神と王 謀りの玉座 (文春文庫 あ 77-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167919566

作品紹介・あらすじ

『神様の御用人』浅葉なつ による新シリーズ『神と王』第二巻!

丈国の建国十年を祝う式典への招待状が斯城国王・琉劔のもとに届いた。
名代として丈国へ赴いたのは、琉劔の若き叔母・飛揚。
記念日に沸く民の様子を目にした彼女は、ふと違和感を抱く。

「世界のはじまり」の謎を追う琉劔は、歴史学者の慈空とともに
畏怖の森「闇戸」へ。そこに暮らす一族・日樹の祖父母から、
杜人に伝わる不思議な物語を聞かせてもらう。
だがそんな時、丈国には恐ろしい災厄が襲い掛かっていた――

危機に陥ったこの小国を支配する女神と、民から忌避される王。
闇戸の一族にのみ伝わる深い知識と伝説は、何を示唆しているのか? 


古事記からインスピレーションを得たという壮大な世界観が提示された
第一巻『神と王 亡国の書』に続く、待望の第二巻。

壮大なテーマ「神とはなにか」をリアルに追いつつ、この世界の行方から目が離せない!
ますます熱い神話ファンタジーです。

感想・レビュー・書評

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  •  古事記を参考にした世界観で、神と王を語る物語ですが、今回ほどその本質を描いている作品はないかと。

     人を救うのは人であり、神ではない。神にすべてを押し付けてられたら、楽だろうなと思っていた時期もありましたので、私にこれからも分からないことなのかもしれません。(日本人としての宗教感覚は持っていますが、それを優先にすることはないです)

     祈ることは尊いことなのかもしれないですが、祈っただけでは願いが叶うわけでもないしなぁと思ったりもしました。

     今後の続きも楽しみです。

  • 神と王シリーズの2作め。
    王が統治する国々があり、各国では基本的に信仰する神がいる。
    古くから伝えられている神話や伝説があり、神と人々の信仰の度合い、接する距離感は、その国それぞれ。
    1作目からの登場したキャラクター達と共に、本作では、小国、丈国が舞台の物語。
    神は何故、存在するのか、人は何故、神に縋るのか。哲学的な課題が提示されながらも、独特のファンタジーの世界に読者を誘う。
    この世界に、一体いくつの国があるのか。3つあるとされるミステリアスな闇戸の存在。そして、神と世界のはじまりとは何なのか。壮大な舞台設定がどのように展開していくのか。まだまだ謎だらけ。

  • 神と王の二冊目。今回の方が断然面白くなった!是非、二冊用意して読んで欲しい。一冊目は登場人物や世界観を把握するのが難しくてなかなか読み進められないイメージが残っているが、今回は神と王というタイトル通り、これまでの世界観をうけて、具体的な国の在り方が提起される。神に選ばれるべき王が、誰も決まった方式には選ばれず、しかし国は政治を必要としていて、方式をねじ曲げて王になった現王の政治との向き合い、そして国民の政治への反応、神世を是とし、神に認められない王を倒そうとする一派の思惑。そこに、一巻で登場した人々や民族、他国が絡んできて、その用意された世界観の大きさと今回の話のプロットが見事にはまっていた。
    もう一度一巻から読み返したくなった。

  • なかなか考えさせられる内容だった。
    神様と宗教団体は別物かもしれないけど、宗教って、こーゆー絡め取られて身動きとれないない怖い部分もあるんだろうなと思った。
    信仰心ってなんなんだろうとも思った。
    丈国の王がしっかりと民を思う国王でよかった。
    「祈るな、動け!」なるほどと妙に納得してしまった。そして、叔母の飛陽が自由で可愛いらしくて笑ってしまう。
    続編も期待!

