中世ハンザ都市のすがた: コグ船と商人

  • 朝日出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (39ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784255009643

感想・レビュー・書評

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  • 本書のバックには、「この本は私たちを1400年頃の典型的な北ドイツのハンザ都市に案内し、そこで繰り広げられる様々な人々の営みを紹介します。言葉より雄弁な図版は読者に数々の発見をもたらすでしょう。分かりやすく、歴史的に忠実な図版による、楽しい文化史紹介です。」との説明がある。また訳者の中島大輔氏は、1959年長野県生まれ。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退。現在、鹿児島大学法文学部教授。専門はドイツ文学、ドイツ都市文化史。
     2013年の夏、ザ・ロープの仲間と一緒にスター・フライヤー号のバルト海クルーズに参加した際にドイツのロストックに寄港した。ロストックは旧東ドイツ最大の港湾都市であるが、中世のハンザ同盟の中心都市の一つでもある。港から電車を乗り継ぎ、まずはサンクト・マリエン教会にある1472年から今日まで時を刻んでいる天文時計を見学し、バルト海交易で蓄えた冨の象徴に圧倒された記憶は鮮明に残っている。
    そもそもハンザ同盟とは、遠隔地間の交易において盗賊からの自衛をはかるべく12世紀の初めに商人同士が結びつき、1259年にリューベック、ヴィスマール、ロストックの間で盗賊や海賊に共同して対処する都市同盟が成立したのが発端となり、1400年頃にその絶頂期を迎えている。教会の天文時計もさることながら、ハンザ都市の面影を求めて町や港を散策したが、風景からはどうも当時のイメージが湧いてこない。いつかはハンザ同盟と活躍した船をもっと知りたいと考えたところに本書に行き当たった。
     本書は一見絵本として捉えられるが、内容は子供向きではなく、文章による説明と図版を通して当時のハンザ都市の様子とそこに暮らす市民の生活を垣間みる大人向けの参考書である。解説によると、本の舞台はリューベック、都市の繁栄が全編を貫いている。都市の内部、外部の様子に続き、繁栄を支える商人や職人の生活風景が描かれ、港の様子、航海や海賊との戦い、そして最後に商人とコグ船が活躍したハンザ同盟の俯瞰図が組み込まれている。本書では宗教も忘れていない。教会の建築現場や教会の中も紹介されている。索引に代わりに、各章の絵図を再掲し、番号を付けて描かれている箇所を番号で名称をつけているのも理解を助ける。コグ船そのものに関する記述は限られるが、ハンザ都市の絶頂期の姿をイメージと日本語の解説で理解するには良書で、コグやキャラックの模型製作では工作過程と鑑賞を盛り上げるのにもってこいの本ではないかと思う。

  • リューベックをモデルにしたハンザ都市の様子を史実に正確な絵で紹介
    絵が見開きなので本を壊さないように見られるか心配だから★一つ減

    困難な旅路
    ハンザ都市
    市門の外
    通り
    商人の家
    職人の工房
    市場
    市庁舎の中
    教会の改築現場
    教会の中

    海を渡って
    商人とコグ船

    図書館から借りたが日本版入手不可につき原書購入

  • 絵本というより絵での図版の解説書かな
    丁寧にていねいに描き込まれている1400年代のハンザ都市の姿
    絵を見ながら空想が広がっていきます
    豪壮な教会、裕福な商人、貧しい人々、病気や障碍者にも目がむけられています

    ≪ 船が富 運んで街が 栄えいく ≫

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