関西と関東 (文春学藝ライブラリー 歴史 4)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (453ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784168130168

作品紹介・あらすじ

身近な事物の由来と日本の成り立ちが学べる名著風土、災害、食物、服飾、芸能、方言、気質などをキーワードに、歴史と日常を横断しながら比較する「関西/関東論」の決定版!

感想・レビュー・書評

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  • 就職活動をしていた時分、大阪資本の会社の東京支社の説明会(やったっけ?)に参加したことがある。

    そのリクルーターらしき人が会社PRしていた際に、いずれ東京を本社にしていくように尽力していくと言っていたことが記憶に残っている。(後に調べたら実際に東京に移転していた。)

    大阪資本の会社は東京の人に受けが悪いのだろうなと思って残念だったが、福祉国家化していく過程で行政に莫大な権力が集中する中で、あるゆる許認可権が東京に集中している以上、東京本社化の要求を拒む動機が少ないのは、自然なのだろうと今では思う。ただ発言から大阪に対する差別心があるのは若干感じた。

    「関西と関東」において宮本は東京にはこのような地方を軽く見る独善性があり、一方、上方地域は他地方に対して重要な商売相手と見なし丁重に商売関係を築いてきたと指摘する。

    著者も認めるように本文では至る所に上方贔屓の記述があるので反論の余地はあろう。

    私自身がネットを散見した限り上方地域に関するものは若干、違和感があり、実際には他所の地域に対し罵倒する声もある(ネットは概して差別的になりがちであるし時代の変化もあるが)。
    一方、東京に関する記載は、東京を翼賛し大阪に対し差別的な姿勢の報道を行うマスコミを見る限り、それらの間にはその独善性はあるのだろうと思う。マスコミ自体が独善性の塊だと言えばそうなのだが(ちなみにマスコミはかなり私の事をネタにしたと思っている)。しかし大阪の伝統芸能である文楽は東京の方が席は埋まるというので、他所の文化を受けいることが出来る人もいる多様な街なんだろうとも思う。

    ところで、このような比較も面白いが関西も関東も(日本全体にいえるが)それぞれ魅力があり、住んでみれば案外しっくりくるはずだ。またどこの出身者にも故郷に誇りを持つことを否定することは出来ないだろう。逆に故郷を忌避感を持つことも否定は出来ないけど。

    頻繁に思うのは、他所の地域を蔑視しようとしたり、愛郷心を否定しようとする報道機関やネットの書き込みに対する嫌悪感である。そこで育まれたネガティブなイメージは地域の衰退すら招く。自分たちの私利私欲(商売)の為だけに他所を下げるような行動には冷静な心を持ちつつ、抗議の声を上げて行く事が必要だと感じる。

  • 【身近な事物の由来と日本の成り立ちが学べる名著】風土、災害、食物、服飾、芸能、方言、気質などをキーワードに、歴史と日常を横断しながら比較する「関西/関東論」の決定版!

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著者プロフィール

1907年大阪市に生まれる。31年京都帝大学卒業。九州帝大を経て、51年大阪大学教授。63年同大学経済学部長。
日本商業史の研究では斯界の第一人者。71年には小野組の研究が認められ、日本学士院賞・恩賜賞を受ける。
『大阪町人』『大阪商人』など専門家のみならず一般読者からも支持を集める著者多数。
なかでも『大阪町人論』で大阪なにわ賞、『関西と関東』でエッセイストクラブ賞をそれぞれ受けている。1991年 逝去。

「1985年 『なにわ塾第19巻 大阪万華鏡』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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