- Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167919740
感想・レビュー・書評
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東京葛飾の新小岩にある居酒屋が舞台のオカルトファンタジー。
そこは商店街の裏通り。現在では整骨院になっている土地は、かつて米屋という居酒屋があった場所だ。
今から30年前に女将が亡くなり店も人手に渡って久しい。
ところが今でも、夕方になり悩みを抱えた人が通りかかると、米屋は忽然と現れ、悩める人は誘われるように暖簾をくぐる。
さて今夜、女将の心づくしの酒とアテに邂逅する客の抱える屈託とは …… 。シリーズ2作目。
◇
いつものようにうたたねから覚めた女将が軒先に暖簾を上げると、さっそく常連客の沓掛音次郎が、それから少し遅れて井筒巻が来店。(実は2人とも冥界の住人。ただし本人たちにはその自覚はない。)
3人で世間話に花を咲かせていると、遠慮がちに一見客が入ってきた。
その客は長身と理知的な雰囲気を持つ初老の男で、子供の頃、このあたり(新小岩) に住んでいたと言うのだが……。 ( 第1話「昆虫少年のあこがれ」)全5話。
* * * * *
今回もほっこりした人情話、楽しめました。特に、自分の存在が知らず知らずのうちに人の人生に大きな影響(もちろん好影響です)を与えていたというエピソードを揃えていて、感動的でした。
それにしても、女将の秋穂さんは地味だけれど魅力的な女性です。
まず、抜群のカウンセリングマインド。女将が共感を示す応答を控えめに返すだけで、悩める客は問わず語りに胸のうちをさらけ出してしまう。理想的なカウンセラーだと思います。
また、必要とあらばアドバイスや激励も厭わないけれど、それが実に的確で説得力に満ちている。 ( さぞ立派な教師だったんでしょうね。)
最後に、「ざっかけない」アテの美味しそうなこと。簡単料理なのに、工夫と発想の妙で見事な一品ばかりです。
女将1人だけで店を切り盛りするところは『婚活食堂』と同じ。でも袋小路から抜け出せずにいる人を救うこのシリーズの方が『食堂のおばちゃん』に近く、個人的には好みです。
ところで、第2話「謎の漢方医」に有名な占い師の尾局與が(名前だけだけれど)登場したのは嬉しかった。聞けば、秋穂女将が幼い頃に尾局與の占いで生命を救われたことがあるとか。
この尾局與は『婚活食堂』の主人公、玉坂恵の師として登場するので、いつか恵女将が米屋を訪れることがあればいいなあと思います。
ともあれ、まだまだ続きがあるようなので楽しみです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『ゆうれい居酒屋』シリーズ第2弾!
第1弾も面白かった(そうでなければ、第2弾を購入して読むこともありませんでした)のですが、本書からはそれ以上の喜びを受取りました。
パターン化していると言えばその通りですが、逆にそれが「良い味」と「安心感」をもたらしていると思います。
つまり、私が『ゆうれい居酒屋』シリーズに求めているのは、”ソレ”だということなのでしょう。
とりわけ、第四話と第五話は秀抜で、青山美智子さんの作品を思い起こさせました。
次回、本屋さんに立ち寄った際には、『ゆうれい居酒屋3』を持ってレジに向かっていることでしょう。 -
このシリーズ本当に好きです
毎回同じ展開なんです ほぼ それがいいんです
最後に秋穂にお礼を言いにくる人たちに、おかみさんはゆうれいなんだよ
と4人で伝えるところも、毎回ほぼ同じフレーズなのも そこが良いです!! -
とりあえず新小岩に行きたくなった。
私にとっても思い出の町。
第1章からパンチの効いた人情ドラマで良き。
ワンパターンのやり取りにも慣れたもので多少飛ばして読んだりしたけど一気読みできる作品。 -
水戸黄門的なパターン化した展開だが、悩めるお客さんが、秋穂と話すことで前進できるところがいい。こういうヘルシーかつ美味しい料理で入りやすい居酒屋が近所にあるといいなと思った。モツ煮の好きな私は、煮込みを食べたいと思いながら読んだ。
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前作を読んだ時、シリーズ化してほしいなあ、と思っていたらすでに今作が出ていた。
とても嬉しい。世界観はほとんど変わらないが、タイトル通り幾分スパイシーな内容となっているのが特徴か。米屋に辿り着くのもいい人ばかりではないようで、気持ちが荒むと人生もねじ曲がってきてしまうのかもしれない。女将と米屋の料理に正気を取り戻し、本来の性根の良さを取り戻してゆく訪問者達。結ぶべき縁と離れるべき縁に気づくことで、それぞれの進むべき道が開けてゆく。まさに救いの場所であるのだろうなあ、この居酒屋は。
すでにシリーズ3の発売も決まっているようで、今から非常に楽しみである。 -
何かワンパターンなんだけど、美味しそうな料理とほっこりするストーリーでついつい読みたくなってしまう。
第五話のスパイシーな鯛だけが、納得いかなくて、モヤモヤします。 -
今回も秋穂に救われた人達が明るくなって帰っていく姿にほっこりしました。
秋穂とお客さんの会話に若干のズレがあるのが、読んでて時代が違うんだと改めて感じました。ジュリアナとかバブルとかって言葉がまさに30年前の会話ですよね。 -
自分の知っている街が舞台って、なんか嬉しい。
前回読んだ食堂のおばちゃんシリーズで、ゆうれい居酒屋を探しに行っていたが、そりゃ、困ったないから会えないよなーと、読みながら思う。
優しい幽霊だよね。
でも。。。
読んでいて、あまりに唐突な場面転換があったりする。
例えば、今回の最後の章の定食屋さんのくだりとか。。
え?この定食屋、何?あれ?って、混乱しちゃうんだよな。。。
「こんなものだ」とサラッと読めば気にならないのかもしれないけれど、なんか、唐突すぎるくだりがあるのが気になった。。 -
面白かったんだけど、作者の食堂のおばちゃんシリーズほどではないかなぁ?多分、話の出だしと終わりが定型文化してるから、毎回読み飛ばしちゃうんだよねー。