地を這う捜査: 「読楽」警察小説アンソロジー (徳間文庫 と 16-15)
- 徳間書店 (2015年12月3日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198940454
作品紹介・あらすじ
事件発生から解決まで、捜査は決して一筋縄ではいかぬもの。悪事を隠蔽しようとする者、嗅覚と執念でそれを追う者――混沌とした世界の中で、思いも寄らぬ真実が焙り出される。安東能明、河合莞爾、佐藤青南、日明恩、葉真中顕、深町秋生……注目の作家たちが紡ぎだす、警察小説アンソロジー。解説、香山二三郎。
感想・レビュー・書評
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刑事をテーマにした様々な短編集。
各作家達の味が、それぞれ感じられる一冊です。
特に、河合莞爾の「また会おう」は、最後の意外な落ちで、涙が止まりませんでした。
そういうことか、と納得しつつ、主人公の高山刑事の気持ちに打たれます。
ぜひ、お勧めの一冊です。
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ことぶきジローさん自分も河合莞爾の『また会おう』にはやられました。自分も河合莞爾の『また会おう』にはやられました。2017/09/06
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日明恩さん、深町秋生さんは既に何冊か既読。後は初読みの作家さんばかりでした。アンソロジーは初読みの作家さんの入り口になるので結構好きです。この本はどれも良かった。甲乙つけがたいが深町さんの『卑怯者の流儀』が私は一番かな。
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「アンソロジーは・・」の意見に、全くもって同感です♪
いま自分が大好きな作家に迷わず挙げる小路幸也さんに出会ったのも、名前は知ってたけ...「アンソロジーは・・」の意見に、全くもって同感です♪
いま自分が大好きな作家に迷わず挙げる小路幸也さんに出会ったのも、名前は知ってたけどあまり読む気がおきずにいた(だって分厚いんだもの)京極夏彦さんを読むきっかけになったのも、アンソロジー本でした。2019/09/25 -
2019/09/25
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警察小説アンソロジー。
次に読む作家を新規に開拓するのに好都合なアンソロジー本は、ここ数年わりと好きかも。
過去には……京極夏彦や柴田よしき、福田和代等を、やはりアンソロジーで初読みし、好きな作家の一人にエントリーしたという実績が♪
ということで、作家ごとの感想。
【安東能明】
長編2冊ほど読んだことがあるので、安心して読めた。アクの強いキャラ設定やら、ちょい役にして通り名のついたサブキャラたち……ということは、安東さんの持ちネタシリーズのスピンオフ的な位置付けか?
見かけたら、読んでみよう。
【河合莞爾】
初読み。
以外とよくある、“叙述の仕掛け”による一種のファンタジー(笑)。
かなり早い段階で家族の仕掛けに気づけてしまった点に苦笑しつつ、「まあ、デビュー間もない作品なようだし」と、
(失礼ながら)上から目線で温かく見守ろう、と読み進めた。
……まさか、もう1つ仕掛けがあったとは(驚)。
河合さん、一応チェック♪
【佐藤青南】「交通鑑識官」
面白し♪
地味だけれど格好良い、まさしく“地を這う捜査”に感銘。
今アンソロジーの収穫の第1番目。
【日明恩(たちもりめぐみ)】
「山の中の犬」
……気に入った♪
警察小説でありながら、捜査主眼ではない心温まる物語。
“収穫の第2”に認定♪
……小太郎可愛い。
……ハイテク婆ちゃん(笑)。
【葉真中顕(はまなかよう)】
……無駄なく組み立てられた“いわゆる推理小説”。巻末解説によると、「期待の大型新人」とのこと。
……とりあえず、名前は記憶に留めておこうかな、という感じ。
【深町秋生】
……安心のクオリティで、十二分に楽しめた。“八神”のシリーズが完結してしまっているのが寂しい限り。
トータル
★4つ、8ポイント。
2016.08.03.古。 -
警察小説アンソロジー。タイトル通り、地を這うような地道な捜査も描かれていますが。いろんなテイストの作品が味わえたと思います。
お気に入りは葉真中顕「洞の奥」。とんでもなく邪悪な一作。邪悪な真相の先に、さらに連なる邪悪な結末。こういうの、とんでもなく好み! です。
河合莞爾「また会おう」は逆に温かな気分になれる一作。あの「仕掛け」部分にはまあミステリ読みなら気づくと思うのだけれど。え、そっちもだったの? というのには驚きでした。 -
なるほど、確かに。警察小説って言っても切り込み方はさまざまだなと改めて。
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(収録作品)密室の戦犯(安東能明)/また会おう(河合莞爾)/交通鑑識官(佐藤青南)/山の中の犬(日明恩)/洞の奥(葉真中顕)/卑怯者の流儀(深町秋生)
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『読楽』に掲載された警察小説のアンソロジー。安東能明、河合莞爾、佐藤青南、日明恩、葉真中顕、深町秋生の脂の乗った6人の作家による個性的な警察小説6編。
いずれも、捻りの効いた面白い作品だったが、河合莞爾の『また会おう』、葉真中顕の『洞の奥』、深町秋生の『卑怯者の流儀』が特に良かった。 -
安東能明「密室の戦犯」
テレビドラマみたいだなという印象。
河合 莞爾「また会おう」
片方はすぐにわかったけれど、もう片方は気付かなかった。
少し強引さも感じたけれど、終わり方が良かった。
日明 恩「山の中の犬」
犬に人のものあげたらあかんよって思いながら読んでいたので
作中にきちんと言及されていて安心した。
葉真中 顕「洞の奥」
正直なところ、わかりそうなものだけどな、と思うところはあった。
話の順番はよかったと思う。
深町 秋生「卑怯者の流儀」
既読だったので感想割愛。 -
警察小説、6人の作者が、色々な工夫を凝らして描いている。
「密室の戦犯」-安東能明(あんどう よしあき)
は、刑事課盗犯かかりの神村五郎が、派遣社員の独身女性の服毒死を、自殺と、見破るのだが、、、、短編なので、少し、雑な内容になっているように思える。
「また会おう」-河合莞爾(かわいかんじ)
構成がうまい。殺された妻と、幼子の後押しで、犯人を逮捕するのだが、、、、最後まで、亡くなっている事を、表していないで、話を進めている。
「山の中の犬」-日明恩(たちもり めぐみ)
不法投棄事犯の発覚について調べているのだが、小さい時のトラウマで、犬が、苦手の主人公。
捜査の為に、隣の土地から観察をしていたが、その所有者からの許可を得ていなかったが、、、、そこの犬と、仲良く(?)なってしまう展開である。
不法投棄への関心だけで、逮捕迄至らないし、主人公の名前が、出てこないで、「わたし」だけで書いている所が、少し物足りなさと、面白さとが、入り混じっている。
「洞の奥」-葉真中 顕(はまなか あき)
親子ともども警察官であり、娘は、堅物で、真面目な父を尊敬していたし、又、他の捜査員からも強く支持されていたのだが、、、実際の顔は、、、、、どうしようもない物であった。
娘は、その汚点をどのように隠したかと言うと、山の中の洞である。そこへ巧妙巧みに、遺書を残す。
又、恋人の行方不明は、、、、誰の手に、、、、と、面白かった。
「卑怯者の流儀」-深町 秋生(ふかまち あきお)
悪徳警官であるが、一本筋の通った米沢英俊と、暴力団の浦部恭一、、、自分の身を挺して、ヤクザノ組織に壊滅をねがう。ハードボイルド作品。
作者全員の名前が、またまた、工夫されているように見える。
短編集なので、少し、警察小説として物足りない所もあったが、短時間で読めると言う利点もあった。