- Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198630508
作品紹介・あらすじ
大おじさんの遺産をもらうため、魔女さがしをする若者と、ゼップ家に生まれた、ふしぎな赤ちゃん。魔女をめぐってくりひろげられる、ユーモアたっぷりの楽しいものがたり。小学校低・中学年〜。
感想・レビュー・書評
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大変希少なイタリアの児童文学。
「モンテレッジォ」の後なので脳内ではいまだトスカーナ地方を旅している。
信じがたいことだが、イタリアでは「魔女や悪魔はいる」と今もなお信じる人が多く「悪魔祓い」をする神父さんは国土のあちこちに存在するらしい。
このお話では、ゼップ家に生まれた7番目の赤ちゃん「ヨランデッタ」が、魔女だという。
この家の母親は有名な舞台女優。
芝居を取り仕切る父親とともに、よく公演の旅に出る。
そこで、家政婦のディオミーラの出番。
おじいさんもいるし7人もの姉妹もいて落ち着かないため、近所の図書館に出かけて本を読むのが大好きな娘たち。この図書館の司書が、家政婦ディオミーラの甥にあたるザッカリーアで、お話のキーパーソンだ。
その一方で、大叔父の巨額の遺産を狙うアストルバーレという若者がいる。
怠惰で心も身なりも不潔で卑しいのだが、大叔父の遺言に「魔女と結婚しなければ遺産を相続できない」とあったため、こちらも図書館に入り浸って黒魔術について調べまくる。
ここでゼップ家の娘たちと出逢うことになる。
彼の不潔さを嫌悪する子どもたちに司書のザッカリーアはこう言うのだ。
「いくら不潔な人だからって、入館を断っちゃいけないんだよ」
その後ゼップ家に魔女がいるらしいと知ったアストルバーレが、娘たちの住所を聞いてくると、ザッカリーアはきっぱりと断る。
「個人情報はお教えできません。もし苗字や住所が知りたければ、あの子たちが図書館に来た時に本人に聞いてみてはいかがでしょうか。答えるかどうかは、あの子たちが決めるでしょう」
まだ若い司書だが、図書館員の倫理をきちんと説いている。
イタリアの子どもたちは皆、ピッツッォルノの本を読んで大きくなると言われているらしい。
それほどの人気作家だから、お話の持つ力は絶大だ。
ところで遺産の件はどうなるかというと、色々な顛末でゼップ家の赤ちゃんと司書のザッカリーアが半々で相続することになる。
ザッカリーアはそのお金で図書館を建設し、古い本は全部修理し、新しい本をたくさん買うという、なんとも素敵な結末だ。
お話の中には「オペラ」が何度か登場する。
イタリア人にとってそれがどれほど身近なものか、児童文学でも知ることが出来る。
更に、ゼップ家の娘たちは図書館で「マクベス」を読むのだ。
母親の共演者たちの前で、シェイクスピアも読んだことがないなんて知られたら恥ずかしいからだそうだ。「マクベス」も、魔女繋がりなのよね。こういったところも小洒落ている。
児童文学の中にさりげなく古典を挿入したり、図書館について学べたり。
子ども向けだからと、とても侮れない作品だ。
ユーモアたっぷりの語り口も楽しく、お子たちにおすすめ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最初はふつうに変わってる赤ちゃんとわ思いませんでした。だから魔女だと聞いてびっくりしました。ネコもオウムもしたがえるなんて、魔女ってすごいですね。ヨランデッラは、大人になったらどんな風になるんでしょうね。
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アスドルバーレ(なまけもので思いやりがなく見た目も良くない)の大おじさんが亡くなる。身内は、アスドルバーレだけ。しかし、大おじさんは魔女と結婚することを遺産をゆずる条件にしていた。期限は1年とひと月。アスドルバーレは、大おじさんの莫大な財産を手に入れるため、魔女探しをはじめる。一方、同じ町で最近生まれたゼップ家の7番目の赤ちゃん、ヨランデッラには、不思議な力があるようで…。
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★★★★☆
家族の七人目の末っ子は真っ赤な髪の毛・水に沈まない体・鏡に映らない姿の魔女でした。
でも、魔法なんてぜんぜん信じていない明るい家族は不思議な赤ちゃんを大切に普通の赤んぼのように扱います。
でも、魔女と結婚しなければ、遺産を相続できない男が回りをうろうろしだして。
ラストが少し尻切れトンボだたかな?でも、七人姉妹がそれぞれ元気な女の子で、楽しく読めました。
(まっきー) -
魔女と結婚したい男と、ハチャメチャな大家族の末っ子赤ちゃんの物語
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名前が複雑で読みにくかった