梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション2 清里高原殺人別荘 (徳間文庫)
- 徳間書店 (2023年2月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198948283
作品紹介・あらすじ
冬、シーズンオフの別荘地・清里──〝内側から開
かない窓〟を設えた奇妙な別荘に、五人の男女が忍
び込んだ。彼らがある連絡を待って四日間潜むその
隠れ家には、意外な先客が。密室での刺殺、毒殺、
そして撲殺……相次ぐ死によって狂い始めた歯車。
館に潜む殺人鬼の仕業か? 逆転に次ぐ逆転! 伏
線の魔術師・カジタツが巧緻の限りを尽くした極上
の「雪の山荘」ミステリ。待望の初文庫化!
解説 阿津川辰海
イラスト やまがみ彩
トクマの特選!
〈目次〉
第一章 叔母のくれたクリスマス・カード
第二章 密室の中の六人
第三章 こわくなかった理由
第四章 もう一人いる
第五章 死体は運ばれた?
第六章 殺人は暗黒の中で
第七章 歳上の女、歳下の男
解説 阿津川辰海
感想・レビュー・書評
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これはすごい!(≧∇≦)
なんとなんと!!ただでは終わらない!
このラストはクセになる。
好きなタイプのやつです߹ㅁ߹)♡
いやぁ〜、騙されたよっ(°д° )
そうきたか!
犯人当てのバトルをしていたので、めっちゃ悔しいです(╯‵□′)╯︵┻━┻ 笑
でも騙されたい私としては、大満足のラスト♡(º﹃º )
1988年の作品という事で、ゆっくり注意して読めばきっと犯人が当てられるようなミステリを予想しておりましたが…いいですねぇ…甘かったです。
大学生5人が、清里にある別荘に忍び込みます。
彼らの計画は順調に進んでいたのだが、別荘には見知らぬ先客が潜んでいました。
そしてその別荘で殺人事件が起こります…。
ひっかけポイントが点在し、主要だと思っていた部分は「そっちかーーーい!」と華麗に突っ込みたくなる展開に…(*´艸`)
疑えば疑うほど、不自然に思えてきて「なぜこのワードを強調するのだろう?」という疑問点が頭から離れず、何度読み返しても不信感は募るばかり…。
結局私が疑っていた所は何もありませんでした。
。゚(゚ノ∀`゚)゚。アヒャヒャマトハズレ
バトル、4作目なのですが、毎回あかんと思うこと…
小説の内容以外の「読者の反応」をも、推理の対象としてしまうこと…(-∀-`; )
この本を読む前にTLで「これ、凄いよね!!」との会話を見ました。
これ、凄いよね…
これ、凄いよね…
これ、凄い…
もう頭の中では、
『どの人が犯人ならば彼等に「すごい」と言わしめることが可能か……』
そんな、本筋とは全く関係のない所での会話で推理し始める始末…笑
そして読後には、
「これ、凄いよ!!」と、自らが言う事に!(*´艸`*)
これ、凄いよ!!!みんな!!!笑笑
私は、犯人云々よりラストが痺れました。
(負け惜しみじゃあないよ笑)
そこを、推したい!!!
私が好きなのは◯◯◯!!
そこが良ければ、全て私好みの作品になってしまうのです♡
おすすめします!!ヽ(´▽`)ノ
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やられちまった、カジタツに。の一冊。
やっぱり今作も驚愕。
舞台は真冬の清里。
五人のわけあり男女が隠れ家のために選び忍び込んだ別荘。
そこで思いもよらぬ先客に出くわし、六人に。
そしていきなり密室での刺殺事件。
一人減り、また一人減り…お決まりだけれどこの展開はドキドキが止まらない面白さ。
さぁ、残りは絞られた。
一体誰が?どっち?こっち⁇全てが、くるりん。
鮮やかなくるりん、まさかのしてやられた感に悶絶。
まるで伏線という伏線がチームを組んで襲ってくるこのカジタツさんのナイス見せ技。
最後は清々しいまでのやられちまった感。 -
冬、シーズンオフの別荘地・清里。まるで牢獄のような窓を設えた別荘に、五人の男女が忍び込んだ。ある事情で潜伏する隠れ家にした別荘には、なんと持ち主の姉を名乗る女性が居て──。
雪の山荘という王道設定でここまで翻弄されるなんて!とある犯罪をした大学生たちが潜伏先で居ないはずの女と鉢合わせ!さらに仲間の一人が誰も手を下せないはずの状況下で刺殺される!逃げたくても、仲間からの連絡待ちで動けない!葛藤している内にも殺人が進み、ハラハラが止まらない!
