ノ目万兵衛門外へ」(縄田一男・選)
池宮彰一郎「仕舞始」(縄田一男・選)
藤沢周平は上手で、山田風太郎は恐ろしく、それぞれ江戸時代の空気を短編のなかに鋭く閉じ込めていて、おもしろかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ここのところ、時代小説を読もうと思ったときにどの作家のものを読めばいいのか迷うときがある。そんな時にはこのような企画ものを読むのが非常に役に立つ。
理由は外れがないからだ。まさに今回は外れがない一冊に仕上がっている。そしてもなかなかユニークな一冊だと思う。
こんなに全面に編者が出るのも個人的には新鮮だ。今の時代小説ブーム?でも過去の作品に新しい光を当てる意味でも面白い。この一冊を手に取ったのは池宮彰一郎さんの「仕舞始」が収録されていたからだ。忠臣蔵外伝のような一遍だが以前にも読んだことがある。著者の晩年の盗作疑惑から出版取りやめなどのことを思うと改めてこういう場で評価されるのはうれしい。
新潮文庫にも企画ものが多いのでもう少し企画もので短編を読んでみようと思った。楽しかったなぁ~。 -
「人生を変えた」とは些か大げさかと思うが、それぞれ珠玉の短編ばかり。「読まずに死ぬのはもったいない」と言っておきたい。
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読了2010/08/01
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山本一力・児玉清・縄田一男の三氏が一人が短編小説二編ずつという縛りで、「時代小説にはまるきっかけとなった小説」「今現在でも最高だと思う小説」として選んだ6本のアンソロジー。選ばれた作品は菊池寛「入れ札」松本清張「佐渡流人行」五味康祐「桜を斬る」藤沢周平「麦屋町昼下がり」山田風太郎「笊ノ目万兵門外へ」池宮彰一郎「仕舞初」大御所の作品が並ぶわけで鳥肌立つ程の作品がぞろぞろ。今時の若い作家が書くリーダビリティーの高い小説もサクサク読めて好きなんですが、きちんとした文体の小説はやっぱいい。
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時代小説には若干の苦手意識があったが、このような短編集として読んでみるととても面白い。
藤沢周平や松本清張は「生きる上での教養」だと常々考えていたが、実際に手にとってその書を読んでいなかった。が、本書を通して漸く彼ら二人の著作に触れることができてよかった。