烏百花 白百合の章 (文春文庫 あ 65-10)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167920364

作品紹介・あらすじ

累計190万部のファンタジー「八咫烏シリーズ」の外伝第二弾!
 
とんでもない意気地なし、と噂の少年・雪哉に剣の指導を頼まれた
腕に覚えのある市柳は、おびえる雪哉に自信満々で打ち込むが、
まもなく違和感を覚え始める――(「ふゆのことら」)

貴族の少年たちが、父の跡を継いだ職人が、全身全霊で守りたい
ものとは何か。
山内に生きる人々の幸せを誓った彼、そして、権力闘争のはざまに育つ姫君の
心の奥にある思いとは。

読者の胸を刺し貫く魅力でベストセラーとなった異世界ファンタジーシリーズ、
震撼の第二部へと橋をかける必読の8編。

感想・レビュー・書評

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  • 八咫烏シリーズ
    前作で第二部が始まり、そのすぐ後の外伝短編集

    第二部の続きではないのかぁ、と思いつつ読み始めてみると、一編ずつが何とも味わい深く、一編読むごとに お腹がいっぱい!
    登場人物ひとりひとりに それぞれの人生が有り行動にも理由が有る。
    作者は八咫烏の世界のすべての人々の心根や、喜び悲しみを描いてゆくのか?
    これは終わりのない物語りかもしれない。

  • 八咫烏シリーズの外伝第2弾。
    読めば本編の世界観がより深まる物語が8編おさめられています。
    コミカルなものもあれば、シリアスなものもあり。
    1編ごとの感情の振れ幅が大きい短篇集でした。

    「ちはやのだんまり」は兄妹の間に立たされた明留を少し気の毒に思いつつも、けらけら笑いながら読みました。
    ものづくりを得意とする西領の、若き職人を主人公にした「おにびさく」もとても好きでした。
    山内の市井の人が主人公の作品もいいなぁ。

    しかし、8編すべて読み終えたときに、最も強い印象を残していったのは「はるのとこやみ」。
    『烏に単は似合わない』を改めて読み返したくなる後味…

  • 外伝二作目。
    第二部に入って衝撃的な展開が続く八咫烏シリーズ。ホッコリする物語から、表の事情を知っているからこそ裏事情が描かれている物語に、世界観の奥深さを感じる。
    若宮、雪哉、その他の魅力的な登場人物の一面が読めるとなれば読むしかない。
    おそらく来年には刊行される新作に備えて、外伝だけではなく、せめて第二部は読んでおきたい。
    相変わらず面白い…。

  • 「かれのおとない」猿との戦いの最中亡くなった茂丸の残された家族、特に妹、視点の話。雪哉たちも彼の友達として彼の家族との交流があったことが描かれている。そして、彼が亡くなった後、雪哉が変わってしまった描写も。最後に彼の妹が言った一言が、雪哉の心の中の鎖となって、厳しすぎる為政者へとなってしまったのではないだろうか。

    「ふゆのことら」勁草院に行く前の市柳と雪哉の話。かわい子ぶる雪哉にまんまんとやらるものの貴族としての立場を一応理解して、成長する市柳であった。ただ、この促した成長は雪哉が勁草院へ行かせるためのものなのではないだろうか。

    「ちはやのだんまり」千早と明留が、千早の妹と彼氏と挨拶をする話。千早、ダンマリキャラだとしてもダンマリすぎだろ、と。

    「あきのあやぎぬ」西の当主の話。真赭の薄関連で西の当主の話とかは出てきた気がするが、がっつりと登場するのは初めてでは?チャラ男に見えるが実はいい奴でいい為政者でもあるのかよ。と。

    「おにびさく」西の地でのある職人の話。ファンタジー世界での職人の掘り下げは世界観に深みを持たせていると思う。もっと描いて欲しい。

    「なつのゆうばえ」夕蝉こと大紫の御前である長束の母親の昔話。今なお、奈月彦の座を狙っている大紫の御前だが、その野望の源が見れる幼少期の話。小さいころから、周りとは違うと思うような帝王教育が施されてきたのだな、とも。

    「はるのとこやみ」東家の姫君が登場する話。中心は楽師の双子で、一人が東家の姫君になった浮雲に恋をしてしまうというもの。先代の金烏も通ったという浮雲であったが、あせびの父親は、、、
    そして、最後の浮雲の「あなただあれ?」はホラーすぎる。この母あってのあせびのサイコパスさがわかるような気がした。

    「きんかんをにる」奈月彦が娘と金柑を煮る話。合間合間で2人の良好な関係や、娘の統治者としての片鱗も見えることに。今後のこのシリーズにどうかかわってくるのかが、とっても楽しみ。

  • よかった!!
    本編で語られなかった各登場人物のストーリーを読むことによって、より物語に深みが増します。

    紫の御前はどうして徹のことを好きになったのか、浮雲はどうして殺されたのか。こういった謎が明らかにされていくのは読んでいて楽しかったです。

    個人的には「きんかんをにる」の章が好きでした。
    雪哉と姫宮のあたたかく優しい時間が愛おしく感じます。

    読めて良かったです。

  • かれのおとない/ふゆのことら/ちはやのだんまり/
    あきのあやぎぬ/おにびさく/なつのゆうばえ/
    はるのとこやみ/きんかんをにる

    本というものによって著わされた世界には限りがある。
    そこからこぼれていた事を時々見せてもらえるのは嬉しい。

    私の住む世界にも、この身の回りという小さな世界がまずあって順々と広がっていく。ニュースなどで知る世界も地球上で起きたことのほんの一部でしかない。
    知らずに過ぎていくことは、とても、とってもたくさんあると覚えておこう

  • いろいろな人たちの想いや人生が、、、

  • 外伝を読んだあとに本編を読み返すと、この背景があったからあの時こう言ったのか! と気付きが多くて、また本編を読み返したり……。
    読むたびに物語の深みが増して、この世界観にどっぷりと浸かってしまっています。

  • 本編は絶賛鬱展開中なので、少しの閑話休題がよかった。
    切ない系の話多めの短編集。

  • ウキグモさん、魔性。幸せな記憶って一時の物でもその後の人生に貢献してくれるから大切。それが子供時分ならなおさら。金烏陛下良かったねぇ。タマキの話しはちょっと嫌いだな…てゆうか…怖い…

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著者プロフィール

1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞受賞。デビュー作から続く「八咫烏シリーズ」は、松崎夏未氏による漫画化、中台翻訳など進行中。19年『発現』(NHK出版)刊行。

「2023年 『烏は主を選ばない(4)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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