- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198633653
感想・レビュー・書評
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とてもよかった。談志に対する素直な愛が全編から感じられた。この人は自分が(を?)認めない人に対して過剰に攻撃的なところがあるためあんまり好きではないのだが、この本には純粋に談志との思い出や談志への追慕の念が描かれるばかりで、自分も素直にいい話を聞けた、と思えた。いい本を読めた。
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志らくによる追悼
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志らくは数多いる談志の中でも一番師匠を愛していたのだろうなぁ・・・ということは志らくの著作を読む度に伝わってくる。
<blockquote>私は師匠みたいに偽者を見抜く目は現在持ち合わせえてはいないが、自分を良く見せるために嘘をつく人や、乱暴に振舞うことが美学だと思っている人や、見もしない、聞きもしないで判断し自分の論を成立させようとする人を偽物だと思うようにしている。(P.48)</blockquote>間違いなく立川談志は本物だったわけだけれど、果たしていまの日本にどれだけ本物がいるのだろうか。ビートたけしとか、ああ、たけしはホンモノダネ(←家元の文体真似してみた)。
わからないことをわからないと言う、そしてわかろうとする態度が重要なのだと思う。
<blockquote><b>談志「俺は自分が偽物だとわかっているから本物なんです」</b></blockquote>
談志は偽物も嫌ったが、馬鹿も嫌った。
<blockquote><b>談志「馬鹿とは状況判断できないやつのことだ」</b></blockquote>
また、こんな言葉も残している。
<blockquote><b>談志「馬鹿は群れたがる」</b></blockquote>
群れて集団になれば意思決定プロセスは自然と複雑になる。意思決定者が増えるから、責任の所在をなすりつけあったりして、曖昧になりがちだ。アイヒマンテストで明らかなように「言われたからやったんだよ…」と自分の考えを止めてしまう。つまり、馬鹿になる。
<blockquote><b>談志「死ねないから生きているんだ。死ねるやつはみな自殺している。死ねないから人間は生き甲斐なんてものを探す。俺にとっては落語が生き甲斐となるわけだ。まあ生き甲斐なんて少ないほうがよい。割り箸をみつめて一日過ごせたらこんな楽なことはないよ」</b></blockquote>
NHKの「真剣10代しゃべり場」に出演した際「なんで人間は生きなくてはいけないのか」と尋ねられ、こう語ったそうだ。
誰よりも落語を愛し、落語からも愛されていた。
モノを見抜く力があったから「落語は能のようになることは確かなようである」といいながら、「伝統を現代に」をスローガンに落語の崩壊を食い止めるべく戦ってきた。
冒頭に書いたように志らくは立川談志を愛している。ケチ、怒りん坊といった類型的な談志像に対して、そうではないんだ、とてもチャーミングな人なんだと繰り返し書いている。
・・・とここまで書いておきながら、俺は落語をちゃんと聴いたこと無いんだよな(TVでみたりCD聞いたりした程度)。「シャブ浜」見たいな。 -
エッセイのようで楽しめる一冊。落語を聞きたくなりました。
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立川志らくさんが書いた、生前の談志師匠のエピソード。
これは、エッセイというよりは、師匠へのラブレターに近い。
師匠が亡くなってから、悲しみを見つめる時間もなく、活動するのは、芸人魂としか言いようがない。
やっぱり、生で見たかったなぁとおもうけど、師匠の技は、弟子が受け継いでいるから、それを見に行こう。 -
談志に最も愛された弟子の志らくが語る談志の名言集。
長年の「談志信者」である私には、知らない名言がひとつもありませんでした。
以下、羅列。
「談志が死んだ」
「ふとした病で死にたい」
「立川クリスマスになる」
「田楽は円楽よりうまい」
「努力とはバカに与えた夢」
「プライド料をよこせ」
「働いていないからお年玉はなしだ」
「俺は自分が偽物だとわかっているから本物なんです」
「落語何ておもしろいもんじゃねぇな」
「お辞儀は丁寧に」
「電気、消せ」
「ステレオ持ってきてくれ」
「へい駕籠、へい駕籠」
「金正日万歳!」
「酒や煙草をやめるやつは意志が弱い」
「おい、荷物を練馬に運んでおけ」
「癌は未練の整理によい」
「小言は己の不快感の解消だ」
「勝手に生きろ」
「死んだらみんなの了見がわかる」
「弓子を出せ」
「お前なんぞ、消えちまえ!」
「江戸の風」
「こいつライ坊ってんだ。いじめねえでくれ」
「ちんぼこを出せるかどうかだ」
「銭湯は裏切らない」
「馬鹿は群れたがる」
「志ん朝より五百円高くしろ」
「生き甲斐なんて少ないほうがよい」
「馬鹿は隣の火事より怖い」
「日本人は恥も外聞もなくなったのかね」
「ゴルフは身体に悪い」
「お前がいるから助かる」
「ドナヒュー一家に幸あれ!」
「ひばりは下品だ」
「馬鹿とは状況判断できないやつのことだ」
「人生成り行き」
「頑張れ志らく!」
「アステアが死んじゃったよぉ」
「ありがとう」
「電気つけろ」
あ、7つくらい知らないのがありました(笑) -
2012年3月刊。
立川談志が亡くなる前後のエピソードを中心にまとめられた、追悼エッセイ&名言集。
冒頭で、
「この本は談志と志らくを知っていることを大前提に書かれている。
つまりふたりに対する知識がない人が読んだらなんだかわからない。」
と書かれていますが、よく知らない私が読んでも面白かったです。
師匠との思い出話の数々。ほほえましい。
志らくさんは、師匠のことが本当に大好きなんですね。
愛情があふれています。
立川談春が書いた自叙伝『赤めだか』もよかったですが、この本もいいですよ!
落語界のルールで
・後輩は(自分の師匠でなくても)真打ちを「師匠」と呼ばないといけない
・弟子は客席から師匠の落語を見てはいけない
というのは、この本で初めて知りました。 -
正直、これと言った目新しさはない。数ある談志本の中で特別な存在にならないだろう。この本は、談志のことばに隠された「談志イズム」を読み解く本。志らくの気持ちが強すぎて、気持ちがついていけなかった。