外へ出られるのは玄関のみ!密室と化した別荘での殺人は、仲間割れか?それとも潜む第三者か?そもそもなんでここに来たのか?
「通俗こそ、人生を生きる王道よ」
この言葉が頭から離れない。降り積もる美しい雪の下にこそ、真実への伏線が強かに根を張り巡らせている。
松本清張先生が登場した1957年から、綾辻行人先生が登場する1987年までの本格冬の時代。その雪を割ってこの作品が花開いたというのは感慨深い。なんでこの作品が入手困難だったの?!というほど面白い!いまや定番である雪の山荘というクローズドサークルを、これほど刺激的に仕上げた作品が1988年にあったというね!解説の阿津川辰海先生がおっしゃる通り、雪の山荘が通俗化した現代だからこそ逆に味が深まった作品だなと。徳間文庫さん、復刊してくださってありがとうございました!次も待ってます!
p.61,62
「コレクションというのは、それが芸術や学問の形態をなさない時は、狂気といわれる。実際のところ、川光もそうだ。だが、その中にいささかの芸術性、学問性があるものが混じり込んでいるために、どうやらそこから救われている……」
p.128
「死神というのは、とりつきやすいが、また落ちやすい。だからこそ、人間全部が死の運命を持っているのに、楽天的に生きているともいえるのに、あんたは……あんたはまだ、ほんとうに、その死神をたいせつに抱いているというのか? 自殺者は、一度止められると、十中八、九はそれで水をさされ、しばらくは、その気をなくすとも聞いたがね」
p.174
「……あなたたちは、どうやら通俗な犯罪小説や映画にあるような、計画成功後の仲間割れなどは、大学生エリートとして、絶対やるまいと誓い合っているみたいね。だけど、通俗という土根性には、エリートなんていう、ただ自分を誇るだけの虚栄なんか、なんの意味もないのよ。通俗こそ、人生を生きる王道よ」 -
初のカジタツ本
Twitterでめっちゃ面白いと聞いていたので
いざ読んだら……もう、もう……
お、お、おもしろいッッッッ!!
すげぇ〜や!!
〜あらすじ〜
冬、シーズンオフの別荘地・清里──〝内側から開かない窓〟を設えた奇妙な別荘に、五人の男女が忍び込んだ。彼らがある連絡を待って四日間潜むその隠れ家には、意外な先客が。密室での刺殺、毒殺、そして撲殺……相次ぐ死によって狂い始めた歯車。館に潜む殺人鬼の仕業か? 逆転に次ぐ逆転! 伏線の魔術師・カジタツが巧緻の限りを尽くした極上の「雪の山荘」ミステリ。待望の初文庫化
ある理由で男女5人が別荘に訪れ……
その理由もおどろかせますが……
そこから突如として殺人事件発生!!
刺殺にYO〜
毒殺にYO〜
撲殺にYO〜
殺害方法の玉手箱だYO〜
ヒェーアーッッ!!
