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- Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
- / ISBN・EAN: 9784195673119
感想・レビュー・書評
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「犬死にせしもの」の作者による、ドキュメンタリー風小説。本の裏に「小説」とかいてあるものの、明らかにモデルやその調書があるからこそかけるのではないかという内容。
大阪府南部で多発した連続空き巣事件と、その後近畿地方全域で連続して起こる強姦強盗殺人事件。物的証拠はあれどなかなか容疑者を絞り込めない。後半で捕まった逆木なる容疑者は、一癖二癖あるうえに、証拠がなかなか揃わない…。
まず本として、誰を主たる視点とするかが難しいので、なかなか入り込むことが難しい。また、前半は淡々とした調書が「応酬」と言うに相応しい勢いで羅列され、読んでいて結構辛い。
後半になると、容疑者の取り調べが軸となるため、主人公とストーリーがわかりやすくなるが、明らかに物的証拠(血液型)と合致しない内容での取り調べが続くため、何が目的なのか理解に苦しむ。
歴史小説を描く手法のまま、現代の事件を書くとこうなるのであろうという作品。刑事用語を多用する割にまったく解説もないあたり、歴史小説で感じる疎外感・置いてけぼり感と同じ用のものを感じる。
事件を解決しようというストーリー展開でもなく、刑事の苦悩という話にするための主軸の視点も存在しないため、最終的にカタルシスもない。
読後に調べてみたら、やはり昭和40年代に実際にあった事件をモデルに使った「ノンフィクション・ノベル」というカテゴリの話らしい。
解説には全くそういうことが書かれておらず、架空の話のように書かれているが、ノンフィクションならまあ許せる内容であろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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