- Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
- / ISBN・EAN: 9784259566241
作品紹介・あらすじ
「みんなの学校」(大阪市立大空小学校)の初代校長先生が
子育ての古い価値観をぶち壊す!
多様性の時代といわれるいま、「ふつう」であることを強いられて、学校に行けなくなった子どもや、学校生活に息苦しさを感じて「生きにくい」と悩む子どもが大勢います。
そしてその後ろには、子育ての問題を抱え込んでいる親が大勢います。学校から子どものことを「発達障害かも」「問題児」「周りに迷惑をかける」と言われたら、どうすればいいのでしょうか……。
「親だけで子どもを育てるなんて絶対ムリやで!」という著者が、45年の教員生活からみえた子どもの本来の姿、子どもの成長に本当に必要なものは何かを伝えます。
感想・レビュー・書評
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大阪市立大空小学校初代校長だった著者が書かれた内容に、私もこのような学校に行きたかったという思いになりました。
確かに、私が学生だった当時は、今よりも画一的で格差もそこまでなかったが、先生の言うことは絶対的で逆らってはいけないこと、遅刻や忘れ物、宿題や試験に対して、それが当たり前なんだと受け身に捉えるだけで、本書に書かれているような、「言うとおりにすることが大事なのではなく、なにを言っているか、なんのために大事なのか」を、自分自身で考えていく力をつけていかなきゃいけない、といった考えには全く至りませんでした。
また、障害はその子らしさであり、その個性を伸ばすことで、それを長所に変えていくことが大事で、そのためには、その子だけではなく、実は周りの子どもを育てることが大事なのであって、そうすることで自然とお互いの内面を学び、すべての子どもが育ち、それが社会で生きていく力になることには、一人ぼっちであることの不安や悲しみを知る私にとって、とても共感できるものがありました。
子どもは未熟で当たり前なのであって、彼らの中には、じっとしていられない子、走り回る子、暴れる子に、殴る子と様々ですが、その子たちにも、ちゃんとした理由があるのです。
更に、子どもは大人を見て真似をして育つという、意味の重大さを再実感させられ、「自分の中の当たり前」を問い直すことや、自分は無理と判断する力が大切なこと・・人間だから、時には腹を立てて子どもに怒鳴りつけたりもするけれど、そうしたときでも、一歩引いて、「人の力を活用する」ことには、上記した「周りの子どもを育てる」ことが、大人の社会全体にも適用されることを表しています。
こうした繫がりを認識できた方が、目的や意味も分かり、自ら行動しようとするモチベーションにもなりますよね。
いままでの教育が、「正解をいかに当てるか」だったのに対して、今の時代に大事なのは、「正解のない問いをどう問い続けるか」だということも考えさせられるものがあり、多様化が進む中において、人と人の繫がりやコミュニケーションの大事さを再認識しました。
最後に個人的な思いとして、このような考えを持っておられる方が、教員としていらっしゃった事実に、過去の自分が報われた思いを感じ、その懐の深い教育の情熱には、感謝の気持ちが芽生えました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
信じられないけれど奇跡ではない ”みんなの学校” 『「ふつうの子」なんて、どこにもいない』 - HONZ
https://honz.jp/articles/-/45292
学校日記 大空小学校
http://swa.city-osaka.ed.jp/swas/index.php?id=e731673
詳細|書籍|一般社団法人家の光協会
http://www.ienohikari.net/book/9784259566241 -
「木村先生の本は一度は読んでみたい」と思っていたところ、図書館で見つけたので読んでみました。
学校教育のように、十分な時間をかけて制度ができあがってきたものは、手段を重視しがちだと思っています。
しかしながら、「あくまでも目的が大切」というのが木村先生の基本姿勢だと思いました。
ちなみに、「目的よりも手段を重視」は、会社でも社会でも至るところで見かけます。
「手段を重視」は、環境の変化が大きくない場合には、メリットも大きいと思うのですが、環境の変化が大きいときには、デメリットが大きいように思います。
教育現場では、「ふつうの子」に当てはめようとする手段が横行しがちですが、子どもの多様性(実は家庭の多様性)が拡大している今の世の中では、「ふつうの子」に当てはめようとする手段が機能しないケースが増えているだけに、教育のそもそもの目的に立ち戻って子どもに接することの重要性が、ますます大きくなってきていると思います。 -
子供のありのままを受け入れる、私が救われる著書にはだいたいこのひとことに尽きている。
うちの子もコントロールきかず苦しむこと多いが、もっと信じてあげようと思った。発達障害だから…と言い訳にしているのは親の方。
大人がそばにいて危ういな、こんなことしていたら周りの子から浮かないかな、いじめられやしないかと気を揉むこと多いけど子供は意外とそれを受け入れて接してくれる、本当にそう思う。あと、迷惑かけてはいけないという思いは捨てた方がいいなと。本人のためにもならないし、周りの力も借りるのは悪いことじゃない。 -
「みんなの学校」の本はすでに2冊読みましたが、この本もよかった!「大空小学校の場合はどうしているのか」というのを、前2作以上に具体的に書かれている気がします。さらっと書かれていることでも、深い内容が多い。
基本的な考えとして、子どもに「障害」等があったとしても、それで「迷惑をかけている」と萎縮する必要は、本人にも保護者にもない、というのが著者の考え方。そういう子もいるんだ、じゃあ自分は何ができるか、ということを、周りが考えていくと、周りが成長できる。
「大空小学校ではどんな状況でも集中する力を自分で身につけるのが当たり前だった」というのは、卒業生の弁。(p64)
ちなみに大空小学校では「保護者」と言わずに「サポーター」と言っていたそう。自分の子ではなく、周りの子に関わる。自分の子のいいところを他の人に見つけてもらい、自分も、他の子のいいところを見つけていく。保護者や地域の方々の、公立小学校への関わり方としては、これはすごく参考になると思う。
当たり前と思っていたことを見直してみるために、オススメ! -
すべての子どもの学習権を保障する学校をつくっている学校が実際にある。木村さんは初代校長を9年間務めた。
「親の言うように子どもは動きません。」「自分がされて嫌なことは人にしない。言わない。」ということは大人の世界でも同じこと。
地域に開かれた学校は、地域住民や学生ボランティア、保護者など常に子どもたちを見守る社会がインクルーシブ(障害の有る無しにかかわらず、誰もがみんな地域の学校で学べる教育)教育の場である。 -
みんな違って当たり前。イジメを教えたのは、他でもない大人であるという事に愕然としました。環境によって人は変わるのでしょうか?実際に映画『みんなの学校』も拝見して、周囲の人がみる視点と対応を変えることで子どもたちが、自ら考え成長することがよく分かりました。ただ、果たして今の学校教育でどこまでこれが出来るのか?は疑問です。むしろ、地域ぐるみで向き合うこと、まずは自分たちができることからやらなければならない。そこが大切であると感じました。
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木村先生の苦悩も書かれていて、単に成功例を示しただけの本とは異なる。心にきたのは「学ぶとは教えることではなく、自分を変えること」大空小学校の子供を大切にする姿勢、そして子供から教わろうとする姿勢にとても感銘を受けた
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「みんなの学校」の木村泰子さんの講演聴くたび涙がとまらなかったけど、この本もそう。木村先生が話しかけてくるみたいだった。子どものことで悩む母親にも、教育者にも、ほかにも子どもにかかわるすべての大人に読んでもらいたいと思った。