子どもを歴史好きにする面白小話集 (上巻) (21世紀型授業づくり 31)

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  • 明治図書出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (146ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784184545113

感想・レビュー・書評

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  • 歴史授業を進めていく際には必携の本である。授業に色をつける魅力的な小話集となっている(雑学本とも異なり、読みものとして一つひとつを扱えるところも現場人の発想だなぁと感じる)。「子どもにも読めるように」ルビや解説、イラストが入っているところに、子どもを大切にして、授業をして「歴史好きの子どもを増やしたい」という有田先生の強い思いを感じる。

    ① 興味を引く「見出し」
     どの見出しも「えっ!」と注目させるものである。子どもたちが調べたくなる発問のある授業を常に追い求めていた有田先生だからこそできるものである。子どもたちの驚く表情が浮かんでくるものばかりである。具体的には「縄文人に虫歯はあったか?」「大仏づくりに公害はあったか?」「元の敗戦は地理の勉強不足が原因?」このような問いが出てくると、子どもたちは「どういうこと?はっきりさせたい!調べたい!!」という追究意欲を高めることができるだろう。子どもたちへの意欲づけと教師の発問と本につける見出しは結びつくことができる。

    ② 短く、コンパクトにまとめられている
     一つ一つの話が1~2ページでまとめられている。授業のすき間時間に話したり、学級通信で紹介したりすることができるだろう。子どもたちはこのような小話が大好きである。一見、授業から脱線しているかのように見えるが、これらの話から追究を進めていくことで、授業の本線へと進めることもできるようになっている。本書にあるこれらのネタの選択も、有田先生が実際に子どもたちへ話してその反応という裏づけがあるのだろう。

    ③ まだまだ深い話がある「おもしろ情報」
     これだけコンパクトにまとめられるためには、それ以外の多くの情報が入っていなければできないことが、容易に想像できる。有田先生の教材研究の深さを改めて思い知ることになる一冊である。また、このことは授業づくりについても同様であり、発問(=ここでは見出し)が鮮明になるまで教材研究を続けていくということである。さらに「これぐらいの教材研究は授業をつくっていく上で必要」という、有田先生から私たちへのメッセージでもあると読みとった。

     子どもたちを歴史好きにするために本書は常においておきたい。ルビもあるので、子どもたちが読むために活用することも可能である。「おもしろさ」こそが「○○好き」を育てていくのである。

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著者プロフィール

1935年福岡県生まれ。玉川大学文学部教育学科卒業。福岡県の公立校,福岡教育大学附属小倉小学校,筑波大学附属小学校を経て,愛知教育大学教授。1999年の愛知教育大学退官後も日本の教育に携わり,教材・授業開発研究所代表,東北福祉大学子ども科学部特任教授。1976年より社会科・生活科教科書(教育出版)の著者も務めた。2014年没。
著書は185冊を超え、主著に『歴史を楽しむ年表』『授業づくりの教科書 社会科授業の教科書』『学級づくりの教科書』(以上、さくら社),『教え上手』(サンマーク出版),『社会の仕組みがわかる“追究型社会科発問”ワーク』『有田式歴史教科書』(明治図書)などがある。

「2020年 『社会科授業の教科書5・6年[改訂版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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