雲州下屋敷の幽霊 (文春文庫 や 72-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167917203

作品紹介・あらすじ

女の怖さ、儚さ、したたかさ、危うさ――。
江戸時代に起こった事件をモチーフに紡がれた珠玉の5篇。
単行本『奇説無惨絵条々』を文庫化にあたり改題。

「雲州下屋敷の幽霊」雲州松平家前当主・宗衍の侍女となったお幸は、どんな酷い仕打ちを宗衍に受けても、恨む素振りを見せない。業を煮やした宗衍が思いついたのは、彼女の背に刺青を入れさせることだった……。

「女の顔」南町奉行所の将右衛門は、材木問屋の娘・お熊が夫に毒を盛った事件で下女のお菊を取り調べる。彼女が頑なに口を割らない裏には恐るべき事実があった。

「夢の浮橋」見世物小屋一座の智は若い男に頼まれて、身の上話をはじめる。貧乏漁師の家から吉原に売られた彼女は、花魁の八橋姐さんに可愛がられていたが……。

ほかに「だらだら祭りの頃に」「落合宿の仇討」を収録。

解説・田口幹人(書店人)

感想・レビュー・書評

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  • 単行本は所持しているので、再読になるのでしょうが、やはり面白かった。

    『無惨絵条々』の時よりも、知識が増えていることもあるとも思いますが。

    谷津先生の才能が高すぎなんですよね。

    次の絵師物が楽しみ(^.^)

  • 色んな本を読むんだけど、はたとこの本のように「人間の業」が描かれたような作品に出会う。そうすると、「お前は何食わぬ顔で日々を送っているつもりかもしれないが、俺全部分かっていんだぞ」と、嘲笑われているような感覚に陥って、ぞくりとする。
    谷津矢車は、職人的天才。作品は極めて緻密。

  • 実際に江戸で起こった事件を題材に、すごみのある話に仕立ててあるのが面白い。短編集ですが、タイトルの「雲州下屋敷の幽霊」が非常に残酷で印象に残った。悲惨な話が多くちょっとメンタルにくる。

  • 1つ1つの短編で読みやすく、幕間を読むことで幾次郎と一緒に読んでいる気分になる。
    1話ごと、『うわぁ…』ってなりました。
    でも、面白かった。谷津先生の他の作品も読んでみたい。

  • 単行本『奇説無惨絵条々』を文庫化にあたり改題。

    宮部みゆきの三島屋シリーズより1トーン暗目の「物語」が語られるのに、落合吉幾と元書物問屋と黙阿弥の現実が枠構造になってる構成。

    「物語」一つ一つが結構、救いようがなくて重い。短篇集にしちゃうの、勿体なくないか?

  • 短編小説集でかなり読みやすかった。個人的には「女の顔」と「落合塾の仇討」が面白かったと感じた。「事実とは所詮上澄みだから真実を書き入れてあげないと物語は張りぼてになってしまう」という考え方はかなりハッとさせられるところがあった。

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著者プロフィール

1986年東京都生まれ。2012年『蒲生の記』で第18回歴史群像大賞優秀賞を受賞。2013年『洛中洛外画狂伝』でデビュー。2018年『おもちゃ絵芳藤』で第7回歴史時代作家クラブ賞作品賞を受賞。演劇の原案提供も手がけている。他の著書に『吉宗の星』『ええじゃないか』などがある。

「2023年 『どうした、家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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