子供の「困った発言」に5秒で返す 教師の「切り返し」

著者 :
  • 明治図書出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784184082311

作品紹介・あらすじ

子どもの問いにうまく切り返す方法

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  •  「英語が喋れなくても困りません」、「どうして大人は化粧していいのに、学校では駄目なんですか」、「もう分かりました。」、「先生の授業、面白くないです。」など、40の生徒からの反抗的な質問にどう返答するか、「論理で返す」、「知識で返す」、「ユーモアで返す」の3つの返答例が紹介されている(ただいじめの問題と、心の性の問題に関しては「ユーモアでは返さないこととしています」(p.143)、ということだそうだ)。
     生徒指導に関する実践の本として、堅苦しくなく暗すぎず読みやすいので、良いと思った。国語の先生らしい、論理的な分かりやすさと、生徒のイラっとくる発言に対する余裕というかベテラン感というか、これがこの本の特徴だと思う。「主張には主張で返答することが大切です。『それはね、中学生だから。だめなんだよ』小さな声でもいい。いや、小さい声の方がいい。大きな声で返答すれば、子供は感情的になります。小さな声で、子供の主張に対して、だめだと言う。まずは、これをきちんと言うことです。これが実に大事なのです。」(p.15)という部分は肝だと思う。色々あるけど、とにかくダメだということをはっきり伝える、ということ、あとは普段の生徒との信頼関係があれば(ってこれが一番難しいし面倒なんだけど)、それなりに何とかなる、ということでもあるような気がする。あと、席替えの方法って何種類もあるのか、というのを知った(p.93)。英語の音読の方法がたくさんあるように、常識のことなんだろうけど、おれは知らなかった。
     なので、実は質問1つ1つには、この先生はこう返すのか、おれならこう返すかな、と思っておしまいといえばおしまいなのだけど、確かに引き出しがたくさんあるというのは強みなので、いくつか気に入った返答をメモしておく。「覚えなくてもググれば分かります」→「君は、自動車で運転する時、教則本を見ながら運転するの?」(p.67)、「何も覚えずにレシピを見ながら料理を作ったら、まあ、焦げちゃうね」(p.68)、「えー、面倒くさいです」→「そうなのだよ。生きるということは、面倒くさいことの繰り返しなんだよ」(p.84)、「休み時間なのにどうしてゲームは駄目なんですか?」→「ゲームが駄目なのではなく、ゲームから戻ってこられない人が多く予想されるからです。」(p.118)、あと「人間関係はお土産関係」(p.140)っていう鴻上さんの言葉はいいなあ、と思った。「相手にどれだけ『お土産』を渡しているかどうかということが、適切な人間関係の構築には重要だと言うことです。相手から自分の欲しい情報や力を貰うだけの関係は、その人間関係を消滅へと向かわせるでしょう。小学生であれば、その小学生の兄弟や親、また、ちょっとしたかっこよさや面白さ、頭の良さで、周りの人は従ってくれることもあるでしょう。そして、先生であれば、最大限その子供の話を聞くでしょう。しかし、それは学校という特殊な空間にいる数年間のことです。そこから出ていくと、その子供がどれだけ周りに『お土産』を渡しているか、つまり、相手のために貢献しているかどうかで、変わってきます。たとえ先生であっても、やってもらって当然という態度は問題でしょう。それを直すように指導していきたいものです。」(p.141)は全くその通りだと思った。「アイディアを出すことと、アイディアを実行することは別の才能」(p.163)というムツゴロウさんの言葉もいいと思った。(「言われなくてもやるつもりでした」の返答。確かにこういう生徒の返答は多いけど、甘えはいいけど甘やかすのはダメだ、という話は納得した。「甘やかすというのは、何でしょうか。それは、その我儘が個人のレベルを超えて、他人や社会の迷惑になる甘え方をすることと考えています。(略)この生徒の場合、『つもり』が分かってもらえるものと、甘えています。しかし、それを認めることは甘やかすことになります。自分のことを分かってもらって当然と甘えているわけですから。社会と関わって生きていくためには、この甘やかされている状況を正していく必要があると考えています。」(pp.162-3))
     ということで、でも確かに自分が日々大事だと思ってやっていることが、この本で言語化されて腑に落ちる、というところもあって、良かったと思う。(24/02/11)

  • 「○○を勉強したってどうせ将来使いません」
    「休み時間なのに、どうしてゲームは駄目なんですか?」
    子供達が投げかけてくる質問。
    時に鋭く、突然来る質問に、窮することなく答えるにはどうするか。
    準備編から、実践編まで、困った発言へ、5秒で切り返す術。
    40のケーススタディから、実践的に学べます。
    質問に対して、スピーディーに、うまい事返す方法だけではなく、なぜそうしなければならないのか、理由も明確に解説してあり、とても素晴らしい本です。
    思考の訓練にもなります。

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著者プロフィール

元福岡高等裁判所長官

「2022年 『刑事訴訟法講義 第7版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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