本当は大切だけど、誰も教えてくれない 学級経営 42のこと

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  • 明治図書出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784183154262

感想・レビュー・書評

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  • 最も大きな学びは「学級経営ピラミッド」だった。

    学級経営ピラミッドとは?
    学級経営ピラミッドとは、筆者がつくった”「集団面」と「授業面」とを連動させる形で、学級経営の筋道を立体的(縦横)に示したもの”(p.16)のこと。

    下が土台となり、上に積み重なっていくピラミッドの形をとる。

    「集団面」
    自治
    協調
    協力・所属感
    安心・安全

    「授業面」
    高い目標への挑戦
    協同学習
    主体的な学習
    できる・楽しい

    「集団面」と「授業面」は横に相互に関連している。
    例えば、集団の「安心・安全」と授業の「できる・楽しい」については次のように述べている。
    ”授業で「できる・楽しい」と感じるから、自信が高まり、友だちに優しくできます。すると、「安心・安全」の確保につながります。また秩序が生まれ「安心・安全」に生活できるからこそ、授業に集中でき、「できる・楽しい」状態になるのです。(p.17)”

    「主体的・対話的で深い学び」が推進されて、数年経った。
    学級経営ピラミッドの例で言えば、「主体的(=主体的な学習)」で「対話的(=協同学習)」を実現するためには、まず優先して「できる・楽しい」授業にすることが大事である。
    そして、「できる・楽しい」授業をするために、生徒が学級に「安心・安全」の気持ちを抱けるように、学級に働きかける必要がある。

    学級経営ピラミッドの土台部分をつくるためには?
    筆者は学級経営ピラミッドの土台をつくるために、4月の最初に次の3つに全力を注がなくてはならないという。
    ”①いじめ、差別との決別を宣言する
    ②秩序をつくる(ルール、マナー、モラルを徹底する)
    ③できる・楽しい授業を行う
    (p.111)”

    どれも教師の指導性を必要とするものである。教師主導で実現し、一年間を通じて徹底されなければならない。

    「集団面」と「授業面」の相互の関連に注目することで、授業づくりから学級経営に影響を与えることは可能である。
    これは小学校教諭である土居正博先生の著書『授業で学級をつくる』も参考になる。

    「学級経営ピラミッド」は自分の学級が今、どこの段階にあるのかを判断する一つの指標になる。その指標から生徒達をどこに導いていけばいいのか、どこの足場を固めなければならないのかを考える時の参考になると思われる。

  • 学級経営の進め方がかなり詳しくわかりました。
    ほとんど知らなかった内容ばかりでした。
    特に、昔の人の学級経営や実践は、ほとんど知らなかったです。
    学級経営の全体構造が平易な文章で説明してくれているので、よく内容が理解できました。
    集団をまとめる方法も、きちんと学ばないと徒手空拳になるので、やっぱり学級経営の専門書を一度は読まないといけないと、改めて強く思いました。

  • 学級経営の大切な視点をたくさんもらいました。

    学級経営の構造図がよてもわかりやすく、
    自分の指導を客観的に俯瞰で見ることができるようになりました。

    今このような指導をしているのだなとか、
    これからこのような指導をしないといけないなとか、

    1年間の指導の道筋が見えました!!
    この視点がないまま現場で過ごしていると考えるとゾッとします・・。

  • 学級経営に関する「不易」と「流行」を網羅的にすべてまとめて紹介してくれる本。とくに歴史的な流れをおさえながら、これからの学級経営のゴールと系統性、手立てを紹介してくれているのが、本当にすばらしい。学級経営に関するバイブルとなる一冊。

  • 学級経営に関して、教師の細かい手立てまで書かれた、どの世代が読んでもおすすめの本。
    レベルの高い事例が続出しているので、自分にできるか、というと難しいところもある。しかし、読んでエッセンスを感じておくことが大切だと思う。

  • 小学校の話ではあるが、とても参考になった。
    近ごろ全く別の方面から、生徒に自信を持たせることや、行動を肯定的に捉えることの重要性を学んだ。
    この本では学級経営の中で、生徒に自信を持たせ、生徒たちがより良い学級づくりに参画する道筋が示されている。
    今持っている学級は静かで学習に前向きな生徒が多い。彼らの学習環境をよりよくするにはどうするべよいか、ヒントをたくさん得ることができた。

  • タイトルの通り、学級経営の細かな基礎基本から理論をもとにした実践例が紹介されている。

    集団面と授業面でのピラミッドは、よくできている。
    AIにはないクリエイティビティ、ホスピタリティ、マネジメントは、教師の武器である。
    東井義雄と斎藤喜博が登場(優れた実践は不変のものである)
    子どもの願いを満たす環境と子どものやる気を高める環境に
    生徒指導は、問題行動を予防・抑制するのではなく、子どもの自律性・社会性・個性をのばすものでなければならない。
    子供の集団におけるネットワークの図式化。強い絆と弱い絆。弱い絆を増やせるか、強くしていけるかがポイント。
    荒れた学級ほど、先頭集団に手をかけ、前向きにさせる。

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著者プロフィール

京都文教大学准教授

岡山大学大学院教育学研究科(理科教育)修了後、公立小学校教諭を経て、2013 年4 月より現職。教員養成課程において、教育方法論や理科などの教職科目を担当。「どの子も可能性をもっており、可能性を引き出し伸ばすことが教師の仕事」ととらえ、現場と連携し新しい教育を生み出す研究を行っている。文部科学省委託体力アッププロジェクト委員、教育委員会要請の理科教育課程編成委員などを歴任。理科の授業研究が認められ「ソニー子ども科学教育プログラム」に入賞。主な著書に『勉強ができる!クラスのつくり方』『教師1年目の学級経営』(東洋館出版社)、『実践アクティブ・ラーニングまるわかり講座』(小学館)、『なぜクラス中がどんどん理科を得意になるのか』(教育出版)、『本当は大切だけど、誰も教えてくれない授業デザイン41のこと』『本当は大切だけど、誰も教えてくれない学級経営 42 のこと』『WHY でわかる! HOW でできる! 理科の授業Q&A』『プロ教師直伝!授業成功のゴールデンルール』『子どもを自立へ導く学級経営ピラミッド』(明治図書出版)など多数。

「2022年 『できる教師の「対応力」 ―逆算思考で子どもが変わる―』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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