ゆうれい居酒屋 (文春文庫 や 53-5)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167918002

感想・レビュー・書評

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  • 新小岩にある「米屋」という居酒屋の女将・秋穂のもとへ悩みを抱えた客がやってくる。

    気取らないけど美味しい手料理に心を開いて話すお客にじっくりと悩みを聞いて気持ちを楽にさせる女将。
    こんな居酒屋が、あれば通いたくなる。

    そして、お腹の具合を見ながら頼める料理も気の利いたものばかり。
    サッと作れるものなのに美味しいとわかるのは、文章の巧みさなのか…。

    全5話あるが、さくさくと読めて料理も手軽に作れるものばかりだから試してみたくなる。

    「シャボン玉ホリデー」の話が出てきて、これを知ってる人って少ないだろうなぁ…なんて思ってしまった。


    なるほどそういうことで、ゆうれい居酒屋なんだ、とわかる。

    時短レシピ集もあるのが嬉しい。


  • ☆4

    悩みを抱えた人達が訪れる居酒屋「米屋」。
    女将さんである秋穂さんの優しさと美味しそうなお料理の数々に、読んでいてほっこり温かい気持ちになりました❁⃘*.゚

    「婚活食堂」や「食堂のおばちゃん」シリーズでもそうなのですが、山口恵以子さんの作品に登場するお料理は、どれもとっても美味しそうなのですが、自分でも作ってみようかなぁと思えてしまう所が素敵だなぁといつも感心しております!
    ご丁寧に巻末にレシピを載せてくださっていることも多いので、挑戦してみたいと思います。

  • 山口恵以子さんの作品を読んだのは、本書が初めてです。
    いつも立ち寄る本屋さんの文庫本コーナーで物色していると、『ゆうれい居酒屋』というタイトルが目に飛び込んできました。
    直ぐに手に取って、裏面のあらすじに目を通すと、
    ”ちょっと不思議でしみじみ温かい居酒屋物語”とあり、これは「ちょっと面白そうだな」と思い、次に最初の数ページを読んだところで、これは「読まねば!」とレジに向かいました。
    読む前の期待を裏切られることなく楽しいひとときを過ごさせていただき、(裏面のあらすじどおり)しみじみ温かい気持ちになりました。
    人気シリーズなのでしょう、現時点で『ゆうれい居酒屋4』まで刊行されているようです。
    次回、本屋さんに立ち寄った際には『ゆうれい居酒屋2』を持ってレジに向かっていることでしょう。

  • 食堂のおばちゃんとはまた違う感じで、すごくおもしろい!!
    ゆうれいの秋穂さんが、今を生きている人たちにアドバイスと美味しい料理を提供してくれます

    秋穂さんが作る、とろろ昆布の餡のお粥食べてみたい!!
    塩昆布のスパゲッティも美味しそう

    続きが楽しみです!

  • 婚活食堂も良かったけど、こちらの居酒屋さんの方がさらにほっとして飲める感じでいい。しかも悩めるお客様さん達にそっと背中を押すような言葉もあって、私も行ってみたい。出てくるメニューの数々が美味しそう。まずは塩昆布のスパゲッティを作ってみたい。

  •  東京葛飾の新小岩にある居酒屋が舞台のオカルトファンタジー。5話からなる連作短編集。
             ◇
     米屋(よねや)は下町の商店街にあるごく普通の居酒屋さん。店を1人で切り盛りするのはごく普通の女将さん。出てくるアテはモツ煮込みなどのごく普通の小料理。常連客は商店街のごく普通の人たち。
     ただひとつ違っていたのは、女将も店も常連客もこの世のものならぬ存在だったのです。

         * * * * *

     そんなラノベコメディー風の初期設定なのですが、そうならなかったのは、作者ならではの仕掛けの賜物でした。

     女将の秋穂がうたたねから覚めて米屋が開店すると常連客がぼちぼち来店してきます。ここまでは冥界での話です。なぜなら現在では秋穂も常連客も故人となっているし米屋はすでに取り壊され整骨院に変わっているからです。

     ただし人生の岐路で苦悩する人が商店街を訪れると米屋は忽然と姿を現し、苦悩の人は惹きつけられるように暖簾を潜る。
     つまり冥界の扉を現世から開けられるのは一見客となった悩める人だけなのです。

     だから、秋穂のカウンセリングによって心が晴れた人たちが再訪しようとしても、もう米屋は顕現しません。

     その設定のうまさに感心しました。

     あとは山口さんの真骨頂です。
     人情話はしっかり読ませるのにくどくはなく、秋穂によって供される「ざっかけない」アテも実に美味しそうです。

     お約束となった各話のラストシーンも読んでいて楽しいし、最終話の締めくくりなどは読んでいてうれし涙まで浮かんできました。

     ひとつ気になるのは、現世で人助けをしている秋穂や常連客が、自分が死んでいるのを自覚していないところです。もしかして成仏していないのでしょうか。

     その作りから察するにシリーズ化する気はないようにも見えますが、単発でいいので続編を望みたい。そしてぜひ「成仏」問題を解決して欲しいと思います。

     『食堂のおばちゃん』シリーズの中で名前だけ登場させる程度で済ますには惜しい作品だと思いました。

  • フォロワーさんにオススメしてもらった本。

    短編集だが繋がっている。
    毎回同じパターンで構成されているので読みやすかったのと人情物語として勉強にもなる本。

    途中着物の専門話が出てきて読むのに苦労しました。著者の着物好きから着物の色々な話が出てきたのでしょうけど興味のない人は読み飛ばしてもさほど影響ないかも。

    居酒屋ならではの雰囲気や居心地の良さがこの本から伝わる。
    近くにこんなお店あったら嬉しいな。

  • 酒のツマミを書かせたら、天下一品の作家さん。一話一話はまとまっているが、一冊の本とみるとラストが弱いなぁと感じる。

  • 秋穂さんがうたた寝のちゃぶ台から起きて、「米屋」は開店し、作り置き・レンチンを駆使した時短絶品メニューで、お客さんの悩みを受け止めてくれる。なんて素敵なお店! でも、お店も秋穂さんも、実はこの世のものではなかった…。後日お礼を言いに来て、隣の焼き鳥屋で知らされて愕然とする…。このパターンで繰り返されるのが、いっそ清々しいシリーズです。秋穂さんは優しいし、つまみはどれも美味しいし、巻末にレシピも付いているし、いくらでもいけます、いや、読めます。

  • 居酒屋に行けない日々が続く今、ますます行きたい気持ちが高まった。主人公の女将にグダグダ言って酔っ払いたい。とにかく料理が美味しそう。あぁ、行きたい。

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著者プロフィール

1958年、東京都江戸川区生まれ。早稲田大学文学部卒業。松竹シナリオ研究所で学び、脚本家を目指し、プロットライターとして活動。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務しながら、小説の執筆に取り組む。2007年、『邪剣始末』で作家デビュー。2013年、『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞。その他の著書に「婚活食堂」「食堂のおばちゃん」「ゆうれい居酒屋」シリーズや、『風待心中』『ゆうれい居酒屋』『恋形見』『いつでも母と』、共著に『猿と猿回し』などがある。

「2023年 『婚活食堂9』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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