人も土地も結晶化してしまう銀砂嵐が人為的なものだっとと知り、ティトと共にその原因となる旧大陸へと向かったセッカ、と物語が急速にクローズへと向かう3巻である。
綺麗に序破急の形式で3巻完結となった形だが、おそらく語るべきはすべて語られているのではないかと思われる。二人の物語は丁寧に描き終えられている。
丁寧な世界観構築やその美しさなど魅力は色々あった一方、ドラマとしてはやや淡々と描かれ過ぎていた印象は残っている。
前巻の感想でも触れているが、やはり全般に棒立ちでの会話が主体になっていて、動きが少ないのだ。
その意味で言えば、この作品は多分に舞台劇の要素を含んでいて、あるワンシーンの中で会話を主体に物事が進みゆく印象があった。
単巻としても、物語全体としても星四つ相当と評価している。
なお、ワンカットごとの描写の美しさは雑誌サイズで読んだ方が今少し印象が強くなった可能性も感じられたので、ここでの評価・感想はあくまで単行本での話に限っておきたい。