そして推理小説と言えば!YO〜
犯人当てだYO〜
すんッッッッごい!悩んだ!(T ^ T)
本気でよぉ〜(T ^ T)
死に物狂いでよぉ〜(T ^ T)
頭もパンクしかけたよぉ〜(T ^ T)
でもよぉ〜
でもよぉ〜
……
……
犯人当てたYOッッッッッッ!!!(∩´∀`)∩ワーイ
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
しかも今回は友人と推理対決なるものを
していたので嬉しさ100万倍!!\(ˊᗜˋ)/ヤター
いや〜良かった!良かった!と……安心していたが
まさかのラスト展開に……
うわぁぁぁ( ☉_☉) パチクリ。
そう!最後まで楽しませてくれる作品でした〜
本当に良かったです( *´꒳`*)
他のカジタツ本も読んでいこうと思います〜
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プロローグは、三沢義信の視点。物語の舞台となる別荘の建物が、かつて思いを寄せていた叔母がくれたクリスマスカードに似ているということに気付くシーン。この部分が、この物語のラストで、義信と秋江が二人で結び付き、逃走をするというシーンにつながる伏線となっている。こういう伏線の多さが梶達雄のミステリの特徴になっている。
物語の冒頭部分では、どういった状況なのか、説明がなく、読者を置いてけぼりにする。義信のほか、勝浦、瀬戸、高森、呉、沢木、川光という人物、固有名詞が出てくるが、どういった関係にあるのか、なぜ、清里の別荘に来ているのか、検討が付かない。
詳細な説明はないが、どうやら勝浦、瀬戸、高森、呉、義信の5人が、沢木というリーダーのもと、何らかの犯罪を犯し、その計画の一環として、川口という男の別荘に忍び込んでいる、そういった描写があったあと、本来であれば、誰もいないはずの別荘に、女性がいることが分かる。
義信は、偶然会ったその女性が、かつて思いを寄せた叔母、陽子に似ていると感じる。その女は秋江といい、別荘の持ち主の娘だという。隠して、何らかの犯罪をしている5人と、その5人に軟禁される女性一人というシチュエーションとなる。
高森と呉がケンカをし、テレビとラジオを破壊。このケンカは後で、外部からの情報収集手段を壊すためにされた偽装のケンカだったことが分かる。
その後、一番奥の部屋まで行った高森がナイフに刺され、死亡する。
高森が刺殺されたことで、動機やアリバイの調査がされる。秋江は、高森とケンカをしていた呉を疑うが、そこで呉は、「馬鹿馬鹿しい。あの喧嘩は…」と、読み返すと、例の喧嘩が偽装の喧嘩だったことを示す伏線となっている記載がある。また、高森に刺されたナイフは相当に強い力で刺されていることも書かれており、これも高森殺害の真相の伏線になっている。
ルリ子は秋江を疑い、秋江は、メンバーの中に犯人がいるのではないかと指摘。勝浦は、外部からの侵入者による犯行ということを示したところで、外部にいる沢木というリーダーからの電話
義信は、秋江に自分達が銀行強盗をしてきたことを伝え、行動を自嘲するようにいう。これはいわゆる叙述トリックで、義信の秋江に対する説明…という形をとって、事実とは異なることを読者にも伝えている。実際に行われているのは、義信の誘拐なのだが、義信は、自分達が銀行強盗をしていると思っている。それを秋江に伝えるという形で、ここで、読者に、銀行強盗が行われているという誤解を与えている。
ブレーカーが落ちる事態が発生。これはミスディレクションだが、秋江がこの別荘の内部に詳しい様子がさりげなく示されている。
章が代わり、義信がルリ子のために、勝手に外部に出てコーラを買ってくるシーン。その事態について、るり子を含むメンバーが義信を叱責する。この反応は、実際は、銀行強盗ではなく、義信の誘拐であることを示す伏線となっている、
秋江は、義信に対し、義信が他のメンバーに利用されていること、ルリ子は実際は勝浦と付き合っていると思われることなどを伝える。
ここで、秋江が川口の娘ではなく、会社の金を横領し、この別荘を死に場所として来ていた人物であることが分かる。
ここで、ルリ子が毒殺される。絞殺。別荘内に殺人鬼である川口光一が潜んでいるのではないかという疑惑が生じる。こういった、「そして誰もいなくなった」系のミステリで、ダミーの推理として良く出てくる、第三者の存在。呉は、隠し部屋の存在に気付く。隠し部屋には誰かが過ごしていた形跡が見つかる。
秋江は呉に、沢木への疑いを向けるが、呉は動じない。そもそも、義信の誘拐が、この事件の真相であり、身代金を得るのに苦労してるという現状を知っているので、身代金の支払いがない段階では疑う必要がないというのが真相
義信が誘拐されているということを意識して読むと、この辺りの勝浦や呉の言動も、分け前を増やすために殺人をしている容疑者から義信を省いている点等、伏線がしっかりとちりばめられている。
