儲けすぎた男 小説・安田善次郎 (文春文庫 わ 15-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167838751

作品紹介・あらすじ

東大安田講堂を寄付した日本一の銀行家の生涯安田善次郎は露天の銭両替商から身を起こし、一代で大財閥を築いた。先見性と度胸で勝機を掴み、日本一の銀行家となった男の生涯。

感想・レビュー・書評

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  • 幕末の人物と言えば新選組を皮切りに高杉晋作くらいで止まってしまい。桂小五郎や西郷隆盛などの面白い作品に出逢ったことがない。まして早乙女貢戦士の山田顕義?「志士の肖像」などと書かれていて手に取ってから始まった。近代的なものはどこか近さを感じるんですよね

    僕の母校は全身が東京植民貿易語学校と言われています。その後保善高校となっているのですが、これは安田保善社からきているんだと思います。そううちの母校は安田財閥の創設者である安田善次郎さんなんですよね。まぁ~寄付ですから仕方がないのですが財閥系であればもっと知能指数高くていいような気もするんですけどねww

    初めて読みましたが富山で御家人株を買い末端の武士の家に生まれた善次郎が江戸に出てきて多くを築くまでの話です。安田銀行が今のみずほ銀行くらいはさすがに知っていましたが、その他もろもろは初めてでした。まして暗殺されたなんか初めて知りました。それにしても300ページくらいで安田善次郎を知れなんて無理な話かもしれません。

  • 安田善次郎の生い立ちから起業して安田財閥として成り立っていく過程、そして明治維新という日本の激動期における企業の興亡を生き生きと描いている。
    安田寄り(贔屓)の視点であることは否めなく、当時の時代と経済界の状況を俯瞰できるとは言い難いが、それだけに物語として読みやすい構成。

    貧乏な生い立ちの安田善次郎が身一つで大財閥の基礎を築いていく人生物語を爽快かつ刺激的に表現している。

  • 【東大安田講堂を寄付した日本一の銀行家の生涯】安田善次郎は露天の銭両替商から身を起こし、一代で大財閥を築いた。先見性と度胸で勝機を掴み、日本一の銀行家となった男の生涯。

  • 東京大学安田講堂などに名を残す安田善次郎。安田財閥を一代で築いた立志伝中の人であります。
    わたくしにとつては、JR鶴見線の安善駅(安善町一丁目)の由来となつた人としての印象が強かつた。否、殆どそのイメエヂ。

    ところでこの鶴見線とは、埋立地に新たに敷設した鉄道のため、その地名を付けるにあたり、関りの強い実業家や企業の名前から駅名(地名)が付けられてゐます。たとへば浅野総一郎(浅野駅)、大川平三郎(大川駅)、昭和電工(昭和駅)など。
    まるで関係ないけれど、「大川平八郎」は、昔の東宝専属俳優であります。またの名を「ヘンリー大川」。大川平三郎とは、特に血縁関係はないみたいですね。

    さて安田善次郎は元元富山藩の武家の出自でありますが、武家といいながら実態は経済的に困窮し、田畑を耕し農作物を売り歩く毎日だつたさうな。
    かかる生活では将来の展望が見えてこないといふことで、善次郎は単身江戸へ出ます。

    両替商を始めた善次郎。幕末の混乱期から明治維新の不安定な時期は、貨幣の価値もあやふやになり、明日も知れぬ毎日であります。同業者があたふたする中、善次郎は大きな賭けに出るのでした...

    安田善次郎といへば、巨額の財産を得ながらそれを社会に還元しない守銭奴との評も聞くのでありますが、本書を読むと、必ずしもさうではないことが分かります。本人は「陰徳」を心がけてゐたさうなので、中中表面に出なかつたのでせう。実際、近年は安田善次郎再評価が進んでゐるといふことです。

    『儲けすぎた男』は、小説としては些か華が足りないやうな気がしますが、安田財閥の興亡を俯瞰するのに恰好の一冊と申せませう。
    通勤などで安善駅を利用する皆様も、たまには安田善次郎に思ひを馳せていただきたいと愚考するものであります。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-163.html

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