西一番街ブラックバイト 池袋ウエストゲートパークXII (文春文庫 い 47-22)
- 文藝春秋 (2018年9月4日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167911317
作品紹介・あらすじ
400万部突破! 大人気シリーズ12弾池袋の雑居ビルで若者が飛びおり自殺を図る。彼は、急成長した飲食チェーン店の従業員だった。無能の烙印を押され、退職を強要された末にヤケになった若者。そして、次の犠牲者が――。耳障りのいい言葉で若者を洗脳し、つかい潰す“カリスマ経営者”。ブラック企業の闇に、マコトとタカシが斬りこむ!(表題作「西一番街ブラックバイト)。ほかに、アーティストのゆがんだ復習を描く「西池第二スクールギャラリー」、歯止めのきかないPV稼ぎの結末は……「ユーチューバー@芸術劇場」理想の顔に翻弄される女たちの悲劇「立教通り整形シンジケート」の3篇を収録。
感想・レビュー・書評
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シリーズ12作目である。
毎度毎度、時事問題に鋭く突っ込むこの感覚というのは石田さんの持ち味だよなぁ。
それ故に、このシリーズは文庫化されるのを待つとやや旬を外してしまうから困りもんだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
IWGPが帰ってきた。前作,大人になってしまったマコトの変り様に落胆したものだが,本作が本当のIWGPだ。若者社会の闇をマコトとタカシが駆け抜ける。荒々しいが胸に沁みる物語。とても良かった。
あらすじ(背表紙より)
池袋の雑居ビルで若者が飛びおり自殺を図る。彼は急成長したチェーン店の従業員だった。無能の烙印を押され、退職を強要された末にヤケになった若者。そして、次の犠牲者が―。耳触りのいい言葉で若者を洗脳し、つかい潰すブラック企業の闇に、マコトとタカシが斬りこむ!表題作ほか3篇を収録のIWGPシリーズ第12作。 -
安心して読める、水戸黄門的な一冊。
初期のシリーズでは登場人物の特技とかパイプとかが生きて解決するものも多かったと思うんだけど、この巻はタカシだけだったなあ。
ブラックバイトのダンゴとヤスとマサルくらいか。
いまのマコトとわたしは同じ年くらい。
夢みたいな技術や人脈だけじゃなくて、きちんと弁護士とか警察とか、警察みたいなキングタカシとか、大人のやり方も使うようになっているのが共感できる。 -
久々にシリーズを図書館で借りて読んだ。
タカシやマコトもスマホでラインとかする時代なんだなあーと時の流れを感じた。でも、やっぱり電話がいいね!
相変わらずキングが元気そうで何よりです。 -
行きがかり上全巻読んでる。マンネリといえばマンネリだけど、それなりに楽しめるレベルを維持しているところは流石。
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安定の面白さ。
メイン登場人物の年齢がだいぶ高くなってきたからか、昔に比べての迫力やスリル感は減ったけれど、その分、人と人の繋がりが強くなったような気がする。
安心のマンネリだから、結果最良の解決に行き着く事は分かっていても楽しめる。
これってよくよく考えて見ると1冊になった時の構図が『東京バンドワゴン』と一緒なんだな。
まあ、IWGPの方が先に書かれ出した作品だけれど。
久しぶりの文庫化だからか、時事ネタがちょっと古い。
それでもいまだに続いているネタも多く、IWGPは池袋を日本の縮図にした作品なんだなと思わされる。
帯はなかなか。
言葉もマコトが言いそうな言葉だし、赤と黒のコントラストもいいな。
解説は、初めてのパターン。
ほぼ作品についての話はしていない上に4章中の最後についてのみなのだけれど、この解説を読むとすごく考えさせられるし勉強になる。
こういう解説もアリだな。 -
シリーズ12作目。
今回のテーマはブラックバイト。前作の非正規雇用者に引き続き、若者の労働雇用環境について。
ブラック企業も今じゃ当たり前のものに。
政府は労働環境の働き方改善なんて言ってはいるが...
ますます企業の利益を優先され、雇用環境の劣悪さは酷さを増すばかりだ。
ここのところ、労働環境ネタが多いな。シリーズ初期のがわりと好みではあるが、好きなシリーズに変わりはないな。 -
【2024年84冊目】
アーティストと芸術破壊、ユーチューバー戦争、美醜の判断と整形話、低賃金長時間労働のブラックバイト。池袋ウエストゲートパークシリーズ第十二弾。
一作目から変わらず4つの短編集で構成されてますが、今回は表題作が一番刺さりました。低賃金で働かされる若者。そこに添えられるのはやりがいという名の搾取。心に残った一文は記録するようにしているのですが、今作の「おれ、誰でもいい人間はもう嫌なんです」という発言が、今の日本を表しているというかなんというか…!
どんどんと社会課題を取り入れる小説になっていってる気もしますが、それが読み手にとっては重要なのかもしれない。目を背けず、向き合わなければいけない問題が多すぎるし、もし政治家の人がこのシリーズを読んでるとすれば、フィクションとして捉えず、日本を映す鏡として読んで欲しいなと思うほどのシリーズになっていると思います。
日本の未来は正直言って暗い、けれど物語の中でだけは解決に導いて欲しいし、この本でちょっとだけ救われたりしますね。