- Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198655969
作品紹介・あらすじ
ミュージカル「キャッツ」の原作者に
インスピレーションをあたえた
実在の黒ネコをモデルにした、
第二次世界大戦下のロンドンを舞台にした
ネコの物語。
第二次世界大戦下のロンドン、
空襲の最中に駅のホームで生まれた
子ネコのモーガン。
母と妹と3びきでくらしていましたが、
爆撃でひとりぼっちになってしまいます。
のらネコとして生きていたモーガンは、
ふとしたきっかけで
出版社フェイバー・アンド・フェイバー社に
すみつくことになり、
出版社を訪れる作家たちをより分け、
夜はネズミから紙を守るための番をする
〈ブックキャット〉として仕事をするように。
モーガンは、近所ののらネコたちにも、
食べ物を分けあいます。
そして、空襲の続くロンドンから
子ネコたちを疎開させるため、
自身が身につけた〈ブックキャット〉のスキルを
教えはじめたのです…。
挿絵がたっぷりはいった心あたたまる物語。
かつて英国のフェイバー&フェイバー社に実在した
黒ネコのモーガンを主人公にした、
ネコ好きはもちろん、そうでない人にも
おすすめの読み物です。
感想・レビュー・書評
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第二次世界大戦中のロンドンで、たくましく生きる猫たちの物語。
人も猫もみんなちゃんと働いて生きている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
愛猫に癒されながら、気分転換をしたり、ヒントを得たりする作家さんはきっとたくさんいるのでしょう。
実在した黒猫のモーガンをモデルに、猫が実はこんな働きをしていたらおもしろいな、というところから作られた物語だと思いますが、戦争が猫目線で描かれるのはおもしろいです。
子ども向けの本なので、人間が主人公よりは柔らかく戦争の怖さを伝えていると思います。
猫の仕事の内容はちょっとツッコミどころが多いです。空襲があった後から戦争が終わるまでの間も短く、結果論かもしれませんが、親子を引き離して子猫を疎開させた意味はあったのかちょっと疑問です。
でも疎開させたからこそ色んな場所でたくさんの猫がブックキャットとして活躍しているということなのでしょう。
それがカリスマブックキャットのモーガンの仕事だと考えたら、わくわくしますね。 -
第二次世界大戦中のロンドンで、作家を励まし、本を守った「ブックキャット」がいた、という話らしいので、本好き猫好きとしては読まないわけにはいかない。
T・S・エリオットが詩のモデルにしたというモーガンという猫が主人公。
話自体は悪くないけど、予想したほど練られた物語ではなかったのが残念。
モーガンは原稿や作家の良し悪しを判断し、その方法を子猫たちに教えたとあるので、モーガンは原稿が読めるのかと思っていたら、「モーガンも本は大好きでした。―でも、本をながめることと、そのにおいがすきなだけでした。じっさいに自分で読もうと思ったことなどありません。」(P113)とある。
じゃあどうやって良し悪しを判断したの?
子ども向けの作品とはいえ、子どもでも読んだら気づくと思うけどね。良し悪しを判断できる「読む」以外の方法があったとも書かれていないし。
絵は可愛いし、装丁も良い。
しかし中身は大したことなかった。 -
ロンドンでおかあさんと妹と仲良く暮らしていた野良猫のモーガン。しかし、戦争のせいで一人ぼっちになってしまいました。ひょんなことから、出版社に住みつくようになったモーガンは、ブックキャットとして働き始めるのです……。
小学校中学年から。本当にある出版社や、作家が出てきて、モーガンのモデルになったねこもいたらしい。ミュージカル『キャッツ』に原作があったなんて初めて知った!
ネズミをとるだけじゃなく、あの手この手で出版社や作家のために働くネコが面白い!猫に失礼な態度をとった作家はつめたくして、猫にやさしい作家には、つきそってあげるとか。それだけでなく、モーガンは自分が食うに困らなくなっても、つらかった時代を忘れずに、ほかの猫たちが困らないように教育を施す。食べものを与えるとかでなく、生きるすべを教えるというのがいい。なるほど、猫を飼っている人々が、パソコンの前で邪魔をするなどとよく言うけれど、それは猫が飼い主のためを考えて行っていることであったか……(笑)。 -
第二次世界大戦中のイギリスのお話。ネコのモーガンはブックキャットとして、出版社で働きます。猫が作家を育てる、そんな描写に納得する作品。猫好き、本好きにはたまらないかも。中学年以上に勧めたい。
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戦争中のロンドンで、猫のモーガンは「ブックキャット」となる。出版社で本を守りつつ、作家の創作や編集者の判断を助けるのだ。ある日モーガンは、猫たちが「疎開」できるように、ブックキャットになるための学校を開くーー。
「ぼくが身につけた、作家を手伝う方法を、これからおまえたちに伝授する。さあ、すわって。やる気を出してがんばれ。耳をすまして、よおっく聞くんだ。こんばんから、みんなで『勉強』だ」
猫への愛が溢れている作品だった。「ブックキャット」というアイデアが楽しい。モーガンは、作者の祖父が1929年に創立した出版社「フェイバー・アンド・フェイバー社」にいた猫がモデルになっているそう。作者自身も猫を飼っていて、実際に猫に仕事を助けてもらっている実感が生きているんだろうな。
お話の軸に「戦争」が存在しているのに、こんなに楽しいお話になっているのがすごい。でもちゃんと、戦争の恐ろしさや悲しさを、猫の目線から描いてもいる。モーガンの、町の猫たちを救いたいという思いは、自分の家族を爆弾で失った悲しみなのだ。
いちばん面白かったところは、モーガンが猫たちを集めて「ブックキャットになるための学校」を開くところ。どんなふうに猫が作家の創作を助けるのか、具体的で面白いレッスンが満載で楽しめた。
戦争の時代を描かれてはいるが、お話として面白く、それほど長くなく、文字も大きく、挿絵もたっぷり。2年生のそこそこ読める子くらいから、4年生くらいまでにおすすめしたい作品。 -
第二次世界大戦下のロンドン。
人ではなく、猫に視点を合わせた作品 -
可愛さを最大の武器として処世する仔猫たちがたくましい。
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作家、出版社、図書館で陰ながら働くねこたちの話。