ここで沢木からの連絡。真相を知っている目から見ると、無事、身代金を入手したということ。そして、呉が死ぬ。
勝浦は、呉の殺害について、秋江を疑うが、死体の冷え具合等から不可能。仮に、高森の死体を代用していたとしても無理
ブレーカーが落ちて、勝浦が殺害される。
義信による推理。そして、秋江が外部の福田京子という人物に電話をし、何かを確認している場面
義信による推理。高森は、川口光栄が仕掛けていた装置によりナイフが刺さり死亡していた。つまり事故
隠し部屋に誰かが潜んでいたような跡は、秋江が仕込んだトリックだと指摘。義信は、秋江が建物の構造を良く知っていた人物だと指摘。ルリ子殺害の毒は、自殺をするために用意していたもの。呉殺害は、もう一つの死体、川口光一の死体を使ったトリック
秋江は、川口光栄の秘書だった。ルリ子、呉、勝浦を殺害したのは秋江。ここまでは普通のミステリ。アリバイトリックがある程度。この後、271ぺージの最後で、沢木達が行っていた犯罪が、銀行強盗でなはなく、義信の誘拐だったことが明かされる。
誘拐されていながら、誘拐された本人はそうと知らない。それどころか、当人はそれに協力してくれるという誘拐。このアイデアは見事
ここから、作者による伏線の解説。誘拐の被害者である義信に、これが銀行強盗ではなく、誘拐であることの説明…という体で、伏線の解説が進められる。膨大な量の伏線が仕込まれていたことが、作者によって示される。伏線を作者が説明するというのは、やや興ざめのような気もするが、分かりやすくはある。これは、こういった作品がまだ少なかった頃という時代背景もあると思う。
最後は、秋江による説得の上、義信は沢木を殺害し、身代金を持って秋江と義信が逃走する。別荘で、警察と川口光栄が死体を見つけているシーンがあり、最後は、年上の女と年下の男が逃走するシーンで終わる。
誘拐の被害者が、誘拐されていると気付かない。何が起こっていたのかが最後に明かされるという構成の作品は、一つの形として存在し、Rという作家のZという作品、Oという作家のAという作品が思い付く。そのほか、阿津川辰海の解説では、国内作家Iの短編、国内作家Aの短編、国内作家Mの長編等もあるらしい。そういった意味では、定番の形の1つであり、そこまでサプライズ感が高いものではない。もっとも、この作品が元祖なのであれば、歴史的な意味での価値は高い。
個人的に、このタイプの作品を初めて読んだのは、RのZ。このときは、驚愕というより、なるほど、と感じた。驚愕タイプというより納得タイプのサプライズ。清里高原冊人別荘を、これらの作品の中で、初めて読んでいても、同じような感想だったと思う。
「実は誘拐だった」というオチを納得させる伏線はあるものの、物語全体の流れにはリアリティがない。義信を閉じ込める場所と選んだ別荘に、秋江がたまたまいた、という偶然により成り立っている話だし、秋江がいないと殺人もおきない。そして、連続殺人のきっかけになる高森殺しの真相が、単なる事故というのも御都合主義。銀行強盗に見せかけた誘拐事件という一つの形を作ったという意味では斬新な作品だが、1つのミステリ=推理小説としてみると、荒唐無稽な筋書きのミステリでもある。当時、また、こういった児戯にあふれるミステリが少なく、評価が低かった頃だと、黙殺されてしまったのも、仕方ないかもしれない。
根っことなるアイデアは近いが、RのZはずっとリアリティが高い。
では、この作品の評価はどうか。根っことなるアイデアの形を作った作品という歴史的な価値も加味して、75点としたい。あと、解説で、「本格ミステリ・フラッシュバック」というブックガイドの存在を知った。これは欲しい。あと、高森真士の「割れた虚像」や磯部立彦の「フランス革命殺人事件」といった読んでみたいと感じた作品を知れたのも嬉しい。
トータルで見ると、読んでよかった作品だといえる。
三沢義信
勝浦由起夫
瀬戸ルリ子
川口光栄
川口光一
高森博
呉浩二
沢木 -
「クローズド・サークルの伝説的傑作」が満を持しての復刊。
私は完全なニワカだが、それですら10年以上待った。長年のファンには感無量なことだろう。
で、ついに読んでみた感想。
評判に偽りなし、正真正銘の傑作である。
ここをご覧いただければおわかりのとおり、クローズド・サークルものはそれなりの数を読んでいるが、類例を挙げろと言われれば難儀する。クローズド・サークルがクローズドになる動機や閉じ込められた面々の関係、いい感じのギスギス具合なども満点で大満足。
それにしても。
「クローズド・サークルっぽい何か」とは、我ながら良いカテゴリ名をつけたもんだなあ(笑)
2023/2/9読了 -
面白かった〜!
他作品も気になる... -
何かを企んで清里高原の別荘に忍び入った5人の男女
そこには謎の女が潜んでいた
1人の男が死に計画が狂っていく
4人の言動は不自然なところがあったけど信じてたから気づかなかったってことかな
最後の選択は自分の気持ちに素直になったんだな
今度は裏切られることはなさそう