西郷隆盛紀行 (文春学藝ライブラリー)

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  • 文藝春秋
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レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784168130311

作品紹介・あらすじ

西郷という近代日本最大の謎「欧米とアジア」「文明と土着」といった相反する価値観に引き裂かれた近代日本。その矛盾を一身に背負った西郷隆盛という謎に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • NHKの大河ドラマ「西郷どん」に便乗した訳じゃないんだからねっ。
    「次に何を読もうかなぁ」と迷って、適当に文庫本の山から取り出し
    たら西郷さんだっただけなんだからっ。

    西郷さんと言えば子供の頃から馴染んだ上野のお山のあの銅像なのだ。
    こんな立派な銅像が立つ人なのだから、凄い人なんだろうなと思って
    いたのは子供の頃。

    日本の近現代史を勉強するうちに英雄でもあり、逆賊でもあったのを
    知り、不思議なお人だなと思った。その思いは今でも変わらない。

    どうやら勝海舟も私と同意見だったらしく、「西郷といふ奴は、わから
    ぬ奴だ。少しく叩けば少しく響き、大きく叩けば大きく響く。もし馬鹿
    なら大きな馬鹿で、利口なら大きな利口だらう」と坂本龍馬に述べたとか。

    明治維新の最大の立役者、そして自らも参加して作り上げた明治政府に
    背いた反逆者としての部分が大きく取り上げられる西郷さんだが、本書
    に掲載されている島尾敏雄氏との対談で語られているのは、西南諸島に
    流刑にされた時期を抜きにして西郷さんを語れないのではないかとの
    論は目新しかった。

    この対談、徐々に西郷さんの話から離れて行ってしまう部分もあるのだ
    けれど、ふたりの語る東北論なども面白かった。

    また、安宇植氏(朝鮮語文学研究者)との対談で取り上げられている、
    朝鮮側から見た征韓論も興味深い。西郷さんが当初の決定通りに朝鮮
    半島に派遣されていたのなら、後の日本と朝鮮半島も異なったものに
    なっていたかもしれないなと感じた。

    急速に脱亜入欧を目指した明治政府に対し、西郷さんは失望してお国に
    帰ってしまったのだろう。西郷さんが目指したのはアジアの一員として
    の明治政府なのではかったろうか。

    そこには西郷さんに目をかけた薩摩藩主・島津斉彬の影響もあったの
    ではないかとも想像できる。本書でも書かれているのだが、斉彬の死後、
    西郷さんはずっと自身の死に場所を探していたのかもしれない。それが、
    圧倒的に不利であった最期の戦い、西南戦争だったのかもな。

    こうやって西郷さん関連の作品を読んでもやっぱり不思議なお人との
    印象は変わらないんだよな。でも、西郷さんはそれでいいのかもな。
    だって、西郷星となったんだから。

    それにしても、若き日の明治天皇は西郷さんに対してどう感じていた
    のだろうか。気になるけどきっと手掛かりになるものは残っていない
    だろうな。

  • 西郷隆盛の思想というべきものがあるとして、それをかなり牽強付会なイマジネーションで語ろうとする。しかし著者は最後まで本格的な西郷隆盛論を書けなかったようだ。

  • 【西郷という近代日本最大の謎】「欧米とアジア」「文明と土着」といった相反する価値観に引き裂かれた近代日本。その矛盾を一身に背負った西郷隆盛という謎に迫る。

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著者プロフィール

1922~1983年。長崎県対馬(上県郡、現対馬市)生まれ。1945年、東京大学法学部卒業。編集者として活躍しながら1957年に『同時代』誌で「日本浪曼派批判序説」の連載を開始。1958年より明治大学政経学部講師として、後に教授として近代日本政治思想史を講じる。
○主著:
『日本浪曼派批判序説』未来社、1960年、増補版1965年/講談社文芸文庫、1998年。
『歴史と体験』春秋社、1964年、増補版1968年。
『現代知識人の条件』徳間書店、1967年/弓立社、1974年。
『近代日本政治思想の諸相』未來社、1968年。
『ナショナリズム―その神話と論理』紀伊国屋新書、1968年。
『黄禍物語』筑摩書房、1976年/岩波現代文庫、2000年。
『西郷隆盛紀行』朝日新聞社、1981年/朝日選書、1985年。
『昭和ナショナリズムの諸相』名古屋大学出版会、1994年(筒井清忠編)。
『柳田国男論集成』作品社、2002年(原本は講談社学術文庫『柳田国男』1977年。
『橋川文三著作集』増補版全10巻、筑摩書房、2001年。

「2013年 『昭和維新試論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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