  • 前巻よりさらに好みだー!
    3章の飛べない杜人の細さんの人生が特に良かった…
    杜人は野蛮であるという固定観念の中、杜人に命を救われる
    けれど差別的な価値観で彼らのことを見てしまう
    助けてくれたこと、家をくれたこと、食べ物をくれたこと
    それらをしてくれたにも関わらず彼女は何もしない
    そんな中彼女は杜人の子に言われる『なんで礼を言わないのだ』と
    そこからの彼女の変化が好ましい
    自分から知恵を乞い、嫌われようがめげずに挨拶をし、生きる術を学んでいく
    そうしていつしか、少しづつ少しづつ彼女は受け入れられていく
    友として、仲間として

    ずっと抱き続けた価値観はそうそう変わるものではなく変えることも難しいことだろう
    それでもまずは知っていくこと
    知った上で嫌うか、それとも受け入れるかはその人の自由だ
    躓きながら 嫌悪しながら それでも最終的には大切だと思える場所までのし上がった彼女は凄いと思う
    3章は、個人的には凄く人として道徳としての学びになったなって思うのだ


    今作の大きな題としては、神と人間のどちらを優先するか…だろうか
    盲目的に神を信じる国と、神に選ばれることのなかった王
    王は神の采配で選ばれる
    しかし私からしたらただの『運』だ
    神を自称し全ての事柄を運で決めているように感じる
    でも盲目的な信仰であれば、全てを神の采配と決めつけてしまうのも分かる
    それが生まれた時からの決まりだから、そして当たり前のことだから
    それしか知らないって、ある意味恐ろしいなと思う
    神ではなく天皇として置き換えたらより分かりやすい
    天皇の言葉は絶対という時代なら、天皇の言葉に反することをしたら周囲からの批判は凄そうだ…
    でも実際のところは皆分かってるのだろう
    何が正しいか、何が間違っているのか
    そういった部分でも多くを考えさせられる物語だったなと思う


    神信じる国に抗い国を導こうとする賢王に救われた民は多いことだろう
    賢王に導かれた国がどうなったか、また読むことができたら良いなと思う

  • 今回色んな部分の比較が多く、視点が固定されない分それぞれの考え方、過去がわかりやすく、それぞれの人物像を互いに引き立てあっていて面白かった。

  • 科学が発展する以前は、病気や災害、その他人の力ではどうすることもできないものは神の仕業だと片付けられていたと思うのですが…

    そうすることで人は立ち直って先に進むことができる反面、自分の力でどうにかしようとすることを諦めてしまう、そんな一面もあったと思います。

    そこに立ち向かおうとする2人の王。

    闇戸の謎も明らかになり一巻よりも世界観がよく分かるようになりました。
    スメラの謎は相変わらずですが。笑
    きっと巻を重ねるごとに明らかになるはず。
    慈空がたくましくなってたのが個人的には嬉しかったです(^^)

  • 神とはどんな存在ですか?
    祈りは通じてますか?祈れば変わりますか?

    人種が違うと野蛮ですか?血は汚いですか?

    価値観の違い、気持ちの持ち方、
    王とは何をすべきか。神とは崇める存在か。
    伝統とは必ず守るべきものか。考える事ができました。

    大切なのは、できることをやる。

  • 斯城国国王流劍の元に丈国より、建国10年を祝う祭りに参加して欲しいと、手紙が届く。
    そこで、叔母で副宰相の飛揚が丈国に向かう事に。
    虫好きの飛揚が見たのは、神に認められてない王を認めれない民衆と、時期ハズレの刺墨の儀と、本来水辺にいるはずのアカダムシの発生。

    一方、流劍と慈空が向かったのは、日樹の生家のある闇戸で、そこで、杜人や種、世界の始まりのことを聞く。

    その後、丈国では、墨熱かと思われた、種病が流行り、死者がどんどん出る。
    そんな丈国を救うため奔走したのは、愚王とされていた、丈国国王と、日樹の生家の闇戸に逃げていた前丈国国王の娘の細。
    2人は、日樹たち杜人の力を借りて、なんとか種病に打ち勝つ。

    神がいるから、何故人々に試練を与えるのか?神とは何か?そして、自分自身立ち向かう強さとは⁉️
    神々と人々の関係など、考えさせられるファンタジー。

  • 丈国の牟西王の神を頼らない王の治世の実現の物語に、スメラを探す琉劒、日樹、慈空たちが出会い助ける。杜人の社会が興味深く三実の深い知識や思いやりに心惹かれた。

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著者プロフィール

第17回電撃小説大賞で<メディアワークス文庫賞>を受賞。「空をサカナが泳ぐ頃」でデビュー。

「2023年 『神様の御用人 継いでゆく者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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